16 朝の真実
ルルを探していると、道にルルがしゃがんでいるのを見つけた。
「ルル!」
「あっ!和馬さん!」
ルルは振り返って笑顔で言った。
……え?ルルって、俺と生活することが嫌で出ていったんだったよね?なのに、返事してるし……しかも笑顔で……。なんで?
「えーっと……こんなところで何してるの?」
「急に風が吹いてきて、近くにいた二人が寒がってたから上着を貸してるんだっ!」
そうなのか……。
ルルの後ろを見てみると、小さな女の子と、そのお母さんらしい人がルルの上着を羽織ってこっちを見てる。……震えながら。
これ、絶対寒いよな……。俺は着込んでるのに、この二人は上着を羽織っていても薄着だし……。
俺は着ていた上着を脱ぎ、二人にかけてあげた。
「「……え?」」
二人は驚いた様子でこっちを見た。
「二人とも、寒いですよね?」
「は、はい……。で、ですが、あなたも寒いのに、上着を貸してもらうわけには……。」
「いいんですよ。俺がしたくてしているので。」
これで少しでも暖かくなったらいいんだけどな……。
「……ふふっ。二人とも、同じことを言うんですね。」
「えっ⁉︎ルルも同じ事を……?」
「はい。全く同じ事を言っていました。……あっ、すみません。笑っちゃって。」
「いえ。全然気にしてないので。」
「お兄ちゃん、ありがと!」
女の子が満面の笑みで言った。
……かわいい!決して俺はロリコンではないが、これは誰が見ても可愛いと思うと、俺は思う。
っと、話がそれちゃった。俺はルルを連れ戻しに来たんだった。
「ルル、俺には心あたりがないけど、ルルが嫌だと思う事をしてしまったんだと思う。ごめん。」
「……え?」
やっぱり、ルルは俺と一緒にいたくないのかなぁ。
そんな不安が脳裏をよぎる。
「俺がルルと過ごしたのはほんの少しだけど、ルルといる時は楽しかった。……これだけで連れ戻すのはなんかなって思う……。でも、それでも俺はルルと一緒にいたいんだ!」
…………
沈黙が流れる。
……なんか気まずい。あと、さっきから女の子のお母さんが、俺とルルを交互に見てニヤニヤしてる……。なんかこんなの前もあった気がする……。
「和馬さん、もしかして、私が出て行くと思ってる?」
「……え?」
……もしかして、違う⁉︎……だ、だって、朝起きたら急にいなくなってたから……。
「私、早く目が覚めちゃって、もうちょっと寝ようと思ったんだけど、寝れなかったら散歩してたんだけど……。」
……え⁉︎散歩⁉︎……はぁー。よかったー。俺の勘違いで……。
「……ごめん。俺の勘違いだった。」
「……そうだったんだ。でも、黙って出ていっちゃって、ごめん。」
「いいよ。……あ、でも、次からはメモとか残していってな。」
「うん。……和馬さん、私といる時間のこと、そんなふうに思ってくれてたんだ……。」
ルルがボソッと、顔を赤くしながら言った。
……なんか恥ずい!なんか……なんか……!……てか、なんで顔を赤くしてるんだ?俺にはよく分からないや。でも、やっぱめっちゃ恥ずい!