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雲上昇龍  作者: 書記
一章
12/29

十話

話は動かしましたが、長くなるので分けました。

前半は翔視点、後半は通常通り勾輝視点に戻ります。

この青年は本当にあの幻獣を倒してしまうとは。

翔は、勾輝に戦闘を任せて下がった時に、本当に倒せるとは、思っていなかった。

勝算があるのか聞いたのは、自分が戦闘から離れられる事が好都合だったからである。

あるのなら任せて下がり、ないのなら一緒に逃げようと言うつもりだった。

勾輝は、勝算があると言ったが、簡単に倒せるものではないだろう。何故ならば、身体を消し去っても倒せないからだ。これは当然思う事だろう。

だが、勾輝は倒したのである。

だから、この驚きはおかしくない。


しかし、昼に集まった他の二人も倒したのである。それも単独で。

翔は、更に驚いた。もはや、驚きを通り越して呆れる程である。

現在集まっている視線等も当然だろう。逆に事態の割に控えめであるとさえ言える。

それに勾輝と恭夜は遅まきながら気付いたようだ。

夕華と直斗は何とか追及を逃れようとしている。だが、逃れられず観念して気まずそうに説明を始めた。これが幻獣単独撃破の二人の姿とは何とも……

だが、二人の撃破方法は聞くのは、二度目でもやはり容赦がなく、徹底されていて畏怖を感じる特に夕華の倒し方は、純粋に魔術のみで倒している。また、その影響が今も出ていない事からとんでもない能力である。そして、それを当たり前の様に聞いている勾輝にもである。

勾輝は、今回の事件で二人が何かをした事に関して出はなく、こんなに視線が集まるような事をしたのかを気にしているようなのである。元々何かをするとは、思っていたが、ここまでエグく注目が集まる派手な事をしたのが予想外だったようだ。

そこへ夕華が質問してきた。

「それより二人は構築学だよね。」

この質問に翔は本能的に恐怖を感じた。

何故ならこの質問はこの事件そのものをどうでもいいと言って、勾輝の周りの環境を気にしたという事である。人の生死が懸かっていて、それに自分が直接関わっていてもどうでもいいというのである。

これは、異常だ、と翔は思った。

これは、昨日の件について聞いていたので予想していたが、かなり上にぶっ飛んだ人達だ、と思った。

そんな事より、こんな三人と恭夜―今日初めてあったが―はよく一緒に居られるな。翔は、自分の事を棚上げしてそう思ったが、すぐに思い直した。

そうか要するに……バカなだけか。

そんな事を思っていると、放送がかかった。

呼び出しのようだ。面倒事になりそうだ。


三人纏めて部屋へ通された。翔は、校長を見た瞬間に帰りたくなった。だが、この校長は警戒しなければならない。どんな時も。

この校長は、何を考えているか全く分からないのである。はっきり言って何の拍子に爆発するか分からない核爆弾である。校長の影響力、個人としての実力は圧倒的だ。その割に予測不能の行動は(まさ)に危険物だろう。

そして、勾輝が話をしている戦闘を静かに聞いているが、今校長が何を思っているかは分かる。

勾輝が話している間、校長は僅かに笑っているのである。たぶん、この事件さえ楽しんでいるのだろう。

校長は、協力者がいたのか聞いてきたが、実際の所はどこまで知っているのだろうか。

翔は、この校長は本当に重要な所を聞いてきた。無駄に頭が良いなんて危険度が増すじゃないか、と思った。

今日はこれで終わりみたいだ。警戒したが、何事もなく行けたと翔は安心した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

帰ってから、洋次と今日の事を喋った。

「成る程な。」

洋次は、妙に納得顔で頷いた。

「その事件、明日にでも動きがあると思うぞ。」

「何でそう思うんだ。」

「あの校長だし、降霊されたのは幻獣と珍しいからな。」

それをあんたが言うか、と洋次の言葉を聞いて思ったが、

「まぁ、父さんが言うなら明日にでも動きがあるかもね。」


そして翌日、何事もなく学校は始まった。

昨日の試験もどの学科も最後に降霊術が使用された為、試験による新たな授業のクラスが編成された。翔と恭夜は一緒のクラスになった。

「おはよう二人共。」

勾輝が声をかけると

「おはよう。一緒になったしよろしく。」

「…………おはよう…」

恭夜は元気だったが、翔は昨日より元気がなさそうだった。

「どうした?」

翔に聞くが、

「…何でもない…」

と答えられた。

まだ、翔の事は気になるが、恭夜が更に気になる話をしてきた。

「昨日の事件を起こした集団の拠点を一つ潰したらしい。」

「昨日の今日でよくやるな。」

恭夜から聞いた内容には驚いたが、流石だと思った。

そんな話等をしていたら、時間になったので席に着いた。


そして、今日の昼に再び事態は動いた。

勾輝達五人が昨日と同じように食堂にいると突如サイレンが鳴り始めた。

他の生徒は戸惑っている。一部は状況を理解しているのか動きだした。

その中で、勾輝達は動きだした方だった。

まずは、サイレンの意味を勾輝と翔が理解していたので簡単に説明しながら走る。向かう先は演習場である。

サイレンがなる状況は、いくつかある。

一つは一般的に様々な自然災害、もう一つは昨日の試験の時のような敵襲。昨日は、幻獣の降霊等が中で起きた為鳴らなかったのだが、今日は外からのようだ。

サイレンから、方角を判断して走る。この学園は学年事に校舎が別れており、校舎の周りに演習場がある。

演習場は、学園の外壁にそって輪に配置されている。

サイレンには、方角、何番目の演習場に集まるかが、暗号化されている。これは、軍に入るならば、こんな状況でも、自分で判断して行動しろ。という意味が込められている。

演習場には一年の校舎が一番近いにも関わらず、上級生の姿の方が多かった。最初は分からないが上級生になるとわかってくるという事だろう。


そんな事を考えていると、敵が姿を現した。

まだ、仕込み足りない気がしていますが、長引かせるのもどうかなと思うので、この章は終わりに向かいます。

翔視点は、急遽入れた突発的なものではなく、予定通りです。

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