14 朝の散歩
私が起きると、まだ外は暗かった。
「すー。すー。」
隣のベッドでは和馬さんが寝ている。……やっぱり、何回見ても可愛い。ほんとにずっと見ていられる……。
それはそうとして、今は何時なんだろう?……でも、それはどうでもいっか。まだ和馬さんが起きるまで時間はあるだろうし、もうちょっと寝よっかな……。
なかなか寝れない……。眠たいはずなのに。うーん……このままずっとゴロゴロしてるのもなんかなぁ。
……あ!それならちょっと散歩しよっかな?私が奴隷にされて、肉肉亭で働いてからずっとアモールにいるけど、実は、じっくり見た事はないんだよね……。肉肉亭にいた時は
外に出してもらえなかったし、昨日もあんまり見てなかったから……。……よし!散歩しよう!……和馬さんが起きる前に帰ってきたらいいよね。
◆ ◆ ◆
外に出ると、スラム街だから路上で生活している人がたくさんいた。
……なんか、こういう人達を見ると、私は恵まれていたんだなぁって思っちゃう。だって、私が肉肉亭にいるときは、いじめられてはいたけど食べ物や飲み物はあった。でも、こういう人達には食べ物や飲み物が無くて、毎日お腹を空かせてる……。
私も前はそうだったけど、仲間がいた。でも、この人達には仲間がいない……。何か、この人達にしてあげられる事はないのかなぁ。でも、今の私はお金を持っていない……。
「あ、あの!この子に食べ物を分けてあげてください!」
そう言ってきたのは、小さな女の子を連れた女の人だった。二人とも痩せていて、ご飯を食べられていないのがすぐに分かる。
「ごめんなさい。私、今は……。」
何もないと思いつつも探してみると、服のポケットにクッキーが入っていた。そういえば昨日に和馬さんにもらって、散歩しながら食べようって思って持ってきたんだった。
「じゃあ、クッキーあげるね。ちょっとだけど……。お母さんと分け合って食べてね。」
「うん!」
女の子は笑った。……か、かわいい〜!
「ありがとうございます!」
その子のお母さんはペコリとお辞儀をして言った。……うう〜!なんかちょっと照れくさいかも〜!
……私、人から感謝される事って、ここに来てから初めてかも……。いいことをするって、いいな!私、これからもできるかな……?……できないかもしれない。でも、私は私にできることをしたらいいんだ……!小さな事でも、どんな事でもいい。