宇宙ネコ ミャクター船長の大冒険:エピソード7「宇宙嵐を越えて」
ミャクターとトビーは、恒星「ソルナティカ」でぽかぽかの日向ぼっこを楽しんだ余韻に浸りながら、穏やかな航行を続けていた。
しかし、そんな平和な時間もつかの間だった。
ある日、船内の警報が突然けたたましく鳴り響いた!
<<警告!異常なエネルギー波を検知!航路上に大規模な宇宙嵐の発生を確認!>>
ニャーバスター号のAIが冷静な声で告げた。
「船長!これは大変だよ!避けたほうがいいんじゃない?」
トビーが慌てた様子でモニターを指さした。
そこには、異常に高密度のエネルギー波が渦巻く嵐の映像が映っていた。
「確かに厄介だが、このルートを外れると食料が持たない」
ミャクターは冷静に計器を操作しながら答えた。
「じゃあ、どうするの?」
「進むしかないだろう」
ミャクターは三本の尻尾をぴんと立て、決意を示した――。
***
覚悟を決めたニャーバスター号は嵐の中へ突入した。
エネルギー波が船体にぶつかるたびに、激しい振動が船内を揺さぶる。
「わぁぁ!船長、これ無理じゃない!?」
トビーはコックピットの座席にしがみつきながら叫んだ。
「叫ぶな、集中できない」
ミャクターは冷静そのもので、まるでこの状況すら楽しんでいるかのようだった。
「ニャーバスター号はこの程度じゃ壊れない 問題は、俺たちがどう操縦するかだ」
「それが一番問題だよ!」
嵐の中心に近づくにつれ、視界は完全に遮られ、AIの航行システムも正常に機能しなくなった。
「トビー、右のスラスターを手動で調整しろ!」
ミャクターが指示を飛ばす。
「えっ、そんなのやったことないよ!」
「今覚えろ!失敗したら船ごと吹き飛ぶ!」
トビーは震える手でスラスターの調整を始めた。
最初はぎこちなかったが、ミャクターの的確な指示のおかげで、次第に船のバランスを保てるようになってきた。
「船長!これでいいの!?」
「悪くない!」
ミャクターは短く答えると、次々と舵を切り替えながら嵐を突破するルートを探した。
***
突然、AIが警告を発した。
<<このままでは船体の耐久性が限界を超えます。直ちに進路を変更してください。>>
「くそ、あと少しだ!」
ミャクターは尻尾を振り上げ、考え込むポーズを取る。
「考えろ、考えるんだ、ミャクター……!」
「船長!?今考える時間あるの!?」
トビーは焦った声で叫ぶ。
「あるさ そして答えも出た」
ミャクターは計器を操作し、船体のエネルギーを一部スラスターに転送する大胆な手法を取った。
「トビー、全力でスラスターを固定しろ!」
「わ、わかった!」
トビーが最後の力を振り絞ってスラスターを固定すると、船は驚くほど滑らかに軌道を修正し、嵐の出口に向かって突進した。
***
数分後、ニャーバスター号は嵐の外に出た。
穏やかな星空が広がり、船内は静寂に包まれた。
「やった……助かった……」
トビーはその場に座り込んで大きく息を吐いた。
「ふぅ、これくらいで大げさだな」
ミャクターは冷静に椅子にもたれかかり、三本の尻尾をゆったりと揺らしていた。
「船長、なんでそんなに余裕なの!?僕は死ぬかと思ったよ!」
「お前がいたから助かったんだ 次回も頼むぞ」
「えっ、それ褒めてるの?」
ミャクターは何も答えず、ただ静かに微笑んだ。
その表情に、トビーは船長の信頼を感じて少しだけ誇らしくなった。
***
嵐を越えたニャーバスター号は、新たな目的地に向けて航行を始めた。
「船長、次はもうちょっと平和な星に行こうよ」
「平和な星なんてないさ 冒険の中で平和を見つけるんだ」
「うーん、意味が深いようでそうじゃないような……僕にはよくわからないや……」
二人の笑い声が船内に響き、ニャーバスター号は星空の中へと消えていった。