第9話 最強魔王はジャンになる
夏休みも終わり、気分が下降気味でしたが、涼しくなって、やる気が出てきました。
今日も、お願いします。
あとは、旅に出るとなると、問題になるのが呼び名だな。魔王では、旅先で問題が大きく成りそうだ。何か考えなくてはならない。あと、エルサは勇者の仲間だったが、魔界を出るまでは問題に成らないだろう。
「アリス! これから旅に出るとして、俺様が魔王で有ったことを隠して旅をするのが良いと思うのだか、どうで有ろう? 」
アリスが少し悩んで見せたが、
「そんなに気になさらなくても、良いのでは無いのですか? 魔王だった事を隠さない方が、旅先でいろいろと楽なような気がしますが? 」
「いや、逆じゃ無いかと思う。恨みを持つ者が、襲って来るとも限らない。それよりも一番の問題は、モテモテで旅が出来ないかもしれない。身分を隠す事は重要だと思う」
「何をおしゃられているのやら・・・ そんな事になるわけ無いじゃ無いですか。婚約者がいるのに」
「そんな事は無いぞ。元魔王の嫁になれるのだ。それだけでも、モテモテだと思うぞ」
「ハイハイ! じゃそう言うことで良いです。名前の案は、お有りですか? 」
「そうだなぁ? アーサーとかどうだ? 」
「何かありふれているし、王様を連想しませんか? もっと、柔いというか親しみやすいと言うか何か有りますよね? 」
「確かに、それは、あるなぁ? 」
二人であれこれ考えるが、どれもしっくり来ない。しかし、決めねばならない。案として、「アルク」「マルス」「オルク」が上がったが、どれもいまいちな感じだ。すると、エルサが食堂に戻って来た。以外と寂しがりやなのかもしれない。事情を話すと、
「何でもいいじゃん。いや、《ジャン》で良いんじゃん! 」
な! 適当な!
「そうですね。呼びやすそうですし、《ジャン》で良いですね! 」
アリスも乗っかって来る。
「そうじゃなくて、もっと考えないといけないと思う」
そんな簡単に決められても・・・・
「ごちゃごちゃうるさい。名前なんてその場の勢いで良いじゃん!ねぇ。アリスさん」
「確かに、今回はペンネームみたいな感じなんだからそんなにこだわらなくても良いじゃん! 」
「お前ら、ジャンジャンうるさい! 」
「そんな事で切れるなんて、男として器の小さいこと!! 」
アリスが困った顔を見せる。
「なにおー! 」
叫ぶが、完全に無視である。
「では、魔王は《ジャン》と言うことで! 」
アリスが押し切ってきた。余りりも、適当じゃねぇ? でも、呼びやすいかもしれない。これ以上の議論は、無駄のような感じだし《ジャン》を受け入れることにする。
「では、新しい呼び名は《ジャン》と言うことで決定する。これからは、魔王で無く《ジャン》と呼ぶように・・・」
「やっと決まった。大分時間が掛かりましたね、アリスさん! 」
「本当! 優柔不断なこと・・・・ 」
もう良いですよ。何とでも言え。取り敢えず、今後の呼び名と行き先も決まった事だし、明日に備えるとする。
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翌日は、昨日と違って晴天である。出発にはもってこいだ。アリスの愛ロバのラスカルもすこぶる調子が良さそうだ。出発前にカエルに成ったゴブリン達をもとに戻す。泣きながら喜んではいるが、ゴブリンどおしだと見苦しい。しばらく留守にする城の管理は、キングゴブリン任せることにした。それぞれの、準備を整え、いざ出発である。
体力に問題の有るエルサをロバに乗せ、両脇にジャンとアリスが歩いている。昨日の雨により道は抜かるんでおり、進行速度はゆっくりだ。
「ところでジャンは、その格好で行かれるのですか? どう思います?アリスさん! 」
「確かに、問題ありありですね! 」
「やっぱり、アリスさんもそう思います? 」
「お城ならともかく、旅の装いとはとても言い難いですね! 」
こいつら、出発して気分が高揚しているところに、水を指すでない。
「まさか、その角の生えた格好で出発とか有り得ませんよ! 」
エルサが、角を指さす。それに、アリスが頷いている。
「お前らさっきから、黙って聞いていれば好き放題言いやがって! 俺が良いと言えば良いんだよ! 」
怒って見せるが、
「アリスさん! ジャンは、亭主関白ですかねぇ? 」
「あら、やだ。それは、困りましたねぇ! 」
アリスが赤くなっている。何だこの会話は?
しばらく進むと、分かれ道が現れた。右がサンドで左がダリだ。昨日決めた通りに、ダリへと向かう。思いのほか順調に進み、日没間近になったため、適当な場所で夜営の準備を始める。俺は、テントを張る。食事の用意は、アリスが行っている。流石と言うべきか、手際が良い。みるみる料理が出来上がって行く。エルサは、ロバに股がっていたとはいえ、疲れた様子だ。
アリスの料理が出来上がった。野菜と肉の入った鍋料理だ。夜になり冷え込んで来たことで、一日中歩いた体にこの鍋は染み渡る。
「馬鍋は、美味しいですか? 」
また、馬肉なのかと思いはしたが、
「流石、アリスだ! この鍋は格別だ! 」
誉められて嬉しかったのか、上機嫌だ。
そうか、こいつは馬肉の残りか。馬肉になる前に気付いていれば、馬での旅となって格好が付いたのだがなぁ? 今となっては、致し方ない。などと考えていると、アリスが肩を回し出し、
「やっぱり、久々に長時間歩くと肩凝るわー! エルサは、良いわよね! 」
「何の事ですか? 」
「巨乳だと、肩に来るのよ! 」
肩を回す度に、巨乳も揺れている。これは、これで目の保養になる。
「そうですか? 私には判らないもので・・・ 」
「ごめんなさい。判らないわよね。肩凝って死にそー! 」
さらに、アリスが肩をぐるぐる廻している。その横で、エルサがホークを握り締めている。怪しい空気が流れ始める。
「そろそろ、止めないか! 」
割って入る。
「ジャン! ところで、今日は一緒に寝るわよねぇ? 」
アリスがジャンに抱き付いて来た。先ほどまで揺れていた巨乳を押し付けて誘って来る。ヤバい。理性が飛びそうだ。この解放された大自然の中で、何もかもが解き放たれたような感じがする。手が伸びそうになるが、エルサの視線が突き刺さって来る。
「まだ、旅も始まったばかりだ。エルサと一緒に寝たらどうだ? 女通しで良いだろう! 」
「それでは、旅に出た意味が有りませんわ」
エルサの視線が刺さりすぎてハチの巣になりそうだ。巨乳の感覚は惜しいが、アリスを突き放し話を変える。
「アリス! そんな事より、これから行くマリエルはどう言った感じの国なんだ? 」
「話を反らさないで! 」
それは、こちらとしても苦渋の決断なのだ。解ってくれ!
「いやいや、反らすつもりは無いが、明日の事も予習して置かないと。ガビルも居ることだし・・・ 」
「ガビルねぇ? 悪い奴ではないんだけど! ジャンと比べたらねぇ? ま、比べる対象にもならないけど 」
「そうなのか? 」
「当然じゃない! ジャン様に敵う人などおりません」
そうか。そうか。やはりな! 俺はイケている。と、鼻を高くしていると、
「只のエロジャンのくせに! 」
エルサが囁く。俺が睨み付けるが、軽蔑の眼差しで軽くいなしてくる。
「ま、ガビルの話は後にしてマリエルの国自体は、女王を中心に良く統制がとれていると言われています。しかし、新興勢力と言うこともあり、周囲とのいざこざも多いいらしいです」
「女王の国か? 女王は美人か? 」
「ジャン様! 一回あの世に行ってみますか? 今ならもれなく無料で連れて行って差し上げますわよ! 」
やばい! 無意識に地雷踏んだ。
「すまない。ちょっと気にだっただけだ」
深々と頭を下げる。
「ま、いいわ!! エロジャンですから・・・」
「その呼び名はやめろ! 」
アリスが不敵な笑みを浮かべる。
「それで話を戻しますが、国自体は平和だと聞いております。この辺は明日ダリの町を見れば、何と無くだが判ると思いますが・・・・ 」
「成る程。何と無くだが、平和そうな町ではあるのだな。ガビル以外は・・・ 」
「そうですね。ところで・・・・ 」
アリスが近づいて来る。
「あ! エルサ! アリスの肩を揉んでやれ! 今日は何もしてないだろ! あとは、頼んだぞ! さて、寝るとするか 」
そそくさと、テントに行き寝ることとする。
やっと序盤が終わった感じです。ダラダラしてしまったかもしれません。すみません。今後に生かせたらと思っています。
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