1 異世界転生⁉︎
俺は佐々木和馬。いわゆる社畜だ。
今日も、俺だけ残業をしている。しかも、今は冬。エアコンは壊れていて、暖房はない。ストーブもない。今にも倒れそうだった。そう、俺の働いている会社は、ブラック企業だ。
人数は五人で、仕事量は多く、給料も安くて、毎日キツキツの生活をしていた。
やっと仕事が終わり、家に帰れた。
「ただいま〜」
もちろん返事はない。一ヶ月前までは、母と一緒に暮らしていた。でも、俺が帰ったら母が部屋で倒れていた。すぐに救急車は呼んだが、救急車が来た時には、すでに息を引き取っていた。それからはずっと一人暮らしだ。
「さあ、そろそろ寝るか。」
俺は眠りについた。
気がつくと俺は、知らない場所に来ていた。さっきまで家で寝ていたはずなのに、外にいた。しかも、ひどく荒れた森の中だ。
「あれ?ここ、どこだ?」
空を見上げれば、赤い謎の大きな鳥のような生物が飛んでいた。そう、それは俺が知っている中で一番ちかいものとするならば、ドラゴンだ。なんでドラゴン(?)がいるの⁉︎え!これは夢かな?一回、自分を叩いてみたら、目が覚めるかな。
パチンッ
いった〜!え⁉︎これって、夢じゃない⁉︎もう一回やってみよう。
パチンッ
いった〜!ホントに夢じゃないの⁉︎もう一回!
何回やっても同じだった……。これは夢と信じて、目が覚めるまで暇つぶししよう。
ゴオオオッ
なんの音だろう?風の音?そう思ったとき、近くに赤い謎のドラゴン(?)がいた。え⁉︎ドラゴンがなんでここに?俺、夢で食べられるの?そんなの、あんまりだ!だれか、助けてくれないのか?誰もいない……。まあ、こんなところにいる人って、そうそうないよな。
「誰だ、我の眠りを邪魔するのは!ほう、人か。こんなところに人がいるとは珍しいな。」
「ド、ド、ドラゴン(?)が喋った!」
「ほう、お前、我の言葉が分かるのか。珍しいな。そういえば前に一度そんな奴がいたな。まあお前は殺すけどなぁ!」
そう言い、ドラゴンが俺に向けてブレスを吐いてきた。俺、やっぱり死ぬんだ……。もうブレスが近くまできてる。俺、死にたくない!そう思いながらも、俺は何も出来ずに怖くて目を閉じてしまった。
フォンッ
え?何この音。まあ、いいか。俺、死ぬんだし……。あれ?なかなか死なない。それに、ぜんぜん暑くない。どうなってるんだろう………。怖いけど、目を開いてみよう……。あれ?俺の前でブレスが防がれてる?え⁉︎
「もうあの小僧も死んだだろう。久々にブレスを吐いてみたが、やはり疲れるな。なに⁉︎小僧が死んでいない⁉︎」
「なんか生きてた。」
「なにー⁉︎ならば、物理攻撃だ!」
え⁉︎また攻撃される!とにかく、防ぐしかない!自己流の防御の仕方だけど……。
ピロンッ
え?またこの音?また半透明の板みたいなのがでてきた。えー、なになに?世界最強のドラゴン、ファイアントドラゴンをテイムしました。って、書いてある。え⁉︎なに⁉︎このドラゴンが世界最強だって⁉︎そのドラゴンと戦ったのに俺、無傷なの⁉︎それにテイムって、魔物を飼うってことだたはず。俺、世界最強のドラゴンを飼うの⁉︎
「小僧、我をテイムしたようだなあ。我をテイムするにはまだ百年早いわ!」
そう言って、世界最強のドラゴン————ファイアントドラゴンがブレスを吐いた。あ、今度こそ俺、死ぬんだ……。そう思って、俺は目を閉じた。
「……。」
「……。」
あれ?全然熱くない……。目を開けるのが怖いけど、勇気を出して開けてみよう……。目を開けると、すぐにそのドラゴンのブレスが見えた。うわ!あつ!あ、そうだった。俺、なんでか熱くないんだった。
「ふう、これであの小僧も死んだだろう……。」
そう言って、あのドラゴンはブレスを吐くのをやめた。
「え⁉︎小僧、生きているのか?」
まあ、これが当然の反応だろう。俺自身もまだ混乱してるし。
「うん、なんか生きてた。」
「………。」
本当にどうしてだろう……。
ピロンッ
そう思った時に、半透明の板みたいなのが出てきた。
「えーなになに?テイムした魔物の攻撃は、テイムした人に限り、攻撃が通じません。ちなみに、一度テイムした魔物はテイムを解除できません?」
「な、なにー⁉︎攻撃が通じない⁉︎それにテイムを解除できないだと⁉︎」
ていうことは、俺はあのドラゴンに対しては無敵ってこと?え、めっちゃいいじゃん!