プロローグ
まずは読もうとしてくれてありがとうございます。
週2程のペースで投稿しようと考えています。
急かすように風が背中を押していた。
「この辺で死ぬってのもありなのかもな…」
自慢にも聞こえるが金持ちの子はつまらない。
生まれつき制限のかかった人生。気付いたら外堀が埋められていて仕方なく進むことしかできなかった。自由に道を選びたかった。こんな人生俺の人生じゃない。だから別によかった。
こうして俺、富吉文哉は16歳で自宅から飛び降りた。
なん分間たったことだろう。
辺りが暗くてなにも見えないが外が少し騒がしい、感覚でいえば水中に浮いているような、はたしてこれが死後の世界なのだろうか、だったらなかなかに退屈なものだな。
更にしばらくして外が騒がしくなったとき、俺の目についに光を捉えた。音もだいぶはっきり聞こえる。
「オンギュァァ」
俺は泣いた、正直この声が俺のものなのか疑った。まるで赤ちゃんの泣き声のような。いやもしかしたら俺は産まれ変わったのかもしれないな。
「大丈夫かい?マリア」
男の声だ、目は明るいと暗いの境目を見てなんとかものの形を認識できている。しかし男の姿は俺の視界に写らない。だが話の内容から恐らく俺の母はマリアというらしい。
「大丈夫よオズカー。それより赤ちゃんは?」
この声がマリアか、落ち着いた声つきだ。
オズカーらしき人影が俺の視界に写る。目、鼻、口の形は分からないが輪郭が細くイケメンのオーラを感じる。
「大丈夫だよマリア、むしろ落ち着いているよこの子、君に似たのかな?」
そうか、いつの間にか泣き止んでいたな。そういえば、なぜこの夫婦は、外国人っぽい名前なのに日本語を喋っているのだろうか、分からないことだらけだ。
しかし、そんなことはどうでもいいんだ。どれだけ周りがおかしくても、きっと神様は俺にチャンスをくれたんだ。今度こそ俺は自分のしたいことをするんだ。もう前と同じようにはいかないさ。
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