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wO-LVes ~オオカミのいる日本~  作者: 海野遊路
第六章 『ツァラトゥストラはかく語りき』
52/135

21. 〝疎外、異化〟ー3

「考えてみると、オルヴズとオルフェウスって似てるよね?」

「日本人の感覚だとそうですね。ただ、vとfはともかく、lとrは全く違う音らしいですが」

「あ、そう?」

「とは言え、rとlが入れ替わることもある、と習ったことがあります。"dissimilation"とか言ったかと。この場合に適用できるかと言うと、ちょっと違うような気もしますが」

「俺に英語の講義は勘弁してくれ」

「そしてそのオルヴズですが、"Object-Limited Viruses"を文字通り解釈すれば、『対象限定のウイルス』ともとれますが」

「だから勘弁」

「まあ、『非生命限定のウイルス』と考えれば、これまで通りの解釈でいいのでしょうけれど、そもそも、なぜ定冠詞が付かないのでしょう?」

「定冠詞って何だっけ?」

「英語では"the"ですね」

「巴はさすがだな」

「皮肉ですか?」

「いや、本心だけど。とにかくそのブログのアドレス、後で俺のメールあてに送っておいてよ」

「既に削除されています。一昨日、不自然なまでに大量の観察記録が投稿された翌日に。最後の記事は、えーと、『2018年4月6日12時47分、ニエモツノコ、イヒカ、イワオシワクノコ、オトウカシ、ミチオミ、キサカイヒメ、タニグク』というものです」

「えー、あ、じゃあ、コピーを送っておいて。取ってるんだろ?」

「あ、はい。転載自由とのことですし、昨日朝までに全ページをダウンロードしておきました」

「そして、どのくらいの量か知らないけど、既に全部読んだと。あ、巴が見えたよ。お待たせ」

「いいえ」と巴が答え、小さなため息をついた。

「ただ、どこか違和感があるんです。具体的に何、とは言えませんが。何より、〝月〟のニホンオオカミへの姿勢がよくわかりません」

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