表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
wO-LVes ~オオカミのいる日本~  作者: 海野遊路
第六章 『ツァラトゥストラはかく語りき』
35/135

4. 〝箙〟-1

「箙」(能の演目)から

「それにしても、どうして景清先輩はあんなところにいたんでしょうか?」

 箸をおいて微笑が呟く。真顔になった深夜を萌が横目で見る。

「確かに、景清クン、そんなとこで何してたんだろうね?かすり傷だって話だけど」

「見回りだろ」

「見回り?見回りって、何のですか?」

「オオカミ保護だか観察だかのための見回り。景清は、『自治体自然観察監』、通称〝月〟の少年部に所属している」

「はぁ?あんた、何でそんなこと知ってんの?」

「真昼に聞いた。真昼も一時期所属してたからな」

「何それ?」

「砧さん、本当ですか?」

「深夜先輩も知らなかったんですか?」

「おい、キモオタ!何で深夜も知らないことをあんたが知ってんだよ!」

「ちなみにデンさんも知ってる」

「ちょっ、お兄ちゃんも?」

「〝月〟を最初に作った軽井沢の環境課の役人と景清は、奴が軽井沢の施設にいた頃からの知り合いだって話だ。役人の母親が施設の職員だったらしい」

「何でそんなこと今まで黙ってたんだよ!」

「訊かれてないし、言う必要もないだろ」

「じゃあ今言え!すぐ言え!」

「最初に会ったのは、スコラ御代田で開催された生物多様性の講演会だ」

「ああ、あの、真昼が行くとか言ってた」

「地方の更に端っこで開催された割には大掛かりだったよ。司会はこのあたりじゃ人気らしい桜川何とかというアナウンサーだった」

「えぇ?地方局アナなのに全国区とかいう生意気な?」

「最初に関心を持ったエマは、当日納品で行けなかった。ノノは読者モデルの撮影が重なり、結局デンさんと真昼と俺の三人で行った。その時の運営者の一人がその役人だ。講演会の名前は、〝月〟が運営するオオカミ観察記録のブログと同じ、『月は見ている』だった」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ