宇宙ネコ ミャクター船長の大冒険:エピソード16「エネルギーキューブを取り戻せ!(中編)」
「いよいよだね、船長。作戦通りにいこう」
トビーは慎重な表情でコンソールを操作し、ニャーバスター号をステルスモードに切り替えた。ミャクターは一見のんびりしているように見えたが、その瞳には鋭い光が宿っていた。
「安心しろ、トビー。俺たちの計画は完璧だ」
ミャクターは自信満々だったが、しっぽが微妙に揺れているのをトビーは見逃さなかった。
宇宙ネズミ海賊団の基地周辺には無数のセンサーが張り巡らされていたが、ニャーバスター号のパワーアップしたステルス技術を駆使し、ミャクターたちは見事に侵入に成功した。
「基地内部に接続ポイントを見つけたよ!」
「よし、ここからは俺たちが直接行くぞ」
トビーが声を上げると、ミャクターは爪を磨きながら答えた。
二人はニャーバスター号を基地の隠れたスペースに停泊させ、船外スーツを装着して内部へと潜入した。
***
基地内は、ネズミ海賊団の独特な雰囲気に満ちていた。壁にはチーズを模した装飾が施され、通路の至るところでネズミたちが忙しそうに動き回っていた。
「見つからないように気をつけろよ、トビー」
「了解!」
ミャクターはひそひそ声で注意を促すと、ふわりとジャンプして天井近くの梁に身を隠した。トビーも船長に負けじと、素早く柱の影に隠れる。
しかし、二人が慎重に進んでいる最中、トビーがうっかり足元の防犯センサーに触れてしまった。
<<ピッピッピ!>>
警報音が響き渡る。
「トビー! まずいぞ! 急げ!」
ミャクターは俊敏に飛び出し、トビーの腕を三本の尻尾でふわりと器用に掴むと走り出した。
ネズミたちが次々に現れ、二人を追い詰めようとする。だが、ミャクターは狭い通路を巧みに駆け抜け、追跡を振り切った。
「ふう、危なかったな」
隠れ場所に身を潜めながらミャクターが息をつくと、トビーは申し訳なさそうに耳を伏せた。
「ごめん、船長……僕が油断したせいで」
「気にするな、誰だってミスはするさ」
ミャクターはトビーの頭を軽くポンと叩いた。
***
二人は基地の奥深くに進み、ついにエネルギーキューブが保管されている部屋を発見した。
「見ろ、あれだ!」
「これは厄介だな。どうやって解除する?」
トビーが指差した先には、透明なケースの中で輝くエネルギーキューブが鎮座していた。その周囲には厳重なセキュリティ装置が配置されている。
「僕に任せて。端末で分析したデータを使えば解除できるかもしれない」
「よし、頼んだぞ」
ミャクターはしっぽをくるくると動かしながら考え込んだ。トビーは慎重にケースに近づき、小型端末を取り出して作業を開始する。
しかし、そのとき背後から低い笑い声が聞こえた。
「フフフ……侵入者か。勇敢なことだが、ここで終わりだな」
振り向くと、そこには海賊団の幹部、ジャック・チーズリーダーが立っていた。彼は大きな耳をピクピクさせながら、鋭い目つきで二人を見つめている。
***
「捕まえろ!」
ジャックが叫ぶと、部下たちが次々と現れ、二人を囲んだ。
「わわわわ! どうしよう船長?」
「こういうときこそ冒険家の腕の見せどころだ」
トビーが不安げに尋ねると、ミャクターは不敵に笑った。
ミャクターは咄嗟に近くにあった巨大なチーズのディスプレイの根元を自慢の三本尻尾からビームを発射して倒し、海賊団たちに大きな混乱を起こした。その隙にトビーがセキュリティを解除し、エネルギーキューブを回収することに成功した。
「逃げるぞ、トビー!」
ミャクターはトビーを抱え、全速力で出口へと向かった。
ネズミ海賊団の追跡をかいくぐりながら、二人は再びニャーバスター号に戻り、離脱を図るのだった。




