勝利の余韻
「追跡魔力弾!」
俺の杖の先端からやっと2リットルのぺットボトルほどの太さの薄灰色の光が飛び出る。杖で練習しているうちに魔力因子もかなり消費してしまったので本来より威力やスピードは落ちるかもだが後はこれを目の前の木にぶつけるだけだ。
俺は目の前の木に光の動く道を想像する。
シュッン バキバキィ
俺の想像通りに、早めで程よくカーブを描いて勢いよく光が木にぶつかる。威力は木にひびをいれる程度だが魔力をもっと込めれば問題なさそうだな。残りの魔力で試してみるか、
「追跡魔力弾!」
ヒュンヒュンヒュン
俺の想像とは違い光線は1.2倍ほどしか大きくならなかったが変わりに五本の光が同じ方向に進み木にぶつかる。
バキバキバキバキバキ
威力も一つ一つは余り変わらないようだ。なるほど威力に制限があるぶん手数で攻める必要があるのか。しかしこの仕様だと5本だすときはそれぞれの動きを意識しながら命中させなきゃいけないぞ?
俺は試しに細めの光三本を同時に木に向けて放つ。
バキバキィ シュウゥ
一本目は右にカーブして、二本目左にカーブして、三本目はねじれるような動きをしながら木に当たるように放ったが三本目の光はねじれている途中に明後日の方向へ飛び立ち離散してしまった。
なるほど、ドラムで別々のリズムを叩かされているような感覚だ。どうしても意識が一方に行ってしまう。これに関しては練習あるのみだな。とはいえ完全に使いこなせてはいないが上級魔法の習得ができた。夕暮れ時だしそろそろ帰るとするか。
「エミリス~~」
俺は大声で森中に聞こえるようにエミリスを呼ぶ。しかし返答はない。
今までの経験上魔力切れはまだしないだろうが疲れがきているから早めに帰りたいんだけどな。それに今強い魔物と戦闘になって魔力切れなんて起こせば死んでしまう。
「何?」
俺の肩にトントンと軽めの衝撃が走る。
「うわぁ!!」
情けない声を出した後咄嗟に後ろを振り向くと俺の肩に指をおいたエミリスがニマニマしながらふわふわと飛んでいた。寿命が縮むじゃないか!
「驚いた?」
エミリスが少し俺をバカにしたような言い方で言う。
少しムカッときたがここで感情的になってしまったら負けな気がするので冷静に答える。
「あぁそうだな。次からはやめてくれ。それと俺は宿に帰るからなお前もどうせ帰るだろ?」
エミリスは俺の反応が面白くなかったのかムスッとしてしながらコクコクとうなずいた。この勝負俺の勝ちだ。
俺はエミリスの前を歩きニマニマと勝利の余韻に浸りながら宿へと帰るのであった。
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