第17話 ガビルの妹
これからの事を少し、考えてみました。ご協力もあり、何とか当初の目標は達成出来ました。ただ、今後もこの作品を続けていくべきかどうかで悩んでいます。
ダリの駐屯所を出て宿に戻る。取り敢えず、旅の支度をし、外で待機しているアリス達の元に向かう。ロバ【ラスカル】の準備も整っている。
そこにガビルがやって来た。すると、
「その子供の飛竜は? お前たちが連れて来たのか? 」
そうだった。飛竜の件は俺たちが原因だった。ま、今から町を出るので問題なかろう。
「ガビル! 世話賭けたな。あとのことは、任せたぞ! 」
ガビルが不満そうだ。そこに薬屋の娘がジャンに向かって、巨乳を揺らしながら駆け寄って来た。
「昨夜の件、旅人の方が助けて頂いたと聞いて、もしやと思いまして。やはり、あなた様でしたのね! 」
と薬屋の娘が、ジャンに抱き付く。若くて張りのある巨乳が腕に当たる。その感触のため、顔がみるみるにやけてくる。それを見た、アリスとガビルが、
「マリー! 離れなさい! 」
アリスより早く、ガビルが叫んだ。
「嫌よ! この方は、マリーの彼氏になるのだから。食事の約束もしましたしね! 」
マリーが見詰めてくる。若いというのは素晴らしい。肌は透き通るように白く、澄んだ目をしている。今にも吸い込まれそうだ。
「私のジャンから離れなさいよ! 」
アリスがマリーに向かって、引き離そうとする。
「止めないか? アリス、大人げない! 」
と、諌めるが、
「ちょっと、おばさんは引っ込んでで下さい。今は、大事なお話の最中ですので・・・ 」
マリーがアリスに噛み付く。だが、アリスに対してそれは不味いだろう。辺りの空気が重く、周りの者達も固唾をのんで見守っている。すると、
「ジャン! 今すぐ決闘を申し込む。アリスばかりか、可愛い我が妹マリーを手玉に取るとは、笑止千万。わが剣の肥やしにしてくれる! 」
なんだと。この巨乳のマリーがガビルの妹だと。似ても似つかん。しかし、この状況を何とかするには、決闘しかないのか? するとアリスが、
「待ちなさい、ガビル。ジャンの相手は私が殺ります! 」
やばい。こっちの方が遥かにやばい。町の半分が消し飛ぶかもしれない。それだけは、回避しなくては・・・
「二人とも落ち着きなさい! 」
二人がこちらを向き、
「マリー、いつまでくっ付いている! 」
そうだった。感触が良いもんで・・・ 残念だが引き離す。
「で、どちらと勝負するのですか? 」
アリスが迫る。どちらかとは決闘をしないと収まらないようだ。
「では、先に決闘を申し込んだガビルでどうだろう? 」
するとガビルが前に出て来て、
「そうだろう!もはや、貴様に生きる資格はない。この女の敵を討ち滅ぼすまでだ! 」
そんなに、憎まれなくてもよくねぇか?
しかし、ここは穏便に方を付けなくては・・・ 宿を出る前に、エルサに準備を促しておく。町の中央広場での決闘となった。見物人が増え辺りはお祭りムードだ。知らないうちに、露天商まで集まっている。
「これだけの証人ががいるのだ、俺が勝ったあかつきには、アリスとマリーから手を引いてもらう。良いな! 」
「そんな事で良いのか? 」
「そんな事だと! 貴様は、舐め腐っているな! 俺様との決闘の後でもその口が聞ければ良いのだがな! 」
いやいや、先ほどの牢獄での判断はどうなされた? 一回は諦めたでは無いか? 完全に我を失っているな! 仕方ないがやるしか無い。が、アリスの機嫌だけは何とかしなければ・・・
「どうしてもやるのであれば致し方ない。アリスために戦おう! 」
それを聞いたアリスが嬉しそうにし頬を緩めている。
よし!
お互いに剣を抜く。ガビルが闘気を高めオーラが体全体を包み込み、そこからさらに大きくなる。
さすが、隊長ガビルだ。広場に集まった民衆の目が、ガビルに注がれている。しかし、このままだと呆気なく終わってしまう。今後のガビルの事を考えると少し心配になってしまう。
「では、行くぞ! 」
ガビルの剣が、襲って来る。一般民衆には、剣が早くて剣筋は見えないだろう。ガビルの剣を受け、その衝撃で民衆を飛び越える。ガビルも素早い動きで民衆を飛び越え次の一撃を加えて来る。また、その衝撃を受けて、飛ばされる。この一連パターンの繰り返し、町のはずれまでやって来た。さて、ここからが本番だ。
また、先程と同じようにガビルが攻撃をしてくる。その剣を今度は受け止め、一気に弾き倒す。その勢いでガビルが地面に叩き付けられた。あとは最後の仕上げだ。倒れているガビルの首元に剣を当て、
「俺様の勝ちだ! 」
と言い剣を納める。何とも呆気ないがこれがガビルとの実力差だ。
「強いなんてもんじゃない。ただの旅人では無いだろう? 何者だ! 」
「一つだけ言っておく。敗者なのだ。口の利き方は気負付けた方が良い。ところで貴様は付いている。敗者の選択をさせてやろう。俺様の影部下となるか、魔法契約をして、下僕となるかどちらが良い? 」
「何だ、その条件は? 余り変わらないではないか? 」
「大いに変わるぞ。部下と下僕だ。全然違うと思うが・・・ 」
「しかし・・・ 」
「なら、魔法契約にするか? 忠実なる下僕としてダラン共々、一生働け! 」
ジャンからとてつもないオーラが発せられる。ガビルは、生まれて始めて感じるとてつもないオーラに体が硬直し、とてもかなう相手では無いと悟った。
「ジャン様の影の部下としてお仕え致します」
と言い、ジャンの前でひざまずく。
「分ればよろしい! 」
これで、一件落着だ。あとは、民衆をどうするかだが、今後の旅の事とガビルの地位を考え、適当にジャンが逃げたことにした。町外れに行くと、エルサが準備万端で待っていた。アリスも混乱の中、エルサに回収されていた。ごたごたは有ったにせよ、人目に付かないようこっそりと出発する。目指すは、国境の町パルムだ。ハルはラスカルの上に乗り、アリスとエルサが両脇を歩いている。すると、後方からマリーが走って来た。
「ジャン様! 黙って行かれる何て酷いですわ! 私も付いて行きます」
二人の顔が驚きで強張る。
「いやいや、それは・・・ 」
困っていると、マリーはやさしく微笑み、
「それは、嘘です。まだ私は薬屋として修業の身です。一人前になったら、ジャン様とお供します。その時は、よろしくお願いしますね! 」
驚きはしたが、何だか惜しい気もする。
「マリーが、一人前になったらお願いするとしよう! 」
「大切な食事の約束は忘れませんから・・・ 」
「あぁ!」
アリスの顔色が変わる。
「あと、秘薬の材料の残りです。貴重なレアアイテムですのでお返しします」
「これは! ユニコーンの角では無いか? それも先の方から使ったのか? 」
「はい、アリス様の指示で。先が尖がっていると危ないからと・・・ では、失礼します。お気負付けて、おばさまも・・・ 」
「おばさまだと・・・ さっさと帰れ! この小娘! 」
マリーは俺たちが見えなくなるまで、手を振っていた。
渡されたユニコーンの角を見る。柄から使えば問題ないが先っぽから使ったら恰好が悪い。
「アリス! これは何だ? 」
「見れば分るじゃないですか、ユニコーンの角ですよ! 」
「エルサ! これは何だ? 」
「見れば分るじゃないですか、ユニコーンの角ですよ! 」
「そんな事を聞いているのではない。なぜ、先端から使ったのだ! 」
するとアリスが、
「服に尖った物が付いていると危ないので、ちょうど良い機会だと思って使ってもらったのよ! 」
エルサもうんうんと頷き、
「道中、危なかったですからね! 残った角はお洋服に付けておきますね。また、着る機会も有るかもしれないですから・・・ 」
「角が尖ってないと、ダサくなるだろうが!!! 」
怒るが、こいつら分かてってやりやがったな!
するとハルが、
「秘薬を作るために大切なユニコーンの角を頂き、命の恩人です。どうか、アリスさんとエルさんを許してあげて下さい! 」
アリスとエルサが小さくガッツポーズをしている。めちゃくちゃ腹が立つが、ハルの手前これ以上文句の言いようも無い。
「仕方い。ハルが助かったのだ。ユニコーンの角の件はもう良い」
すると、アリスが抱き着いて来て、
「さすが、ジャン。気前がいいですなぁ? ところであの小娘と私、どっちが良かったの? 」
「離せ! 胸が当たる! 」
「嬉しいくせに・・・・ 」
アリスがいちゃついて来る。その横で、エルサが殺気を高めていた。
読んで頂きありがとうございます。9月24日(火)以降も続けられるよう、頑張ります。