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宇宙ネコ ミャクター船長の大冒険:エピソード19「ミャクターとふしぎな泉」

 銀河の片隅を航行していたニャーバスター号のコンソールに、不思議な信号が届いた。古い言語で「生命の源」とだけ書かれた地図データが添付されている。興味を惹かれたミャクター船長は、尻尾を揺らしながらこう言った。


「面白そうだろ? トビー、行くぞ! こういうのは冒険家の本能が騒ぐんだ!」


 トビーは地図を確認しながら、「大丈夫かな……罠じゃない?」と少し不安げ。しかし、ミャクターの熱意に押され、二人は地図に示された惑星に向かうことにした。


 惑星に到着すると、そこは緑が生い茂る美しい世界だった。柔らかな風が吹き、鳥のような生物が心地よい音を奏でる。惑星の中心に向かって進むと、二人はきらめく泉を見つけた。


 泉の水はキラキラと虹色に輝き、近くに寄るだけで疲れが癒されていくような感覚に包まれる。ミャクターは尻尾を揺らしながら泉の周りを歩き回り、「これはただの水じゃないぞ。絶対、何か秘密がある!」と興奮気味だ。


 トビーは持参したスキャナーで泉を調査。


「この水、普通の水じゃない。成分に未知のエネルギーが含まれている。もしかすると、この惑星の生物たちがここでエネルギーを補給しているのかも?」


 ミャクターは泉に触れると、目を細めて


「あったかい。ぽかぽかする。トビー、試してみろよ」


と声をかける。

トビーも慎重に手を浸してみると、全身が軽くなるような感覚を味わった。

 しかし、泉の秘密を守ろうとするかのように、森の奥から巨大な守護者が現れた。それは木のような体を持つ精霊で、深い声で語りかけてくる。


「この泉は命の源。乱す者には試練を与える」


 ミャクターは後ろに控えるトビーにウィンクし、


「試練? そんなの望むところだ!」


と宣言。二人は精霊が出す試練に臨んだ。


***


 森の奥深く、精霊が一振りした木の杖から光の道が現れ、迷路の入り口が開いた。壁はクリスタルのように透き通っているが、反射で進むべき道がわかりづらい。精霊は言った。


「迷路を抜けるには二人の知恵と力を合わせなければならない」


 ミャクターは壁をひと撫ですると


「こりゃ厄介だな。よし、トビー、俺は直感で行く。お前はルートを考えてくれ!」


と尻尾を高く掲げて迷路に足を踏み入れた。


 トビーは冷静にスキャナーを取り出し、泉のエネルギーを利用した迷路の構造を分析。


「この迷路、動く部分があるみたい。気をつけて!」


 ミャクターはその言葉に耳を傾けつつも、彼特有のひらめきで前進を続ける。ある場所では反射による偽りの道が現れ、進むべき道を惑わせたが、トビーが


「右! いや、左だ! そこにエネルギーの弱い部分がある!」


と叫ぶと、ミャクターは軽快に跳んで正しい道を突き進んだ。途中、道をふさぐクリスタルの扉が現れたが、ミャクターは尻尾を器用に使ってクリスタルの隙間に落ちていた鍵を取り、難なく開けてしまう。


「さすが船長、器用だね!」


 トビーが感心すると、ミャクターはウィンクを返した。


***


 迷路を抜けると、精霊が二人を待っていた。そして、目の前に巨大な石碑が現れる。


「最後の試練は知恵。次の問いに答えるがよい」


 石碑には以下のクイズが表示された。


「命の源とは何か?」


・食べ物

・水

・太陽

・仲間


 ミャクターはすぐに


「水だろ! 泉があるんだから!」


と尻尾を振ったが、トビーが腕を組んで考え込む。


「待って、船長。この試練はもっと深い意味があるはず。泉を守る精霊が出した問いだよ。単純な答えじゃない気がする……」


 二人で議論するうち、ミャクターは


「命の源っていうのは、単に生きるための物資じゃなくて、もっと精神的な何かかもしれないな」


と呟いた。トビーは微笑んでその考えに賛成した。


「そうだよ。僕たちがここまで来れたのも、お互いを信じて協力したからだ。きっと『仲間』が答えなんじゃないかな」


 ミャクターは満足そうに頷き、石碑の四番目の選択肢『仲間』に触れた。

 すると、石碑が光り輝き、泉から虹色のエネルギーが舞い上がった。精霊が現れ、深い声で語りかけた。


「お前たちの答えは正しい。命の源は物質ではなく、支え合う心だ。この泉はその象徴にすぎない。さあ、約束の祝福を受け取るがよい」


 ミャクターとトビーは笑顔を交わしながら、


「さすがオレたち、名コンビだろ!」


と互いの手(とミャクターの尻尾)でハイタッチを交わした。


 二人の協力によって試練を乗り越えた冒険は、彼らの絆をさらに深めるものとなった。


***


 試練を乗り越えた二人に、精霊は優しく微笑んだ。


「お前たちの心は純粋だ。この泉の力を使って、困っている者が居れば助けてあげなさい」


 精霊の言葉に従い、二人は泉の水を少量だけ持ち帰り、病気の動植物を癒やすために使うことを決意。帰り際、ミャクターは泉のほとりでトビーと一緒にのんびり休憩し、虹色の光に包まれて極上のひとときを楽しむのだった。


 ニャーバスター号での帰り道、ミャクターは尻尾を揺らしながらつぶやいた。


「たまにはこういう穏やかな冒険もいいよな、トビー」

「そうだね、船長。でも次はもう少し眩しくない場所がいいな」


 二人は笑い合いながら、次の冒険へと向かうのだった。

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