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リコーダーを舐められたい。  作者: 濃紺色。
【刑事 涼夜】
5/14

取引。

俺は悪だ。

それはもう確定だ。お菓子を学校に持って来た。校則を破った屑野郎だ。伸次の言う通り、綺麗事を並べるだけの汚い奴だ。


「はぁ? 取引ぃ? あんた、自分の立場分かってんのかぁ?」


でも、これだけは……。奏音のリコーダーを舐めたこの事件だけは、解決しなければならない。この史上最悪の事件を前にして逃げるわけにはいかない。


「あぁ、取引だ。俺は自分の悪事を全て話す。そうしたら、お前も認めて欲しい。絶対にしてはいけないことをしてしまった。死んでも償えない程の大罪を犯してしまった、って」


伸次はゆっくりと頷いた。


「あぁ、いいぜ」

「本当か?」

「……って言うわけにはいかないなぁ」伸次は不気味に微笑みながら言った。「お前が罪を告白するのは当たり前だからだよ。刑事として罪を裁く者として、綺麗でないといけないからだ。まぁ、ただ、全て吐いたとしても、完璧に綺麗になったとは言えないけどな。その汚れは死ぬまで付き纏う。呪いのように、ずっと、執念深く」


俺は黙って立ち上がった。自分の机まで向かい、中からブツを取り出した。そして、それを伸次の前にある机に叩き付けた。


「『しゅわしゅわガム! ソーダ味』!!!」


「しゅわしゅわガム! ソーダ味」と記された水色の袋。中には1つ1つ包装された水色のガムが入っている。


「『しゅわしゅわガム! ソーダ味』、ねぇ……」


もういい。全て吐き出す。伸次が取引に応じてくれるかなんて分からない。分からないが、せめて人として。正しくあろうとする刑事として。やらなくてはいけないことなんだ。


「これが俺の罪だ。俺は『しゅわしゅわガム!』シリーズの新作、大好きなソーダ味を授業中に楽しむ為、学校に持って来た。そして、さっき、教室にこのガムを忘れたことに気が付いて戻って来たら、お前が……」


その時、何かを感じた。はっきりとは分からない。分からないが、何かを感じた。


「お前が……」

「お前が、何だよぉ、刑事さん」


何だ、一体何なんだ。


「いや、悪徳刑事、かぁ。ぐへへへ」


俺は、伸次の顔を凝視した。


「んーだよ。あのな、残念だけど、俺にはそっちの趣味は」

「寂しかったんだろ」

「……は?」


伸次は首を傾げた。


「何言ってんだ、あんた」


理解した。伸次から感じた何かを。

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