表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/26

第24話 鍛冶屋の女

 お久しぶりです。何となく、中途半端だったので、切りの良いところまで続けようと思います。

 楽しく読んで頂けたら幸いです。

 マヤ魔術書店を後にし、パルムの町で宿屋を探しながら歩いている。


「ジャン! 何やら二人組に付けられてます」


 アリスが小声で、話し掛けて来る。


「あぁ、気付いている。二人組の他にもう一人いる。二人組の右後ろだ! 」


 アリスが集中している。


「確かに、黒服を着た奴が一人いますね。先日の奴らですかね? 」


「それも考えられるが、町中で襲って来ることも無かろう。取り敢えず、宿を探すのが先だ」


 しばらく行くと、新綺麗な宿を発見する。アリスとエルサが良さそうだと言うので、宿に飛び込むと、


「いらっしゃいませ・・・ 」


 そこには見慣れた男が、宿の支配人として立っている。そう、ガビルだ!


「なぜ? ここにいるのだ? 」


 ガビルが驚いている。それは、こちらとしても同じだ。


「ガビルこそ、何故ここにいるのだ? 」


 すると、ガビルは自慢げな顔をして、


「本日は、国境の町パルムに一号店を開店いたしました。そして、アリスが第一号のお客様です」


 ガビルは、何故か嬉しそうではあるが、


「取り敢えず、他の宿を探そう。ガビル、お騒がせしたな! 」


 宿を出ようとする。するとガビルが、


「本日は、開店祝いを行います。最初の一組目は、お祝いとして宿泊費が無料となります。さらに今夜は、世界各国より取り揃えた料理が用意されますが、それでも他の宿になさいますか? 」


 アリスとエルサの目の色が変わる。そう、無料の言葉に女性陣が喰らい付く。


「ジャン様! 宿泊費が無料のうえに、世界各国の豪華料理が食べられるなど、もはや、断る理由が見当たりません」


 アリスが熱い眼差しで見詰めてくる。エルサも同様に、


「こんなチャンスは滅多に有りません。今夜は、こちらの宿に致しましょう」


 こいつ等、タダより高いものは無いと知らないのか? それに、この旅を始めて以来、貴様らは、お金を払ったこと無いだろうが・・・ 無料で無くても、ガビル直営以外の宿に泊まってみたいとは思わないのか?


「それでは、アリス。今夜は、こちらでよろしいですね」


「そうね! 宿泊することにするわ! ガビル。後はよろしくね」


 もはや、俺様に決定権などは無い。アリスに頼まれたガビルは、嬉しそうだ。ま、金の問題ではないが致し方あるまい。


「ところで、ガビル。町に着いてから後を付けられているようだ」


「ジャンなら問題なく処分出来たのではないか? 」


「それはそうなのだが、複数の相手に追われている。逃げられても困るので、取り敢えず、相手の出方を見て見ようと思う。それと、ガビル! お前は、俺様の闇の部下だということを忘れるなよ! あと、呼ぶ時は、様を付けろ! 」


 ガビルが渋い顔をする。


「ジャン様! 承知致しました。宿の外の監視をしておきます」


 分れば良いのだ。


「よろしく、頼む! 」


 部屋を二部屋借り、ハルとエルサを残し鍛冶屋へと向かう。鍛練用の剣を戦闘用の剣に変更するためである。取り敢えず、町一番の鍛冶屋を訪ねる。


「この剣を、鍛えて欲しいのだが」


 持っていた剣を差し出す。職人が剣を吟味している。


「この剣は鍛えるまでも無く、名刀だ。ここでは、これ以上鍛えることは出来ない」


 この剣が名刀なのは百も承知しているのだが、魔剣が使えない以上は、この剣を鍛えねば、強敵と戦うことは出来ない。問題なのは、強度が足りない。全力で戦えば一発で折れてしまいそうだ。仕方なく外に出ようとすると、鍛冶屋の奥から爺さんが声を掛けてきた。


「ほう? 珍しいな。これほどの名刀をさらに鍛えるとな。本気か? 」


 爺さんがまじまじと剣を眺めている。


「そうだ。200年は鍛えていないし、訳有ってどうしても鍛えねばならなくなったのだ」


 すると爺さんが、


「ここでは、息子が言ったように鍛えることは出来ぬ。儂にも無理じゃ。じゃが、町外れのスミスなら可能かもしれん。ただし、変り者なので余りおすすめはせんがのう! 」


 鍛冶屋の爺さんに場所を聞き、町外れのスミスの鍛冶屋に行く。先程の繁盛店とは違い、ボロだ。魔術書店と何ら変わらない。今日は、ボロの店に縁が有るのかなどと考えつつ店に入る。


「何しに来た? 」


 カウンターには、鍛冶屋にはにつかない可愛い女性がいる。


「これを、鍛えて欲しいのだが? 」


 女性に剣を差し出す。すると、透き通るような白い腕で持ち上げ吟味している。


「この剣を鍛えるのか? これで、十分だろう。かなりの名刀だ。強度、切れ味、研き具合も申し分ない。これ以上に何を求める? 」


「強度が足りない。今の三倍は強度が欲しい」


 鍛冶屋の女性がジャンの剣を再度吟味し、


「それは、無理だ。どんなに鍛えてもこの剣は、今の二倍の強度が限界だ。それに、この剣でも十分戦えるだろう? 」


「いや、練習用としては良いが、戦闘用としてはもの足りない」


 すると女性が何を思い付いたのか、


「なら、あそこに立て掛けてある剣を、持って来た剣で切り抜いてみな。多分、どちらも折れることはない。もし折れなければ、そこにいる巨乳の姉ちゃんを一晩置いて行け! どうだ? やるか? 」


 おいおい、お前さんは女性だろ? いきなりアリスをどうする気だ? だが、


「あら、何だか分からないけど、賭けの対象になってる。何だか、ドキドキしちゃう! 」


 アリスが一人で盛り上がっている。


 面倒な事にならなければ良いが・・・ 俺が困ってもしょうがないが、少しは自分の立場も真剣に考えて欲しい。


「チャンスは二回! どうだ? やるか? 」


「仕方ない。やるとしよう。ただし、折れてしまった場合はどうするのだ? 」


「心配するな。替わりのご希望の剣を出してやる」


「良いのだな? 」


「問題無い」


 交渉成立だ。持って来た剣を構える事なく、立て掛けてある剣を片手で切り抜く。すると、ジャンの振り抜いた剣が、簡単に折れてしまった。それを見ていた女性が、


「なるほど。一撃とは、恐れいる。これほどの男は、そうそういないだろう。どうだ? この私、エマと結婚しないか? 」


 いきなり、何を言い出すのだ! アリスも驚いているが、俺様も驚いている。


「冗談にも程がある。何はともあれ、約束通り折れてしまった。替わりの剣を戴きたい」


 アリスが鍛冶屋のエマを睨んでいる。ここは、穏便にお願いしたいのだが。エマがカウンターから出てくる。近寄って来るが、アリスが割って入る。


「邪魔だ。お前には用はない」


「ジャンに近寄るな! 」


 アリスが退こうとしない。するとエマは、アリスの巨乳をいきなり鷲掴みする。不意を突かれたアリスの動きが止まり、


「揉み後妙のある巨乳だ! 」


 と言い、エマはアリスの巨乳を、さらに激しく揉んでいる。なかなかの絵面だ。しばらく、その光景を脳裏に焼き付ける。が、時間の止まったアリスが我に返り、鍛冶屋の女性を突飛ばし、持っていた剣を抜く。


「貴様! 女と思い油断した。私の・・・を揉むなど言語道断、今ここで切り刻んでやる。自分の行った行為を反省しつつ死ね! 」


 おいおい。穏やかでないこと。もう少し、見ていたかったのだが、止めに入らなければ、エマが殺されかねない。しかし、


「待て! その剣を見せてくれ! 」


 エマが、慌て出す。


「巨乳を揉んだ件は謝る。すまなかった。なので、その剣を見せてくれ! 」


 どういう訳か、アリスの剣に興味津々のようだ。しかし、アリスが警戒している。


「頼む。一生のお願いだ! 」


 エマが頭を深々と下げ、アリスにお願いをしている。ま、それで事が収まるのなら、


「アリス! エマに貸してやれ! 」


「でも? 」


 やはり、警戒しているようである。しかし、エマは頭を下げたまま動かない。

 


読んで頂き、ありがとうございます。しばらく、冷却期間が必要でした。続けて読んで頂いていた方には、申し訳ありません。

切りの良いところまで、宜しくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ