氷上からの確率
世界ヴァトウズは海しかない世界で陸地が無く、ただ巨大な氷が浮かんでるだけだ。はっきり言って、寒いんだよ!
ギランダ
『何でこんな世界を選んだんだよ!』
テル
『何かノリで』
デューン
『・・・何を考えてるの』
ギランダ
『おまえは良いじゃねえか!どうせ温度感覚なんてねえんだから!』
デューン
『別に好きで感覚が無い訳じゃないよ・・・お願いだから八つ当たりはやめてよ』
テールは寒さ熱さも感じなければ、後ろから殴られようがあんまり感覚がねえんだと。尤も、テールなんか思いっきり殴ったら複雑骨折なんてもんじゃねえけどよ
ギランダ
『本当の事だろうが!文句でもあんのか!』
デューン
『・・・文句なんて無いよ』
ガタガタ震えながら後ろを見る。二人は全く寒さなんてものともしてねえし。そういや、テルは羽族の守りとやらがあったのか、寒い思いをしてんのは俺だけかよ!
ギランダ
『テル、おまえは寒くねえのか』
テル
『私だって寒いよ、羽族の守りだって完全に寒さを防げる訳じゃないんだから』
その割には寒そうに見えねえんだよ!
デューン
『そこに家があるよ?』
デューンの指差す方に確かに家はあるが、氷でできた家かよ!どう考えても寒さを凌げる気がしねえよ!
テル
『確かそこにはロットさんが住んでた筈だよ』
ロット?確か魔法薬を作ったりしてる錬金術師とか聞いたけど、こんな辺鄙な所に住んでんのか
ロット
『おや?、どなたですか?』
氷の家の裏から1人来た、こいつがロットか?その白い髪はリバーシアを思い出すけど、その手に持ってるほうきは何か意味あるのかよ、氷の上を掃除するなんて聞いた事ねえよ
テル
『ロットさん久しぶりー』
ロット
『テルさんですか、以前にブレイクさんと旅をしていましたね。こちらの二人は?』
テル
『ギランダとデューンだよ』
ロット
『ここでは寒いでしょう、此方へどうぞ』
氷の家に案内されても寒いもんは寒いと思うぞ。ていうか、そのほうきは外に放り出していいのかよ、外見に似合わず意外と雑だな
氷の家の中は氷だらけ、物入れから机まで氷で、唯一氷の皿の中のクッキーだけが氷じゃない。もしクッキーまで氷だったらこいつは氷でできてるに違いねえ
テル
『そのクッキーは食べない方がいいよ?』
ギランダ
『何でだ?』
テルがコソコソと忠告してくるが、まさかクッキーまで氷とか
テル
『そのクッキーを一口食べたドルは、数時間気絶してその間の記憶が消えてたよ』
氷じゃなかったけど、そんな破壊兵器を客に出すんじゃねえ!
ロット
『何故こちらに来たのですか?』
テル
『特に理由は無いよ、何となく来てみただけ』
ロット
『では神のお導きでしょう。さあ、トルヴェザ様に祈りを捧げましょう』
意味がわからねえ・・・何がどうなってそんな結論になるんだよ
ギランダ
『そんな事はどうでも・・・』
ロット
『トルヴェザ様はいつでも見ておられます。その御加護に感謝致しましょう』
全く聞いちゃいねえ、何だよ祈りに来た訳じゃねえんだよ
・・・数時間後
ロット
『これからどうするつもりですか?』
やっと祈りの時間が終わった・・・なんだよこいつ、全く人の話を聞く気がねえよ、本当に疲れた
テル
『特に用は無いから適当にフラフラしようかな』
ギランダ
『完全に適当ってのもあれだから。ハールの情報を知らねえか?』
ランドリターンの敵、クラウ・ハール。こいつを始末できればこれ以上の良策はねえ
ロット
『・・・ハールをどうするつもりですか』
明らかにロットの雰囲気が変わった。フワフワした感じからトゲトゲしいって感じだ。ハールに何か因縁でもあんのか
ギランダ
『ハールはこの世界の敵だろ?勿論やっつけるんだよ』
デューン
『ギランダ、勝手な行動は良くないと思う』
勝手な行動もなにもハールを倒せば全部解決だろうが
ロット
『嘘をついている様子は無いですね、いいでしょう。ハールの情報を教えますよ』
こいつハールについて何か知ってんのか!
ギランダ
『その情報とやらを教えてくれ』
ロット
『本名はエレイア・ハール。本来の能力は他の位置に属しますが、世界の力を借りる事で不可能を可能にしています。つまり、正攻法では勝ち目がありません。本人の耐久性はかなり低いので、気づかれる前に対処すればどうにかなるかも知れません』
不可能を可能にするってかなり曖昧だよな、もっと具体的な説明はねえのかよ。まあ、対処のしかたとかはリイユウなんかに任せた。俺はとりあえずやっつける!
ギランダ
『貴重な情報ありがとよ』
ロット
『この世界にはハールは居ません。違う世界に行きますか?』
テル
『私はハールとかよくわかんないけど、違う世界には行くよ』
ロット
『では、3、2、1、0』
ロットは氷の表面を指差して三秒数えるとそれは世界の鏡に変化しやがった
ギランダ
『錬金術かよ』
ロット
『一種の錬金術ですね。世界ミテレクに繋げておきましたよ』
次は世界ミテレクか