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目覚まし代わりを通り過ぎて……

大阪にある映画をモチーフにした施設周辺を無駄に走り回った夜の出来事より


団体旅行に参加する際、

最も気になることは何であるのか?

と申しますと


誰と同じ部屋になるのか


であると思います。


……大阪の前年のことでしたか。

とあるかた曰く


『イビキが酷過ぎるから

このヒトと同じ部屋にはなりたくない』


と評判のかたと同じ部屋になりまして……。


折角なので

どれくらい酷いものなのか?

を検証してみることにしまして


(早起きして

付近を散策がてらジョギングするのに

丁度良い目覚ましになるかな?)

ぐらいの気持ちで当日を迎えたのでありました。


部屋につきました。

午後9時ごろでしたか。

イビキが酷過ぎる

と評判のかたが床に就きましたのは……。


(……どんなものかな?)


と耳をそばだてていましたところ


(……思ったほどでは無く)

若干音量が大きめではございますが

ごくごく普通のイビキでありまして


(『酷過ぎる』とまで言われる程のモノでも無いな……)


と横になりながら聞くとも

聞かぬともしながら

しばらく時を過ごしておりました。


2時間程経過しました午後11時ごろ。

イビキが評判のかたが目を覚まされまして


『ラーメン食べに行って来る』


と仰り外出。


1ないし2時間のちのことでありましたか。

再び部屋に戻ってまいりまして

しばらく無駄話したのち

そのかたは


『また寝るね』


の言葉を残し再び布団の中へ。


私は私で

(……ちょっと仮眠)

とばかりに眠りに就く態勢に入ることにしました。


(先程の2時間が前兆現象であったことも知らずに)


まぁ音量の凄まじいこと。凄まじいこと。

2割増し3割増しなんてものではありませんよ。

少なく見積もりましても

(……倍でしたね。)


でも音量だけなら

まだマシな方でありまして


なにより凄かったのが

寝息。


息を吸い込みに吸い込みましたあと


30秒程度の空白の時を経たのち

思い出されたかの如く息を吐き出す。


この空白にリズムを狂わされまして

当初。

朝の5時ごろから予定していました

ジョギングの開始時間を繰り上げまして


夜中の3時半。


路面の状況なんかわかりませんよ。

ジョギング

と言うより

悪路の山道を歩く感覚での

ランニングを余儀なくされました。


で。1年が経過しました今年。

再びこのかたと同じ部屋になることになりました。


そこで考えたことは何であったのか?

と申しますと


イビキの凄いかたも

意識の中には無いけれども

寝息で迷惑を掛けていることは承知している。


と言うことでありますので


逆に言いますと


(私もどのような寝かたをしても構わない。)


と言う結論に至りまして


(なんとか眠りに就いてやろう)


(……永久の眠りに就かせてやろう

と一瞬頭を過った

なんてことはございません。)


と一計を講じることにしました。


まず手始めに行ったことはなんであったのか?

と申しますと


移動のバスの中に

文庫本を持ち込みました。


その文庫本につきましても

普段から読んでいるタイプのモノでは無く

かつ

全く読みたく無いようなジャンルのモノでも無い


興味はあるけれども

長い時間読み続けることは出来ない

少し文体の古い本。


(誉めてませんので

ここでは紹介致しませんが)


3頁程の短編が

400頁超連ねられている

明治と大正時代の様子が記された

岩手県のとある地方のことを書かれたかたの

文庫本であります。


この本を

バスでの移動中。

1つ読んでは意識が遠のき、

また読んでは

(ワープしている感覚に陥りましたり)

を繰り返しながら

目的地に到着するなり


次に行いましたことが


先程の項で述べましたジョギングであります。

30分から1時間程度を

計2時間

予定していたのでありましたが


観光施設の外に

何も無い場所であったため


6時間立ち通し

と言う事態には陥ったことは

誤算ではありましたが


首尾よく身体を疲れさせることが出来

宿泊先へ移動。

部屋に入ることになりました。


そこで講じました対策が3つ目の


『面白くは無いラジオを聴く』


でありました。

携帯型

イヤホン付きのラジオを用意しまして


要は

イビキが聞えないようにしよう


と言うことであります。


で。注意しなければいけないのが

面白いラジオを聴いてしまいますと

眠ることが出来なくなってしまいますので


某公共放送が

深夜。

どうしても

眠りに就くことの出来ないかたのために。


を番組開始当初謳っておりましたラジオに

バンドを合わせまして床に就きました結果。


どうやら眠ることが出来たらしく


(あまりに悲惨な目に遭遇してしまったため

無理矢理、記憶の奥底に沈みこませてさえ居なければ

ではございますが)


眠ることが出来たのでありましたが


深夜2時半ごろでしたか……。

イヤホンを超える

イヤホンの外から流れて込んで来る

長い空白の時を経て巻き起こる往復イビキが

耳に飛び込んで来ましたのは……。


(丁度良い

と言えば

丁度良い

目覚ましにはなったのでありましたが

目覚まし機能が作動するにはチト早い……)


そんな状況で大阪の2日目が始まるのでありました。

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