宇宙ネコ ミャクター船長の大冒険:エピソード17「エネルギーキューブを取り戻せ!(後編)」
「全艦、追え! 奴らを逃がすな!」
海賊団の幹部ジャック・チーズリーダーの怒号が響き渡る中、ネズミ海賊団の艦隊がニャーバスター号を追跡してきた。
「船長! こんなに多くの艦が追ってきてる!」
トビーが慌ててレーダー画面を指差す。画面には十数隻の海賊船が映し出されていた。
「落ち着け、トビー。俺たちには切り札があるだろう?」
「切り札って……まさかあれを使うの?」
ミャクターは余裕の笑みを浮かべ、船の操縦桿を握り締めた。トビーは船内の兵器コントロールパネルを見つめた。
「そうだ。お前が作った『マウストラップキャノン』だ!」
「マウストラップキャノン、準備完了!」
ミャクターが号令をかけると、トビーはニヤリと笑って操作を開始した。
***
「発射!」
ミャクターの合図でトビーがボタンを押すと、ニャーバスター号の船尾から大きな装置が現れた。それは巨大なバネ仕掛けの罠が取り付けられた特殊な武器だった。マウストラップキャノンが次々と罠型の砲弾を発射。砲弾は敵艦に命中するたびに強烈なバネが跳ね返り、艦を混乱させた。
「うわっ! なんだこれは!?」
ネズミ海賊団の船員たちは罠にかかり、操縦を乱して次々と墜落していく。
「やった! 効いてるよ、船長!」
「これで少しは時間が稼げるな」
トビーが嬉しそうに叫ぶと、ミャクターは満足そうに頷いた。
***
しかし、まだ数隻の艦が追撃を続けていた。
「くそっ、マウストラップキャノンだけじゃ全員を止められない!」
「トビー、お前が冗談で作ったチーズ型トラップ、使いどころだぞ!」
トビーが焦る中、ミャクターが妙案を思いついたようにニヤリと笑った。
「えっ!? あれ、冗談で作っただけで実戦用じゃないよ!」
「試す価値はあるさ!」
ミャクターの指示でトビーは渋々チーズ型トラップを起動した。
チーズの形をした巨大な装置が船外に投下されると、追撃していた海賊艦がその匂いに引き寄せられるように進路を変更し始めた。
「うわあ、効いてる!」
「ほらな、ネズミにはチーズが一番だ」
トビーが驚くと、ミャクターは得意げにしっぽを揺らした。海賊団は完全にチーズ型トラップに囚われ、二人は追撃を振り切ることに成功した。
***
「ニャーバスター号、こちら銀河連盟宇宙ステーション。帰還を歓迎します!」
通信が入ると、トビーが安堵の表情を浮かべた。
「やっと帰ってこれたね、船長」
「当然だ。俺たちに不可能はないからな」
ミャクターはエネルギーキューブを慎重に運び出し、サラ・エクレール高官の元へ届けた。
「ミャクター船長、トビーさん、本当にありがとうございます! 銀河連盟全員が感謝しています」
「感謝の言葉はありがたく受け取るが、次からは警備を強化するんだな」
ミャクターは冗談めかして言うと、サラは苦笑いを浮かべた。
***
「船長、次はどこへ向かうの?」
銀河連盟の宇宙ステーションを後にしたトビーが尋ねた。
「さぁて、どうしたものかな。まぁ三本尻尾の気の向くままに、冒険の旅に出かけるぞ」
「また面倒な旅になりそうだね。でも、それも楽しいかも」
トビーは笑いながら操縦席についた。
ニャーバスター号は再び星々の海へと飛び立つ。彼らの冒険はまだまだ終わらないのだ。




