宇宙ネコ ミャクター船長の大冒険:エピソード11「銀河の封印を解け!(中編)」
それぞれの試練が彼らの本質を試していた。暗闇の中で孤立したミャクター。目の前に立ちはだかる獣は、銀色の瞳を輝かせながら、船長を睨みつけていた。
「この試練、乗り越えなければ銀河は救えないってことか……」
ミャクターは尻尾を高く掲げ、力を込めて構えを取る。
一方で、明るい光の中にいるトビーは、無数の古代文字を前に頭を抱えていた。
「『絆が試される』……それってどういう意味なんだ?」
古代文字が次々と形を変えながら、トビーの周囲に浮かび上がる。急に文字が赤く点滅し、足元の床が揺れ始めた。
「うわっ! これ、時間制限があるのかよ!」 トビーは慌てて文字を解読し始めるが、焦りのせいでなかなか進まない。
***
ミャクターの前の獣が低い唸り声を上げる。獣は力強い足取りで近づき、今にも襲いかかりそうな様子だ。
「俺を試しているんだな。力で勝てって?」
だが、ミャクターは目を細めて獣をじっと見つめた。
「いや、違う。これはただの力試しじゃない。この試練が『絆』に関わるなら、戦いじゃ解決しない」
ミャクターはゆっくりと構えを解き、足元に座り込んだ。そして、穏やかな声で話しかける。
「分かるぞ、お前も孤独なんだろ? 俺がこの道を行くには、お前の助けが必要だ。でも、お前も一人でここにいるのが辛いんじゃないか?」
獣は一瞬動きを止めた。銀色の瞳が揺れ、低い唸り声が次第に消えていく。
「よし、仲間になってくれないか。お前と一緒なら、この封印を守ってきた意味が活きるはずだ」
その言葉を聞いた獣は、ミャクターに近づき、静かに頭を下げた。
***
光の中で苦戦を続けるトビー。解析途中の文字列が消えかけ、さらに足元の揺れが激しくなる。
「ダメだ、時間がない! でも、これだけははっきりしてる……『絆』が答えだ!」
彼はふと、あることを思い出した。以前、ミャクターが彼に語った言葉だ。
「困ったときは力を借りろ、一人で抱え込むな。それが冒険の基本だ」
「そうだ、船長がいたらどうする?」
トビーは自問しながら、周囲の文字列を見渡した。そして意を決して叫ぶ。
「ミャクター船長! どこにいるか分からないけど、力を貸してくれ!」
その瞬間、光が弾けるように散り、空間全体に響く声が聞こえた。
「トビー、お前ならやれる。信じろ!」
ミャクターの声だと確信したトビーは、文字列の中から一つの答えを導き出した。
「これだ……『絆』の力!」
彼がその答えを口にすると、光が全ての文字を包み込み、空間全体が一瞬で静けさを取り戻した。
***
トビーが目を開けると、目の前にはミャクターが立っていた。尻尾を三本とも揺らしながら、満足げな笑みを浮かべている。
「船長! 無事だったんだ!」 「お前こそよくやったな、トビー」
二人の周囲が急速に変化し、試練の空間が消えていく。気づけば彼らはエクリプス・コアの中心部に立っていた。
そこには巨大な石碑があり、銀河の封印の核が鎮座している。
「この次のステップで封印を修復するんだな」
「うん。でも、きっとこれが本当の試練だよ」
彼らは石碑の前に立ち、次なる挑戦に備えるのだった。




