戦闘開始。
「どうやら、やるしかねぇようだな。なぁ、エーコ?」
ビーコが言った。
「は? いや、やんないすけど」
「何でだよ。おかしいだろ」
「お前の頭ほどおかしくねぇよ。無益な戦闘は避けて当然だろ」
「ドライすぎだろ。アイスかよ」
「知らねぇよ。いいから、こんなモンスターは無視して戻るぞ」
「ふざけんなよ。モンスターと戦ってこそのこのゲームだろ?」
「知らねぇよ。お前はこのゲームの何を知ってるんだよ」
「あ? 知るかよそんなの、初プレイ中だぞ」
「分かってるよそんぐらいよ。ほら、行くぞ!」
「よし、戦闘開始!」
「そっちじゃねぇよ! 何なのお前? 戦闘狂か何かなの? バーサーカーなの?」
「いや、駆け出した冒険者だけど」
「知ってるよ。駆け出す方向がおかしいんだよ。戻らなきゃクエスト終わらねぇぞ」
「いや、せっかくだから戦おうぜ。記念戦闘みたいな、初プレイの」
「何その記念受験みたいなノリ? じゃあいいよ、私はこのままスタート地点に戻るから。お前さんはそいつと戯れてろや」
「あ? それウチいる意味ある?」
「ねぇよ。あるわけねぇだろ」
「そうかよ。まあ、そう言わずに共闘しようぜ」
「ふざけんなよ。まあ、いいけどよ」
「いいのかよ。何なんだよお前」
「こっちの台詞だわ」
「ったくよ。ほらやるぞ、剣だせや」
「うるせぇな。お前もその犬構えろよ」
「犬じゃねぇよ、ハンマーだよ」
「どっちでもいいだろ、くるぞ!」
「よくねぇよ!」
二人はモンスターに向き合った。