ステュムパリデスを横目に…
「……ガク?フォーガク起きて」
ハッ!!
エミリスの声で俺は咄嗟に目を覚まして身体を起こす。
「エミリス、今何時?」
そうだ、6時の馬車に乗るんだった。結構ぐっすり眠ってしまったので普段寝坊なんてほとんどしないが流石に今日は自分を疑う。
「大丈夫まだ5時半だよ。そろそろ起こした方が良いかなと思って」
「ありがとうエミリス、寝過ごすところだった」
俺達は宿に置いてる荷物をせっせと集めギルドを出る。幸いにも昨日は多いに盛り上がったのか、冒険者達は机に突っ伏してガァァガァァとイビキをかいていた。
小走りで数分したら今にも出発しそうな昨日の馬車を発見。御者のひとに気付いてもらえるように手を振ると「速く乗りなーもう出発するぞ」とドでかい声が返ってきた。
走って俺達は馬車に乗り込む。他に乗っている数人がエミリスの翼と瞳を見て少し怯えていたがおどおどしてるエミリスの代わりに俺が
「彼女ダンピール何ですよ、珍しいでしょ?」
と言うとなんとか信じてくれたのか怯えなくなった。
数分経ち、馬車が出発する。まだ眠気が残っていたのかエミリスは
「もう一眠りするからもし着いたら起こして」
と言って寝てしまった。昨日も結構寝てたのにまだ眠いのか、まぁ、ダンピールといえど吸血鬼と似て、朝は弱いのか?なんて思っていると、いつの間にか町を抜けていた。
更に数時間が経つと御者さんの大きな声が響き渡った。
「まずいな!!ステュムパリデスじゃねえか、厄介な奴が来たな。おい!誰か戦える奴はいねぇのか?」
その問に馬車に乗ってる人達は皆揃えて首を振る。うーんエミリスは寝てるし俺一人で行くしかないか。
「俺、戦えます!」
と言って俺は外におりる。しかし肝心のステュムパリデスとやらはどこだ?俺は辺りを見回しふと空を見るとそこには翼と尻尾が青銅で出来てる少し大きめの朱鷺のような魔物が5羽ほど飛んでいた。
「グゥアグゥァ」
俺にに気づいたのかステュムパリデスは低空飛行になって突進してくるが空気に俺の打てる最大限の状態維持をかけてバリアのようにして受け止める
「困ったな、余り大きな魔法は使えないし」
ギギギギギと固まった空気にもう突進しているステュムパリデスを横目に少し困る俺であった。
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