薬草を求めて。
「薬草さーん、どこですかー」
ビーコが言った。
「呼び掛けて反応するかよ。NPCでも不可能だよ」
「冷静な奴だな。もっとこうゲームを楽しもうぜ」
「いや、そうしたいのは山々だけどさ。薬草探しじゃ、楽しむのに限界があるだろ」
「この世に限界なんてものは存在しない」
「は?」
「あ?」
「とうとう焼きが回ったか? つーか薬草探しにどんだけ手間取ってんだよ私たち」
「まったくだよ。勘が悪すぎだろ、いっこうに見つからねぇじゃねぇかよ」
「ホントによ。取り敢えず、もっと移動速度を上げてほしいんですけど、ねぇ、ビーコさん?」
「しつけぇな。ハンマー使いはこれが限界なんだよ」
「限界は存在しないんじゃねぇのかよ。発言が支離滅裂だな」
「うるせぇ。お前も文句ばっかたれずに探せや」
「じゃ、先に行くけど?」
「ほらすぐそう言うこという。置いてくなよ」
「何なんだよ、寂しがり屋かよ、ウサギかよ。ほら、走れ走れ!」
「ちょ、待ってて! おっ……おっせぇな、誰だよハンマーなんざ背負わせた奴は、嫌がらせか?」
「オメーだろうがよ。もう捨てろよハンマー」
「捨てれるもんなら捨てるわ。こんな……おっ、何か下ろせたぞハンマー」
「え?」
「いや、何かボタン押したら地面に下ろし……おっ、引きずれる引きずれる! ハンマー引きずれる!」
「どういう状況だよ? ハンマーの散歩か?」
「おっ、速い速い! 急に足速くなった!」
「いや、どういうことよ。引きずった方が速いって……」
「遠心力的なあれでしょ」
「どれだよ。まあ、進もうぜ」
「おう。ついてこいハンマー!」
「ペットかよ」
二人は先へと進んだ。