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宇宙ネコ ミャクター船長の大冒険:エピソード9「ボーンアルマナックの伝説」

 銀河連盟の外縁地帯に停泊しているニャーバスター号。ミャクターとトビーは久々の休息を楽しんでいたが、そんな平和なひとときが突如として中断される。


「船長、通信が入ったよ 差出人は……犬族?」

「犬族?連中が俺たちに何の用だ」


 ホログラムに映し出されたのは、屈強な体格と鋭い目つきを持つドーベルケイン。犬族の名高い戦士であり、ミャクターとは以前、一触即発の状況になったこともある。


「ミャクター船長、我々は助けを求めている」

「助け?俺たち猫族と犬族は敵対関係だぞ それが、いきなり頼み事とはどういうことだ?」


 ドーベルケインは少しためらいながらも語り始めた。犬族の古代遺産「ボーンアルマナック」が、銀河の片隅に隠されているという。しかし、その場所は犬族だけではたどり着けない特殊な磁場に覆われており、猫族の敏捷性と知識が必要なのだという。


「船長、これ引き受けるの?犬族のために?」とトビーが戸惑う。

「当然だ 冒険者はどんな依頼にも挑むんだ それに、犬族と猫族の間に少しでも平和をもたらすなら悪くない」


 こうして、二人は犬族の頼みを受けることになり、「ボーンアルマナック」を探す冒険が始まった。


***


 ボーンアルマナックが隠されているのは「グラビティ迷宮」と呼ばれる惑星。そこは激しい重力変動と奇妙な空間のねじれが特徴の、銀河でも屈指の危険地帯だった。


 ニャーバスター号が迷宮の上空に到達すると、船内の計器が軒並みエラーを起こし始める。


「トビー、手動操縦に切り替えだ!しっかりつかまれ!」


 船を激しく揺らしながらも、ミャクターは見事な操縦技術で着陸に成功する。


「船長、ここ、なんか嫌な予感がするよ……」

「怖がるな 俺たちには三本の尻尾とお前の知恵がある」


 迷宮の入り口に足を踏み入れると、すぐに重力の異常が二人を襲う。体が急に重くなったり、逆に宙に浮かされたりと、不安定な環境が続く。


「船長、どうやって進むの?」

「こういうときは直感だ、トビー」


 ミャクターは軽やかに障害を避けながら進んでいく。途中、二人は謎めいた機械仕掛けの守護者と遭遇する。


「不法侵入者、即時退去せよ!」


 守護者の声が響き渡り、巨大な腕が襲いかかる。


「トビー、あれを止めろ!」

「ええっ、どうやって!?」


 トビーは慌てて携帯型デバイスを使い、守護者のシステムにハッキングを試みる。


「……よし、動きを止めた!」


 二人は危機を乗り越え、迷宮の最深部へと到達する。そこには、骨のように輝く金属製の本「ボーンアルマナック」が鎮座していた。


「これが犬族の秘宝か……」


 ミャクターがそれを手に取った瞬間、迷宮全体が揺れ始める。


「船長!崩れるよ!」

「走れ、トビー!」


***


 ニャーバスター号に戻った二人は、急いで惑星を離脱。振り返ると、グラビティ迷宮は完全に崩壊していた。


「間一髪だったな……」

「ほんと、もうこんな危険な依頼はお断りだよ!」とトビーは息を切らしながら答える。


 二人は約束通り、犬族の母星に向かう。迎えに現れたドーベルケインは、ミャクターが「ボーンアルマナック」を手にしているのを見て目を見開く。


「これは……本当に『ボーンアルマナック』か!?」

「お前たちの悲願だったんだろう?ほら、受け取れ」


 ミャクターが差し出すと、ドーベルケインは慎重にそれを受け取った。感謝の意を示すように深々と頭を下げる。


「猫族がここまで協力してくれるとは思わなかった 我々は君たちを誤解していたのかもしれない」


 その場には犬族の代表者たちも集まっており、次第にざわめきが広がる。ミャクターはその雰囲気を察し、静かに口を開いた。


「これが猫族と犬族の間の争いを終わらせる第一歩になればいいと思っている」


 トビーが小声でささやく。


「船長、なんだかカッコいいよ」

「当たり前だ」


 ドーベルケインはボーンアルマナックを高々と掲げ、その場にいる犬族全員が歓声を上げた。その瞬間、猫族と犬族の間にわずかながらも友情の芽が生まれたのだった。


*** エピローグ ***


 ニャーバスター号が再び宇宙を進む。


「船長、犬族に感謝されるって、ちょっと悪くないね」

「ああ、たまにはこういうのも悪くない」


 三本の尻尾を揺らしながら、ミャクターは少し誇らしげに微笑む。トビーも同じように笑い、銀河の彼方に目を向けた。


 次なる冒険の舞台は、すでに彼らを待っている。

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