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wO-LVes ~オオカミのいる日本~  作者: 海野遊路
第六章 『ツァラトゥストラはかく語りき』
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2. 〝ナインスゲート〟-2

 突然荷室に煙が立ち込め、車が走り出した。目や鼻に激しい痛みを感じ、荷台から転げ落ちそうになりながら、伝が手探りで幌の鉄骨につかまる。

「な、何これ?」

 目を閉じ、咳をしながら伝が問い返す。タブレットを通して荷室に声が響く。

「催涙ガスです!」

「催涙ガス?」

「そんなに強くないタイプですけど、しばらく目は見えませんよ。おとなしくしていてください」

「い、いや」

 伝は荷台に膝をつき、顔を両手で覆いながら呻いた。

「じゅ、十分痛いよ」

「いくら道の駅の駐車場で、荷台にいるにしても、支部長ともあろう方が鍵をつけっぱなしとはうかつでしたね」

 手探りで小窓を開けようとするが開かない。

「二日前、信州銀行浅麓支店にウルヴズを納品した、モエモエ急便の野宮伝さん、あなたを拉致します。あ、先に言っておきますが、お持ちのスマホは使えないよう妨害電波を発しています。通信はおろか、録音も不可能です。まあ、当分操作どころではないと思いますが」

 ギアが上がり、右に曲がった車が通りに出るのがわかった。

「荷台の乗り心地は?いつも運んでらっしゃる荷物の気持ちが少しはわかるでしょう?」

「てことは君はウルヴズか?ここまで乱暴な運転はしてないつもりだけど」

「いいえ、俺は、野宮さんがウルヴズを納品した銀行強盗グループ、テイアの子供、ウルヴズの双子の片割れ、"the Men out of Nothing(無から生まれた者たち)"、通称〝月〟の九番目の仲間です」

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