第11話 ジャンは巨乳好き
休みなので、昼まで寝ていまいました。
今日も、宜しくお願いします。
子供の飛竜をロバ【ラスカル】に乗せ、三人はダリの町にたどり着いた。町の入り口には門番などは立っておらず、何事もなく町の中へと入れてしまった。無用心な感じではあるが町の大きさ的には、中規模の町だ。行き交うのは、魔人が中心である。ただ、人間と魔人の区別は外見からでは相当難しい。エルサが人間とは、殆どの魔人は気付かないだろう。
先ずは、今夜の宿を探す。辺りを見回すがそれらしい建物が見付からない。しばらく町の中を探してみる。すると、
「おい、君達! ここら辺では見かけないようだが、何をしている? 」
この街の衛兵なのか、声を掛けてきた。
「今この街に着いた所でして、宿を探しています」
衛兵が、怪しそうな目で見てくる。
「このロバの上の飛竜は、何だ? 」
「この飛竜ですか? 先程、トロルに襲われていたところを助けて来たところです。何やら、具合が悪いようでして・・・ 」
衛兵が、飛竜を覗き込む。
「確かに、具合が悪そうだ。早く宿に行くといい。3つ目の角を右に曲がれば、ガビル様直営の宿があるから、急ぎなさい」
三人が、驚いた顔をする。
それを見た衛兵が不安そうに、
「何か問題でもあるのか? 」
と尋ねてきた。大有りである。
「ガビル様直営で無い宿は、この町に有りませんか? 」
と尋ねる。その横で、うん、うん。とアリスとエルサが頷く。しかし、
「この町には、ガビル様直営の宿以外はない。何か不都合でも有るのか? 」
「いや、そう言うわけでは・・・ 」
「では、急ぎなさい」
「ご丁寧に、ありがとうございます」
お礼を言い、教えられた宿に向かう。
「ガビルの直営宿とか、やなんですけど・・・ 」
アリスが、不満そうだ。それは、みんなも同じだろうが、子供の飛竜の容態も良くない。三人だけなら、野営を選択するのだが、そうも、言ってられない。
「今の状況では、仕方ないだろう。先ずは、この飛竜を休ませなければ・・・ 」
「それは、そうですが・・・ 」
アリスは、やはり不満そうだ。
「アリスさん、我慢してください。飛竜が治れば、旅のマスコットとして連れて行きましょう」
「そうだな!マスコット的な存在は、旅には必要だな。それに、会話が出来るのも私だけだしな! 」
「そうですよ! 」
アリスが、得意気になっている。
「よし!仕方がないが、ガビル直営宿に泊まるとしよう! 」
アリスが号令をする。
え、俺がリーダーのはずですが・・・ ここは、俺が号令を出すのが筋ですよね?
「ジャン!さっさと行きますよ! 」
二人は、宿に向けて歩き出す。これじゃ、誰が下僕か解りゃしない。
ガビル直営の宿は、見た目に派手さはないが、内部は清潔感のある感じの良い宿のようだ。空きに余裕があると言うことなので、二部屋を借りる事にする。受け付けを済ませ、女部屋と俺様の部屋に別れる。荷物を置き、ベッドに横になる。今日も良く歩いた。
しばらくすると、エルサが呼びにきた。子供の飛竜の事らしい。隣の部屋では、子供の飛竜が苦しんでいる。
「ところで、容態はどんな感じだ」
アリスが子供の飛竜の横に寄り添いながら、
「かなり、悪そうです」
「そうか。それで、用事とは何だ」
「子供の飛竜が言っていた秘薬の件なんですが」
「秘薬がどうした? 」
「どうもその秘薬が、《天馬の秘薬》なのだそうですよ! 」
「それで、どうしろと? 」
「何とかこの子供の飛竜を助けてやりたいのですが? 」
確かに、子供の飛竜は苦しそうにしている。
何とかしてやらないと、旅を続けるにしても凝りが残ってしまう。
「そうだな!行き掛かりとはいえ、見過ごす訳にもいかないだろう!出来る限りの事をしなくてはいけないな! 」
「本当ですか?ジャンさんはお優しい方だったのですね!アリスさん良かったですね! 」
エルサとアリスが抱き合っている。
ま、魔人として当然だな!
「ところで、俺が手伝う事はあるのか? 」
ここで、アピールが必要だろう。リーダーなのだから・・・
「何もする事は無いです。先程エルサさんに薬屋に行って貰ったところ、秘薬は売ってはいなかったのですが、必要なレア材料が有れば、作れると言うことでしたので、今作って頂いているところです」
「そうか。取り敢えず、秘薬は出来るのだな! 」
「はい。問題なく出来るはずです。出来上がったら持って来て頂けるようです。それでジャン様には、お代をお願いしたいのですが・・・ 」
アリスが、可愛くお願いしてくる。
ま、お代だぐらいなら、いくら出しても構わん。
「判った。で、いつ出来ると? 」
「そんなには掛からないと言っていましてので、間もなくかと」
アリスが、苦しそうにしている子供の飛竜を心配そうに見つめている。同様に、エルサも心配そうだ。
しばらくすると、薬屋の娘が出来上がった秘薬を持ってやってきた。
「やっと出来たか!お代は、幾らだ? 」
この娘、かなりの巨乳の持ち主である。自然と目線が娘の巨乳に行ってしまう。
「どうか、なさいましたか? 」
娘が、声を掛けてきた。慌てて、目線を戻すが、アリスから殺気が出ている。
「いや、何でもない。で、幾らだ! 」
「銀貨一枚です」
銀貨一枚か?この世界の通貨は銀貨十枚で金貨一枚である。その金貨一枚で、1ヶ月は暮らしていける価値の有るものだ。
「そうか。じゃこれで! 」
金貨一枚を差し出す。
「金貨一枚ですか? あいにくお釣りが無いのですが? 」
ま、良いものを持っている娘でもあるし、
「そうか。お釣りは取っといていいぞ! 」
男気を出す。
「こんなに、よろしいのですか? 」
娘は、驚き戸惑っている。
「構わん。お釣りで、好きなものを買いなさい」
薬屋の娘は喜び、抱き付いてくる。若く張りのある巨乳が当たり顔がニヤける。
「ありがとうございます。今度、お食事でもどうですか? 」
と誘って来た。
「じゃ、今度機会が有ったときに」
と返すと、娘がお辞儀をし部屋を出ていった。それと同時に、アリスの殺気が部屋を覆う。
「やけに、優しいこと! あの巨乳の娘が、気に入ったのかしら? 」
ヤバい。完全に切れてる。
「いや。そんな事はないぞ。決して巨乳だからではない」
「嘘ばっか! 食事に誘われてデレデレしちゃって、最低ね! 私の巨乳と、どっちが良いの? 」
な、また訳の判らんことを言いやがって。
「そ!そ!それは、アリスに決まっているじゃないか! なぁ? エルサ! 」
すると、エルサからも殺気が発生する。
「巨乳! 巨乳! うるさい! 話をこちらに振らないで下さい! 」
こちらは、こちらで、
「適当な事ばかり言って・・・ 」
「そうそう、そんな事より早く秘薬を飲ませ無くていいのか? 」
話を反らさなければ・・・ もっと大変な事が有ったでしょう!
「そうね!この件は、後でもう一回するとして、今は薬を飲ませることを優先しなければ。エルサさんお水を! 」
エルサが俺から秘薬を奪い取り、アリスと一緒に子供の飛竜に秘薬を飲ませる。しかし、容態は余り変わらない。
「しばらくは、様子見ですね。こちらに着いてから、付きっきりですが、アリスさん大丈夫ですか? 少し、休んだらいかがでしょう? 」
エルサが優しくアリスに接する。
「大丈夫ですよ。子供の飛竜に比べれば、大した事ありません。エルサも疲れたでしょう。薬屋を往復して、疲れてはいませんか? 」
「大丈夫です。では、二人で見守りましょう! 」
子供の飛竜を二人で看病している。俺の入る隙はない。仕方なく、部屋に戻るとする。
昨夜は野営だったせいか、ベッドで横になった瞬間に眠りに落ちてしまった。
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