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キミじゃないと言われても  作者: 明瀬 うらび
2/13

2、またこのパターン

「wデートっていうか、諏訪野くんと美玖と俊哉と私と4人で遊園地に出かけない?」


ある日令華と細貝くんに提案されたのは、4人で出かけないかと言う話だった。


遊園地ってハードル高くない?

マジのデートコースじゃん。


「・・・諏訪野くんって、あの諏訪野くん?」


「あのの意味がわからないけど、隣のクラスの諏訪野くんだよ。俊哉と友達なの」


隣のクラスの諏訪野くんは、イケメンで有名だ。

女子人気がダントツで高い。


確かに私も普通に格好いい人だなとは思う。


1週間で告白された数は2桁いったことがあるとか、バレンタインのチョコレートは大きな紙袋3袋分貰っていたとか。


おおげさじゃない?そんなことあるの?と信じがたい噂を聞く人だ。


高校3年間通っているけど、同じクラスにもなったことがなければ、話したこともない。


このまま関わる事なんて高校生活でないだろうなと思っていた。


細貝くんと友達だったなんて知らなかったけど。


_____って、


なぜ?私が???


「俊哉が諏訪野くんと遊園地の話で盛り上がって、どうせ行くなら女子と4人で行きたいって話になって、諏訪野くん彼女いないし、美玖も彼氏いないしどうかな?」


・・・それって、別に私じゃなくてもよくない?


まず人見知りの私が初対面の諏訪野くんと会話が弾むとは思えない。

諏訪野くんだって、話したこともない私みたいな女子より、他の誰かと行った方が絶対楽しいはず。


それに4人で遊園地行くところなんて見られたら、諏訪野くんのファンに恨まれそうだし、行きたくない。


「・・・遠慮するわ。誰か他の人誘って」


「私どうしても美玖と行きたいんだけど、ダメ?」


そんな上目遣いで私を見ても、私女子だし。

かわいいなとは思うけど、嫌なものは嫌だ。


「ごめんね」


と断ったから、この話は終わったと思っていたんだけど____



*********


「森尾さん。ちょっといい?」


休み時間友達と話していたら、諏訪野くんに話しかけられた。


周りからなんでこいつが?みたいな目で見られているのがわかる。

目立ちたくない。

静かな学生生活を送りたいのに。


「・・・何?」


話を早く終わらせたい私は、要件を聞いたけど


「ごめん。ここでは・・・。ちょっと来て」


と諏訪野くんに強引に腕を引かれる。


人気ひとけのない廊下に連れてこられると、

「なんで4人で出かける話断ったの?」

と言われた。


「別に。理由なんて行きたくないからじゃだめなの?」


「林川さんがどうしても森尾さんが一緒じゃないと行かないって言っていて、話が流れそうなんだ」


「・・・そんなに行きたいの?遊園地」


「行きたい!!」

力強く即答だった。


「理由は?」


「・・・」


理由を聞いただけなのに口を閉ざす諏訪野くん。

言えないような理由なら時間の無駄と踵を返すと、腕を捕まれた。


「俺、林川さんが好きなんだ。細貝と付き合っているのはわかるけど、好きなんだ。一緒に出かけるチャンスを逃したくないんだ」


ああ。

なるほど。


諏訪野くんも令華が好きなんだ。

そして私のことはお飾りか何かかと思っているのかな?


目的は森尾キミじゃないって遠回しに言われても、反応に困る。


結局またこのパターンか。


「だから?」


くだらない。

そう思ったら、低い声になってしまった。


諏訪野くんは私を見て一瞬震えた。


「森尾さんだって、細貝のこと好きなんじゃないの?だから彼氏も作らずにいるんじゃないの?」


「いや、べつに。友達としか思ってないけど」


「2年前休み時間ごとにずっと2人で話して、恋人かって思うぐらい仲がよかったよね。あの時細貝のところに行っても2人があまりにも仲がよくて、入れる雰囲気じゃなかったもん。俺細貝から彼女出来たって聞いたとき、相手は絶対森尾さんだと思ったよ。森尾さんも俺と同じ報われない片思いしているんじゃないの?森尾さんにとってもこれはチャンスだよ」


なにがチャンスだ。

私は細貝くんが好きとかではないのだ。


いいお友達。


でも諏訪野くんの話を聞いて、2年前のあの時感じたいい雰囲気だったのは、気のせいじゃなかったのかなと思った。


私も細貝くんがいいなって思っていた時期があった。

でも、好きになる前に彼女が出来た。


諦めるしかなかった。


好きになる前だったから、諦めるのは簡単だった。


でも今更だ。

今は特になんとも思っていないし。


「・・・細貝くんは友達だし。仲がいいのは本の趣味や見たい映画なんかが似てるから。今でも実際仲がいいし。彼氏が出来ないのは私がかわいくないからでしょ」


告白されるのが日常的な諏訪野くんとは違う。


彼氏作るのってそんなに簡単じゃない。

今まで17年告白したこともなければ、されたこともない。


「そんなことない。森尾さんは可愛いっていうよりは綺麗系かな。そして隙がないからなかなか話しかけづらいんだと思うよ」


「お世辞言われても、嬉しくないんだけど」


嘘だった。

諏訪野くんみたいなイケメンにそんなこと言われたら嬉しくないわけがない。


嬉しくて顔がにやけそうなのを必死にこらえていた。

ちょっと綺麗って言われてこんなに喜んでいる自分がチョロくて嫌になる。


「俺、多分一緒に行くのが森尾さんだから行きたいって思ってたんだ。細貝が目茶苦茶褒めるんだよ。森尾さんは本当にいい人だって」


細貝くんがそんな風に私のことを誰かに話していたなんて、素直に嬉しい。


「だから俺、森尾さんのことも知りたいし、一緒に行こうよ。ね?いいでしょ?」

と諏訪野くんに笑顔で言われたけど、考え事をしていたから聞こえなくて何も考えずに「うん?」と聞いたつもりだった。


「ありがとう」

と言った諏訪野くんを見て、今のうんは違うよって言いたかったけど、あまりにも嬉しそうだったから言えなかった。


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