5 突然の魔物襲来
「誰かぁー!助けてくれー!」
どこからかそんな声が聞こえてきた。
「どうしたんだ⁉︎」
「森で木を切っていたら、急に魔物の群が現れて、追いかけられてるんだ!」
魔物の群⁉︎これ、ヤバイやつじゃないか⁉︎しかも、向かっている方向はアモール。これは、魔物の群を止めないとアモールにまで被害が出る!
ドッドッドッドッドッ
魔物が走ってる衝撃で、地面が揺れてる!ちゃんと踏ん張ってないと、倒れそう……。それよりも、早く助けないと!
「えーっと……アント、俺って魔法使えたっけ?」
「おう、使えるぞ。ファイアーボールとか。」
じゃあ手をかざして……。
「ファイアーボール!」
ゴオッ
やっぱりそのスキルの名前を言ったらスキルが発動できるらしい。
「「え?」」
「と、とりあえず助けてくれてありがとう。」
「どういたしまして。……この魔物はどうする?」
「魔物は、持っていくとギルドが買い取ってくれるんだ。持っていくの手伝うぞ。」
「あ、いや、俺はアイテムボックスがあるんだ。」
…………
しばし沈黙が流れる……。え?俺、なんか変なこと言った?
「ははは、そんなことはないだろう。マジックボックスは伝説のスキルだぞ!」
「え?でも、実際使えるんだから……。」
俺は実際に入れる所を見せた。
「…………。」
男は口をあんぐり開けている。
「え、えーっと、気を取り直して、様々な種類の魔物が群になっていた事をギルドに報告しに行くんだが着いてきてくれないか?目撃者だしな。」
「ああ、分かった。」
こうして、俺たちはギルドに行く事になった。
「今から重大な報告がある。ギルドマスターに会わせてくれないか?」
「は、はい!では、少しお待ち下さい。」
そう言って受付嬢は奥へ消えていった。ギルドマスターに事情を話しているんだろう。
「では、こちらへどうぞ。」
受付嬢に案内された部屋には、一人の男が堂々と座っていた。
ゾワッ
こんな俺でもこの男が強い事が分かる……。きっと、今このギルドにいる全員でかかっても勝てないだろう。そんな事をオーラが物語っている。
「俺がギルドマスターだ。早速本題に入るが、重大な報告とはなんだ?」
「森で木を切っていたら、急に魔物の群が現れた事だ。」
え⁉︎この男、ギルドマスターに普通に話しかけられてる……。すごいな。
「な、なんだと⁉︎その魔物は、どうなったんだ?」
「この男が全て倒しました。」
「……え?」
やっぱりそうなるよなー。実は俺もびっくりしてるんだよなー。
「じゃ、じゃあ、その魔物は……?今はもってないよな?」
「俺はマジックボックスが使える。そこに入れてある。」
…………
沈黙が流れる……。
「「は?」」
「じゃあ今から出す。」
ドサドサドサドサッ
俺はマジックボックスから魔物を出した。えーっと、出してからじゃ遅いけど、これって出してよかった?
「出してよかったか?」
「あ、ああ……。」
「で、では、異常状態を解決したとして特別報酬を差し上げます。こちらへどうぞ。」
俺たちは受付に案内された。
「和馬さんは、特別にランクがCになりました。」
うん?えーっと、俺の前のランクがFだから、E・D……二つ抜かしてる⁉︎
「これは、何かの間違いじゃないのか?」
「いえ、違います。本当は、Bランクにしてもいいんですが、早すぎると変な人に目をつけられるかもしれないからCランクにさせてもらいました。では、ランクを変更するのでギルドカードを出してください。」
ギルドカードを渡すと、机にある機械のようなものに差し込んだ。
ガタッ
そんな音がすると、ギルドカードが出てきた。俺のランクは、FからCになっていた。なにこれ、異世界にこんな機械(?)あるのか⁉︎
「はい、どうぞ。……これが気になるんですか?」
あの機械(?)を指して言った。
「ああ、初めて見たからな。」
「これは、魔道具というんです。魔道具とは、職人が何日もかけて作るもので、一生物と言われています。」
そうなのか。すごいな。この世界に魔道具ってあるのか……。
「あ、薬草採取をしたから持ってきた。」
俺はマジックボックスから薬草を出した。
…………
また沈黙が流れる。今日で何回目だろう?
「こ、これは、エリクサーじゃないですか⁉︎これが、アモール草原に?」
「ああ、そうだ。」
「そんな事が……。アモール草原で生えることはないはず……。何か、理由が?しかも、こんなにたくさん……。」
「なにを言ってるんだ?」
「い、いえ!なんでもありません。」
なんか今、ごまかされたような気がする……。俺の気のせい?
「で、では、報酬をお渡ししますね。報酬は、白金貨五十万枚です。今はこれだけしか用意できませんが、用意ができ次第お渡ししますね。あ、魔物の分は後々査定が終わってからお渡ししますね。」
「分かった。……って、白金貨五万枚⁉︎間違いじゃないのか⁉︎」
だって、白金貨五万枚といったら、五億ぐらいじゃないか!
「間違いじゃありません。本当は、これでも安いぐらいなんですから。エリクサーは、一つで家が一つ買えるぐらいなんですよ?」
「…………。」
こうして俺は、一生遊んで暮らせる大金を手にしたのだった。エリクサーマジハンパねぇ。