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キミじゃないと言われても  作者: 明瀬 うらび
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4・5、出会いがもっと早ければ(諏訪野視点)


次の日の朝、森尾さんにお礼を言いに行こうと森尾さんのクラスに行くと林川さんと森尾さんが会話しているのが聞こえた。


ちなみに森尾さんと林川さんは同じクラスで、俺と細貝が隣のクラスだ。


なんとなく普段どんな会話をしているのか気になって、様子を見ることにした。


「なんか怪しい」と林川さん。


「なにが?」と返す森尾さん。


「諏訪野くんといい感じじゃない?昨日だって二人でいなくなったし」


確かに昨日は飲み物を買いに行くと言って、俺も森尾さんもすぐに帰らなかった。

怪しまれても仕方ないかも。


「それはないよ」

森尾さんは、すぐに否定した。


「じゃあ美玖は?どう思っているの?」


林川さんの質問に森尾さんがなんて答えるのか凄く気になった。


「弟みたいな?とにかく全然なんとも思っていないから」


と言っているのを聞いて、何故かショックを受けていた。


面倒ばかりかけている自覚はある。


今更とりつくろってもどうにもならないし、森尾さんにはメンタル弱くて情けない所ばかり見られているのはわかっているけど。


この前は膝枕してもらったし。


弟か・・・。


そう思われても仕方がないかも。


確かに俺はまだ森尾さんと知り合って間もないし、お互いのことをよく知らない。


森尾さんとメールのアドレス交換をしたけど、まだ1度も使ったことはなかった。


俺からもメールをしたことはないし、もちろん森尾さんから来ることはない。

仲良くなりたい気持ちはあるけど、なんてメールしたらいいかわからない。


結局ただの顔見たら挨拶する程度の友達止まりなんだろうか。


ため息が出た。


俺は細貝以上にはなれないのかな。


つき合ってはいないけど、結局森尾さんと仲がいい男友達はなのは細貝で。

1年の時に細貝に向けていたあの笑顔を俺にも向けて欲しい。


教室に帰り、早速細貝にどうやって森尾さんと仲良くなったか聞いてみたけど、


「う~ん。確かに森尾って人見知りのところあるからな。仲良くなるのは長期戦覚悟しといた方がいいぞ。俺だって3ヶ月はかかったもん。最初の1ヶ月は会話のキャッチボールもなかったし。それでも話し続けて、3ヶ月ぐらいしてからかな。仲良くなったなって実感できたの」


「コミュ力高い細貝でも3ヶ月も?!・・・それなら俺なら1年はかかるじゃん」


「いや~、諏訪野は顔面偏差値最強じゃん。それを利用して押せばなんとかなるんじゃねえ?意外と森尾って押したら弱い所あるし」


「う~ん」

押すってどうやるんだ?

そんなことしたことないからわからない。


「なんの話?」

気づいたら、林川さんが横にいて、話に入ってきた。


「諏訪野が森尾と仲良くなるにはどうしたらいいかって聞いてきたから長期戦覚悟しろって言ったの」


「確かに美玖ってなかなか最初心開いてくれなかったかも」


「ちなみに林川さんは仲良くなるまでどのくらいかかったの?」


「う~ん、覚えていないけど1ヶ月ぐらいかな?でもそれは細貝くんの彼女だからってことで普通より早く仲良くなれたかも」


「はあ~、林川さんでもそうなんだ。長期戦覚悟だな~」

林川さんのような自然体のすぐに友達出来そうな人でも1ヶ月か。


仲良くなるにはやっぱり先が長そうだ。


「林川さん、なんとかアドバイスない?」


「美玖って妹と弟いるせいか、しっかりしているし、行動も判断も早いし隙がないしな~。頼るとかしないし、なにかあっても自分で解決しちゃうしな。う~ん、好きなお菓子とかプレゼントするのは?」


「餌付けみたいなかんじ?でも森尾さんって、そんなことでは懐柔されなさそうだけど」


「でも何もしないよりは、いいんじゃない?」


「そうだよね。じゃあ、森尾さんの好きなお菓子教えて貰っていい?」


「うん」

俺は森尾さんの好きなお菓子と、傾向を聞いたのだった。


早く森尾さんのこと紹介してもらえば良かった。

森尾さんのこと細貝からいい人だって散々聞いていたけど、ふーんぐらいにしか思ってなかった。


俺には仲良くしている女子はいない。

みんな適当な距離でつきあっている。


ぐいぐい来られても、そつなくかわしてきた。


だけど森尾さんは他の女子とは違って、仲良くなりたいと思う。


でも今は高校3年だ。

これから進路や受験なんかで忙しくなる。


これから仲良くしようにも、なかなか難しいかもしれない。


俺はもっと早く森尾さんに出逢えていたらとよかったのにと思ったのだった。






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