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wO-LVes ~オオカミのいる日本~  作者: 海野遊路
第八章 『マックスウェルの悪魔』
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9. 〝「悪魔」との取り引き〟

「『悪魔』との取り引き」(田崎晴明)から

こちらです。

http://www.gakushuin.ac.jp/~881791/pdf/GakkaishiDaemonPUB.pdf

物理を理解しない者にも何となくわかった気にさせてくれ、なおかつ粋なオチをつける表現力に感服します。

「俺自身、救急隊の人に関係を訊かれて、『二人の兄です』って言ってしまったし。その時は砧君も何も言わなかった。ただ、一つだけ言えるのは、マー君はシンちゃんを庇って命を落とした。命がけで姉を守ったんだ。たとえどんな理由でもできることじゃない。例えば俺が、萌のためにそうしてあげられるかって言うと、絶対の自信をもっては言えない」

 塩野の集落の狭い通りを、時折対向車に道を譲り、譲られながら抜けて行く。

「マー君は本当に立派だった。救えなかった俺に、そんなこと言う権利はないけどね」

 前方に雪を被った石柱が見える。一陽が言った。

「あのね、ある哲学者によるとね、善、つまりいいことは記憶されるべきではないんだって。記憶されるべき知識と違って、良い行動は即座に忘れ、次の行動をする。でも、人間、いいことをしたことを忘れるなんて、いいことをした時以上のエネルギーが要るはず。だからきっと、野宮君は、今まで、自分が考える以上のエネルギーを使ってるはずだよ。そして、多くの、いいことをした記憶を消去して来たんだと思う。その結果、後悔するような記憶ばかりが強烈に残ってるんだよ。でもね、野宮君がとっさに『兄です』って言った時、きっと絵馬真昼君は嬉しかったはずだよ。最後に、ずっと慕ってた人が、本当のお兄さんになってくれて」

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