宇宙ネコ ミャクター船長の大冒険:エピソード12「銀河の封印を解け!(後編)」
エクリプス・コアの中心にたどり着いたミャクターとトビー。二人は巨大な石碑の前に立っていた。そこには古代文字でこう記されていた。
『真の封印を解くには、心を一つにせよ』
「心を一つに、ね。」
トビーが石碑を見上げながらつぶやく。
「古代の連中は随分と詩的なことを言うな」
ミャクターは少し皮肉っぽく笑ったが、その表情には緊張の色が見える。
すると、封印の核が淡い光を放ち始めた。その光は二人を包み込み、空間が変化する。次の瞬間、彼らは奇妙な映像の中に立っていた。
***
映像の中には、無数の星々が爆発して消えていく様子が映し出されていた。二人の心に直接声が語り掛けてくる。
(これは銀河が破壊される未来の可能性。この封印は、銀河系全体をつなぐエネルギーのバランスを保つためのものだ)
ミャクターは鋭い目を細めて映像を見つめる。
「つまり、この封印を修復しないと、全てが終わるってことか」
「でも、どうやって?」
トビーは焦りながら問いかける。
声は続ける。
(封印の核は、二つの心が完全に調和したときにのみ安定を取り戻す。お前たちが互いを信じ、一つの目標を共有できるかどうか、それが鍵だ)
***
突然、空間が揺れ、ミャクターとトビーの目の前に巨大な存在が現れた。それは、無数の光の結晶で構成されたドラゴンのような姿をしていた。先ほどと同じ声で二人の心にそれは語りかけてくる。
(封印を修復する力を与える前に、お前たちの絆の力を試させてもらおう)
ドラゴンは低い声で告げ終わると同時に、二人に向けて光弾を放った。ミャクターは素早くトビーの前に飛び出し、光弾をエネルギーを纏わせた三本の尻尾で器用に弾き返す。
「船長!」
「大丈夫だ。だが、あのドラゴンをただ倒せばいいわけじゃないみたいだな」
トビーは古代文字の解析を進めながら、ミャクターと連携して動き始めた。ドラゴンの攻撃をかわしながら、文字が次第に明らかになる。
『心を通わせ、互いの役割を全うせよ』
「分かった! 僕が封印の修復方法を探す間、船長は時間を稼いで!」
「了解だ、トビー!」
ミャクターはドラゴンに向かって挑発的に尻尾を揺らし、注意を引く。一方で、トビーは石碑の文字を解読し続けた。
***
激しい攻防の末、トビーはついに文字列の意味を完全に解読した。
「船長! 封印を修復するには、二人で同時に核に触れなきゃいけない!」
ミャクターはうなずき、ドラゴンの攻撃をかわしながらトビーの元へ走る。
「行くぞ、トビー!」
二人は力を合わせて封印の核に手を伸ばした。核が二人のエネルギーを感知すると、周囲の空間が眩しい光に包まれる。
***
光が収まり、エクリプス・コアは静寂を取り戻していた。封印は完全に修復され、銀河全体に安定が戻ったことが分かる。
ドラゴンは柔らかな光の粒となり、二人の心に向かって語りかける。
(お前たちの絆を認めよう。封印は守られた。これからも銀河を見守ってくれ)
トビーはほっとした表情でミャクターを見た。
「やったね、船長!」
「ああ、やっぱり俺たちならどんな困難でも乗り越えられるな」
ニャーバスター号に戻った二人は、次の目的地に向けてエンジンを始動させる。
「銀河の平和を守る旅はこれからも続くぞ、トビー」
「了解、船長!」
宇宙船は光速で飛び立ち、そして彼らの新たな冒険がまた始まる――。




