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プロローグ 第0話「幸運=(イコール)日常」

これは、桐島歩夢が己の夢を叶えるために戦う前の日常の話。

[8月30日の深夜 12時]

 真夜中である。


 12時になり、日付も変わってしまった。

 夏休み終了まで、最後の2日を有意義に使っている。


 夏休みが終わると、大量の課題提出や、試験(課題テスト)などが待っている。

 俺はなんとか、早めに終わらせることができたが、問題は試験である。

 真面目に課題を取り組んだとはいえ、良い点を取れるかは、やはり、勉強の取り組み次第であろう。

 あとは、才能とか……?


「俺の才能は、いったい、なんだろうか………」


 俺は、独り言を喋りながら、冷静に、自分の才能について分析していた。


 変なことをしている自覚は、いつもある。

 こういう時間は俺の中で楽しみになっている。

 正直、才能についていくら考えところで、変わりはしないだろうに、なぜか、考えてしまう。


 俺は自分にない才能に憧れてしまう。

 この気持ちを理解してくれ人はいると思う。

 そして、多くの人は、最も重要な才能を見つけだすことは難しい。

 

 『自分の才能は、何か?』と考えるた時、他より優れた才能ではないが、『継続』という言葉が浮かんだ。


 継続の意味は、【昔から続けていることを、今も続けていること】を指す。


 人は、簡単に変われるものである。

 だが、変化することは容易くとも、それを継続することは難しい。


 自分がなりたい存在になるために続けていたことも、叶って仕舞えば、続けたことをやめてしまう。

 続けることをやめたと同時に、変化することも、またやめたことになる。


 結局のところ、『継続は大切だ』と、俺が言いたいだけなのかもしれない。

 これは、ただの自己満足だな。

 まっあ、俺の妄想論は暇つぶしでしかなく、自分で言って納得することで終了する。


『ハァ〜〜』


 俺は【才能】と【運】で人生の半分は決まると思っている。


 自分の才能を少しは理解している。

 けれど、運の事は理解していない。

 才能を選べないように、運(勢)も選ぶことはできない。

 そもそも【運】自体も具体的なものではない。


 時々、才能や運を自由に操れたらと、考えてしまう。

 そうすれば、人生設計なんて楽なのに……

 運……やっぱ、深く考えることでも……ないか。

 結局、俺の才能と運は変えれない。


 隙間風が、窓から吹いてきた。


 それは意外にも冷たかったが、夏の終わりを感じた。

 季節が変わり、人は成長と現状維持のどちらかを続ける。

 

「ハァ〜〜寝ようか」

 残り2日、一日くらい遊んでも良いかな。


[8月30日朝 7時]


 朝起きるたびに寝癖がついていてしまう。

 ほんと、直すのが面倒である。


「ファ〜ア、ハァ〜まだ7時か、二度寝ができそうだ……」


 でも、ここで寝てしまったら約束の時間に間に合わないだろうなぁ〜

 それは非常にまずい。

 寝癖がさらに広がるばかりか、準備するのも、ひと苦労になるだろう。

 仕方ない。起きるとするか………


 俺は念の為に設定しておいた目覚ましを消し、階段を降り、洗面所に向かった。


「ぁ!…ウ〜ン……おはようございます」


「私の裸、見たよね……?」


「いえ、手で隠しているので見えません……」


「今、隠した!」


「ごめん、ちょっとだけ見ました」


「…………」

 会話が止まってしまった。


 突然だが、目の前の女の子は妹である。

 ちなみに、紹介が遅れてしまってすまない。


 俺の名前は『桐島彩夢』(きりしま あやむ)

 現在は高校三年の(18)歳。

 得意科目は、国語と英語。

 趣味は、読書にアニメ鑑賞・ゲームと、多趣味である。

 特技は、暗記と計算


 そして、一番大事なものは家族、特に『妹』。

 今、妹好きなことが気持ち悪いと感じんだ人、本当に悲しくなるから、やめてくれ。

 逆に共感してくれたお兄ちゃん達、感謝する。


 そんで、妹の紹介だ。


 名前は、『桐島恵道』(きりしま あやね)

 得意科目は、たぶん数学。

 趣味は、読書だと思う。

 そのほかの趣味は、まだ調査中。

 恵道の大事なものは、まだ知らない。


 知りたい気持ちはあるが、無理に聞くのは、流石にできない。

 いつか、お兄ちゃんが一番好きと言ってくれることを待つ。


 でもまぁ〜現状は普通の日常が続いているから、夢を探す必要はない。

 けど、俺にとって『夢』は重要なことだ。


 いずれ、夢は決まるだろうと、考えながら今を過ごすことしている。

 大抵の人は、夢を持たないのかもしれない。


 現実的な生き方を選び、日々の日常を楽しもうとする。

 今がそういう時代背景なのも、関係しているのかもしれない。

 けど、『夢』を叶える人はすごいと、度々思ってしまう。


「やべ、説明が長すぎた。すまん」

「お兄〜誰に言ってんの?」


「天の人たち……とか?」

「ハァ〜どこに私達の会話を見てる人がいるのよ……」


「ここが異世界なら、物語になっているかもな」

「アホくさ。私、風呂に入るから早く出て」

「了解、いたしました……」


 俺は妹が風呂に入るのを待っている。

 もちろん、覗くためではない。顔を洗うために待っている。


 ……改めて考えると、成長した妹の姿かぁ〜〜兄として気になるが、異性として気になるのか、時々勘違いしてしまう。

 それでも、俺は恵道のお兄ちゃん。

 恵道が好きなことは、変わらないだろう。


「恵道からの許可が出るまで、俺は動かない」


「お兄〜?お風呂に入ったから洗面所、使っていいよ」


 お風呂場から恵道の声がする。


 ……さっきは恵道の裸を一瞬、見てしまった。

 しかし、先ほどの語りをしたあとだ………

 妹の成長観察という理由なら、覗くのは許されるのでは!?


「おにぃ〜まさかとは思うけど、覗いたりしないよね……?」


「も、もちろん、俺は見守り型のお兄ちゃんだ。そ、そんなことはしない」


 必死に己の願望を抑え、洗面所までにした。


 今日は恵道とお出かけショッピングをする。


「さっきの事は脳内フィルターに残して、準備をしよう……アイツ、大きくなったか?」


 夏休み最後の兄妹デートだ、全力で楽しもうじゃないか。


 俺は部屋に戻って、着替えの準備をすることにした。


「最近は家で勉強ならぬ、課題ばかりしていたから、外に出てなかった気がする」


 服とか、なに着ようか……?

 黒かネイビーのTシャツとズボンかなぁ〜〜?

 定番だと思うが、どうする?別のにするか?


「こうなったら、ネットで検索するかぁ〜」


 素直にネットで調べることにした。

 今の定番は、やっぱりメンズなんだ。


「なになに〜白のTシャツ、ラウンドネック、ポケットパンツなのか」


 母さんと一緒に出かけた時に買った気がする。

 頼む、あってくれ!


 俺はお願いしながら、タンスを開けた。


 なんとか似たような服が見つかり、それを着ることにした。

 彩音に見せたが、反応はなく、無視されてしまった。

 しかし、『ダサい』の一言が無かっただけでも、マシな服装であることは確認できた。


 妹との会話は、そんなに少ないわけではない。

 最近のネット社会においても、兄妹トークは、そこそこするほうである。


「お兄ちゃん、……ずっと考えごとしてるけど、準備できたの?」


「あ、ああ。ちょっとな」


 まさか、妹にお兄ちゃん『カッコいい』と言われてたいとは、言えない。


「そうなんだ…その格好、意外と似合ってるよ……」


「オォォ!!今、『似合ってる』と言われたのか!?」

「何にも言ってない」


「でもさっき、似合ってると?」

「『お兄い嫌い』って言ったの!!」


「えっ?おい!!恵道………!?」


 怒って自分の部屋に戻ってしまった。


「これは反省…だな」


 さすがに謝らないなぁ〜恵道に嫌われそうだ。


「悪い、はしゃぎすぎた。俺…恵道に褒められて、つい嬉しくなって……だから、許してくれませんか?」


「別に、怒ってない。私、準備するから待ってて、お兄ちゃん““」



夏休み ショッピングにて カネ消える (字余り)


「変な五七五を考えてないで、早くお買い物したいんだけど?……」


「夏休み最後と言えば、虚しいか忙しいのどちらかになると、俺はそう思う。だから、その気持ちを表現してみた」


「それはどうでもいいけど、私は服とかスイーツ巡りするけど、お兄ちゃんはどうするの?」


「えっ、そんなの一緒について行くけど……」

「え〜なんか嫌だ。あと恥ずかしい」


「そんなに俺、恥ずかしい存在なの!?」

「まぁ〜今日のコーデなら、別にいいか……」


『トゥル〜ルル〜ルー』

 桐島歩夢は妹とデートする権利を手に入れた。


「セルフ効果音……?やっぱり無しにすればよかった……」


 それから俺と彩音は洋服や、映画を見たり、カフェでお茶などをして、楽しみ尽くした。


「あれ、新しい本屋さんができてる……?」


「ホントだ。電車の時間もまだあるから、よってみるか」


「お兄い!【恋の坂】の新刊あるよ!!」


「なに!?もう出てたのか……最近は家から出ていなかったからなぁ〜よし、夏休み最後は【恋の坂】を読んで終えることにしよう……」


「テストは大丈夫なの?」


「それ言うなら彩音だって、課題は終わったのか?」


「ウッ!?いやぁ〜課題はあと、2個だから、その〜国語の残りはお兄ちゃんがぁ………やってくれるよね⭐︎」


「元気よく頼むなよ。……ハァ〜あと一つは?」

「夏の友です」


「簡単に終わるじゃん」


「お兄ちゃんは『夏の友』の事を侮っている。あれは『夏の敵』なんだ。仲間のふりをして、夏休み最後に裏切る最大の強敵」


「しかも、ページ数が他のよりも少ないわりに、面倒な課題が多いんだよ!!」


「だから、私達は『夏の友』のことを安易に信用してはならないだ!!」


「わかった。お前が夏の友を後回しにしても大丈夫だと、鷹を括っていたら、中身を見て絶望したことは……」


「グッ!?」


「まったく、国語の答えを紙に書いておくから、自分でやって、後で答え合わせをするんだ」


「え〜全部書いてよぉ〜」


「俺が国語の問題を解いたら意味ないだろ。答えがあるだけ、マシに思え」


「あと、必要ない知識だけど、夏の友って、学校によって『夏の生活』、『夏休み帳』など、名前が違うらしい」


「へぇ〜どっちでもいいよ。どうせ、課題には変わりないんだから。それよりも、私も【恋の坂】の新刊を読みたいから、終わったら貸して?」


「ああ、別にいいよ。テストが終わって、俺が読んだあとならな……」


「お兄ちゃん。隣のお店も新しくない?ちょっとだけ、見てもいい……?」


『未来堂?』雑貨屋みたいだけど、新しくできたにしては、妙に古く感じる。


「本気で電車の時間やばくなるから早くしろよ……」


「綺麗な腕輪がある……定員さん。この腕輪、二つありますか?」


「はい。二つですね。これは幸運の腕輪なんです。胡散臭いと思うかもしれないが、本当に『運』があるんですよ」


 胡散臭いとしか、思えない……


「恵道、別のに……」


「これください。大丈夫だよお兄ちゃん!怪しいほうが、面白そうだから!!」

「これで、私とお兄ちゃん合わせて強運だね⭐︎」


「あ、ああ。恵道がいいなら、別に何も言わないが……ウ〜ン、ありがとうな…」


 まっあ、こいうのもいいか。


「お兄ちゃん、電車がもうすぐ来ちゃうよ!?」

 結局、時間がギリギリなので、駅まで走ることになった。



 電車に乗り、夕方には家には帰りついた。


「今日は……お兄ぃの態度が違った気がする?」


「外でも妹に対して、お兄ちゃん属性全開だったら、俺は変人扱いされるからな」


「そうやって、学校でも猫かぶってるだ!!」


「高校生らしいと言ってくれ。思春期の学生は、隠し事が多いからな」


「私達って、なんか真逆だよね」


「お兄〜ぃは隠し事が多いからね。夢の話とかも、聞いたことがないよぉ〜」


「そもそも夢の話なんて、お互いに話題に出さないからな。恵道はどうなんだ?」


「どうと言われても、お兄には話さないよ……」


「いや、お前が聞いてきたんだけど……」


「まぁ〜具体的な夢ならあるけど、芸能とか……?」


「女優とか声優になりたいのか?」


「私は、声優になりたい……声のお仕事をやってみたい………かなぁ〜」


「そうか。だったら、もし恵道が高校生や大学生になって、それでも声優になりたいと考えているのなら、お兄ちゃん、全力で応援する!!」


「応援してくれるのはありがたいけど、やっぱり、難しいよね……」


「どんな夢を叶えるにしても、難しい事だから、簡単に諦めちゃいけないと思うぞ」


「そんなこと言って、彩夢にぃこそ、将来の夢なんて、ないんでしょう〜!」


「どおせ、『俺にとってこの日常が夢だ』とか、痛い発言、言ってそう……」

 ……見透かされている。


「恥ずかしいけど、俺は将来の夢は考えたことないんだ」


 夢を持ってる人…夢を叶えた人……全員………羨ましく思う。

 俺、何のために学校に行ってるのか、本気で考えていなかった気がする。

 これからはちゃんと、『将来の夢』決めないといけない。


「お兄〜喋っている暇があるなら、手を動かさないと」


「よし、俺は国語の問題集は全部、終わった」


「えっ!?もう終わらせたの!?お兄ちゃん早すぎよ!!??」


「俺は明日の試験勉強をするから。早く終わらせろよ……じゃないと、夢オチするかもな」


(9月1日 夏が終わり、新たな日常を迎える)

新作を書きました。

 読んでくれるとありがたいです。

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