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宇宙ネコ ミャクター船長の大冒険:エピソード37「ミャクターとキラキラの流れ星(前編)」

ニャーバスター号は、静かな航行を続けていた。

 銀河の辺境、記録にない星団を抜けたその先で、特に目標もなく、二人はただ宇宙の美しい景色をのんびりと楽しんでいた。

 操縦桿を尻尾で操りつつ、茶白の立派な毛並みを整えているミャクター。

 トビーは副操縦席でモニターを眺めながら星図を更新している。


「船長、最近は冒険らしい冒険がありませんね」


 トビーが退屈そうに口を開くと、ミャクターは尻尾を揺らし、落ち着いた声で答えた。


「ふむ。では周りに面白そうな発見はないか? 周囲状況を拡大してスキャンしてみろ、トビー」


 トビーが指先でパネルを操作し、スキャンデータを読み取った。

 そのとき、船内に微かな光が差し込んだ。


 まるで、外から虹色の帯が窓に映り込んだような感覚だ。

 窓から外を覗いてみると、そこには一筋の光が流れていた。


「うわぁ! きれいな光だ! 船長、見てください! あれ、流星じゃないですか?」


 トビーが驚きと好奇心をかき立てた声で言う。


 普通の流れ星よりも遥かに明るく、虹色の粒子が尾を引いて、まるで宇宙にかかる虹の橋のようにも見える。


 二人が見守る中、その流れ星は軌跡を描きながら近くの小さな星へと降り続いていく。

 まるで、吸い込むように光がその星の大気圏へと進んでいく様子は、とても幻想的な風景だった。


「船長、あの行き先を追ってみましょうよ! ただの流れ星じゃない気がします」


 トビーが興奮して提案すると、ミャクターはすでにエンジン出力を調整していた。


「あれは面白いものに違いない! オレの直感も言ってる」


 ニャーバスター号は進路を変え、流星が落ちて行った小さな惑星へ向かうこととなった。

 その惑星は青白い光を放ち、表面は荒涼としているように見える。

 高度を下げて着陸に入り、トビーがスキャナーを回して異常がないか確認する。


「重力は適正範囲内です。空気成分にも危険な成分は検出されませんね。安全な環境です」


 着陸地点に選んだ場所は、流星が落ちた場所から少し離れた場所だ。

 船を安全な場所に降ろし、二人はハッチを開いて外へ出る。

 冷たい風が顔に触れ、足元には乾いた砂地が広がっている。


「さぁて、この辺りに光っている何かがあるはずだ……」


 トビーが辺りを見回して、ミャクターは自慢の三本尻尾をアンテナのように周囲にかざして何かを感じ取っている。

 すると、大気の中で何かが輝くのが見えた。


「船長、あれ……」


 トビーが指さす先には、流星だと思っていた物体が横たわっていた。


 それは大気圏内突入の熱で一部焦げているが、どう見ても自然物ではなく金属的な船体だ。

 船体は見たこともないキラキラと光る金属でできており、そのゆるやかな流線型のフォルムは、とても優雅な形をしていた。


「むむ。先ほどの物体は流星じゃなくて、宇宙船だったのか! それもこんな船体にはお目にかかったことはないぞ!」


 ミャクターは驚きつつも、すぐに警戒を強める。


「船長、行ってみましょうよ。きっと何か理由があってここに落ちてきたんだ」


「うむ。わかったが、何が出てくるかわからん。油断はするなよ」


 ミャクターは注意を促す。


 二人がゆっくりと近づくと、ハッチが軋むような音とともに開き、中から人型エイリアンたちが姿を現した。

 その種族はバラエティに富んでいる。

 しかし、皆一様に焦燥し、疲れ切った表情を浮かべていた。


 そして、その中央には上品な衣装をまとい、気品あるオーラを纏った美しい少女がいた。


「あなた方は……この星系にある銀河連盟の加盟者の方々でしょうか?」


 少女の穏やかではあるが、気品に満ちた声に、トビーは戸惑いつつも笑顔を返し、ミャクターは軽く頭を下げた。


 彼女の名はアリーシャ。

 国を悪い大臣に乗っ取られ、従者と共に命からがら星を脱出してきたお姫様だという。


「国王である父も私を逃がすために捕まってしまいました。私は国をクーデターから救うために銀河連盟の方々に助けを求めに来たのですが……道中で船が故障し、やむなくここに緊急着陸を……」


 姫の言葉は弱々しいが、その瞳には国を救いたいという強い意志が宿っている。


 ミャクターたちはそれを静かに聞いていた。


 なんと、キラキラと輝く流星は――実は国を追われた姫とその従者たちが乗ったエイリアンシップだった……!

 この出会いが、ミャクターとトビーを新たな冒険へと駆り立てるキッカケとなる。


 二人の新しい冒険が、今、始まろうとしていた。

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