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宇宙ネコ ミャクター船長の大冒険:エピソード35「ミャクターとまあるいお月さま(後編)」

 ミャクターとトビーは薄暗い部屋の中に足を踏み入れた。

 静寂に包まれた空間で気づかなかったが、よく目を凝らしてみると、その周囲には星々を眺めるホログラムが漂い、まるで宇宙空間を小さく切り取ったような不思議な光景を形作っていた。


「なんだこれは……?」


 ミャクターはしっぽをピンと立て、目を凝らす。


 トビーはホログラムをじっと見つめて、


「船長、おそらくこのホログラム……この近くの星々を映し出してモニターしているみたいですね。中心がこの惑星だと思います…でも、エラー表示が出まくってますね」


と口にした。


 確かに、ホログラムの表示を細かく見てみると、リンク中断やパワー不足のエラーが表示されており、それぞれの星々のデータも乱れているようだった。


「ふーむ、この真ん中に浮いている『まあるいお月さま』とやらの球体が汚れているからか?」


 ミャクターは球体に近づき、表面の積もったほこりを肉球でそっと撫でると、砂ぼこりがサラサラと下に落ちた。


「船長、せっかくだし試してみましょうよ!」


 トビーが提案し、二人で手分けして球体の汚れを落とすことになった。


 二人で優しく丁寧に磨いていくと、球体は次第に本来の輝きを増していく。

 仕上げにミャクターがそのフワフワの尻尾で優しく撫でるように磨きをかけると、その瞬間、球体が微かに振動し、部屋全体に透明なエネルギーが伝わるような感覚が走った。


 トビーが、ごくりと息を飲む。


 すると、ドーム自体が低い機械音を発し、機能を再開するかのように振動した。

 そして、建物の天井部分が開き、外の空へ向けて巨大な光が発せられた。


 それはまるで満月が宙に浮かぶかのような、穏やかで柔らかな光だった。

 それに伴い、ホログラムのエラーが回復し、表示されている星々がゆっくりと稼働を始めた。


「こいつが『まあるいお月さま』の正体か……」


 ミャクターはその景色を眺め、しっぽで喜びを表す。


 その満月のような光は、近隣の闇に包まれた星々を優しく照らし、モニタリングされた星々の生態系が活性化し、生命が再び息づき始める様子が示されていた。


「この球体は、星々に生命の光を届ける特別なエネルギー装置だったんですね」


 トビーは感動に声を震わせた。


 かつて、この惑星には高度な文明が栄えていたのだろう。

 だが、文明が滅んでしまうと同時に、この光も失われていたのだ。

 しかし、二人が球体を清めたことで、再び光を放つことが可能となり、宇宙に息づく生命へと贈られたのだ。


「ふむ。宝とは、煌びやかな金銀財宝だけを指すものじゃないってことさ」


 ミャクターは満足げに微笑み、トビーも頷く。


「そうだね。僕たちは生命の輝きという素晴らしい宝を見つけたんだ、船長」


***


 ニャーバスター号に戻った時には、二人の胸には何かをやり遂げたという穏やかな達成感が残っていた。


「さぁて、次はどこへ行こうか?」


 ミャクターがしっぽを揺らして問う。


 星々が輝く広大な宇宙へと、ニャーバスター号は再び旅立つのだった。

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