ゲーム開始。
「うっす、エーコ」
金髪の女性アバターが言った。
「おう、ビーコ」
黒髪の女性アバターが言った。
大人気VRMMORPG「ブレイブハンター」。
それは日夜、モンスター狩りにいそしむハンター達のはびこる電脳世界。
その中の山奥に建つ一軒家に二人の女性アバターの姿があった。
「じゃあ、今日もゲーム内ゲームやりますか」
ビーコが言った。
「りょーかい」
エーコが言った。
そう、彼女たちこそ、ゲーム内娯楽アイテム「ゲーム機」を遊び尽くさんとする「物好き共」である。
「じゃあまあ、始めちゃおうっか」
ビーコが言った。
「そうね。起動しまーす」
エーコが言った。
「……で、昨日からやり始めた、このゲーム内ゲーム「ブレイブRPG」だけど……どうよ?」
ビーコが尋ねた。
「どうよ、とは?」
「いや、プレイしてみた感想よ」
「感想……まだ、キャラメイクし終わっただけなんですけど」
「ああそうね、昨日はそこで終わっちゃたんだったね」
「そうよ。誰かさんが髪型選ぶのに二十分あまり使ったせいで」
「悪かったな。だって髪型の種類が多すぎるんだもん」
「で、最終的にデフォルトの髪型選ぶのはどうなのよ」
「しょうがないだろ、色々考えた結果、シンプルがしっくりくるって答えにたどり着いたんだから」
「じゃあ、あの二十分は何だったのって話になるじゃない。まあ、いいけど」
「そうそう、細かいこと気にしても仕方ないのさぁ。続きをやろうぜ!」
「何そのテンション……いや、やりますけどね。ゲームスタート」
二人の前のテレビ型のオブジェクトの画面が切り替わった。