宇宙ネコ ミャクター船長の大冒険:エピソード2「ニャイオライト鉱石の秘密」
「船長、これ、本当に大丈夫なんですか?」
トビーは、宇宙船『ニャーバスター号』の操縦席で焦った声をあげた。
彼の目の前には、燃えさかる赤い星雲を背景にした荒廃した惑星「ラグドール13」が迫っていた。
「問題ない。オレの直感がニャイオライト鉱石がここにあると叫んでいる!」
船長であるミャクター・キャッツバーグは、三本の尻尾を器用に操りながら航路を修正していた。
猫特有の冷静さと大胆さが彼の魅力だったが、時にそれが災いを招くこともある……。
ラグドール13は、銀河中で最も過酷な惑星のひとつとして知られている。地表は赤黒く焼け焦げ、酸性の霧が漂っていた。酸素は薄く、夜は摂氏マイナス150度に達する。にもかかわらず、この星には「ニャイオライト」という希少鉱石が眠っていると噂されている。それは猫たちにとって伝説的な宝物だ。
「船長、ここで生き延びられる生物なんているんですかね?」
「もちろんだ。猫はどんな環境でも柔軟に適応できる。人間とは違ってな」
「僕をディスるのやめてください!」
***
降下すると、荒野の中にうっすら光る洞窟が見えてきた。ミャクターの三本尻尾が微かに震えた。
「間違いない、ニャイオライトがここにある!」
洞窟内は暗闇と静寂が支配していた。しかし、進むにつれて奇妙な鳴き声が聞こえてきた。
「ミャオオオーン……ミャミャーン……」
「船長、これ、普通の猫じゃないですよね?」
「うむ、これは……『ニャックモン』だ!」
ニャックモンは、ラグドール13固有の生物で、全身を輝く毛で覆われた猫型のクリーチャーだった。彼らはニャイオライトを守る存在として知られている。
「トビー、気をつけろ。奴らは見た目に反して恐ろしいぞ」
「見た目も結構怖いですけどね!」
突如、ニャックモンの群れが二人に襲いかかってきた。ミャクターは素早く跳び、尻尾で空間を切り裂くようにして反撃した。トビーもブラスターガンを取り出し、一生懸命に撃ちまくった。
「船長、これ無限に湧いてきますよ!」
「大丈夫だ、あいつらはニャイオライトのエネルギーに引き寄せられているだけだ」
洞窟の奥深く、巨大な結晶が青白く輝いていた。それが伝説のニャイオライトだった。
「見ろトビー、これが銀河最強の猫を証明する鉱石だ!」
「すごいですね……でも、どうやって持ち帰るんです?」
ミャクターはしばらく考えた後、自慢げに言った。
「簡単だ、オレがポケットに入れる」
「船長、それ無理です!」
ニャックモンの群れが襲いかかる中、二人が結晶をどうにか採掘しようと試みていると、洞窟全体が揺れ始めた。ニャックモンの鳴き声がさらに高まり、天井から岩が崩れ落ちてきた。
「船長、急ぎましょう!このままだと埋もれます!」
「まだだ!この鉱石なしでは帰れん!」
ミャクターは三本尻尾を鉱石に巻き付け、渾身の力で引き剥がした。その瞬間、洞窟が完全に崩壊を始めた。二人は全力で走り、崩れ落ちる洞窟をギリギリのタイミングで脱出した。
***
宇宙船に戻ると、トビーは酸素マスクを外しながら叫んだ。
「船長、命がいくつあっても足りませんよ!」
「だが見ろ、オレたちは成功した!」
ニャイオライトの結晶は船内で美しく輝いていた。その光は、宇宙船のエネルギー源としても利用できるほどの力を秘めている。
「この鉱石でオレたちはさらに遠くへ行ける」
「遠くって、どこまで行くつもりですか?」
「銀河の果て、その先に待つ『猫の楽園』へだ」
***
「ニャーバスター号」は再び宇宙の深淵へと飛び立った。ニャイオライトを無事手に入れたミャクターとトビーの冒険は、さらにスケールアップしていく。次に彼らを待ち受けるのは、宇宙を支配しようとする犬型種族「ワンバイツ帝国」との壮絶な戦いだった――。