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リコーダーを舐められたい。  作者: 濃紺色。
【刑事 涼夜】
2/14

正義が俺を。

目の前の光景が信じられなかった。

俺は教室の出入り口前で呆然と立ち尽くしていた。

クラスメイトの伸次しんじが辺りを見回しながら、奏音ちゃんの机からリコーダーを取り出した。吹き口をゆっくりと自分の口に近付け、そして、唇で挟んだ。

そこからはもう地獄だった。リコーダーの吹き口を舐め回し、発狂し、また舐め回す。

もう耐えられなかった。何か、自分の中の大切なものを汚されたような気分になった。

再度、伸次が奏音ちゃんと間接キスをしようとした時、


「手を挙げろ!!!!!」


正義が俺を突き動かした。

伸次はビクッと肩を震わせて、こちらに目を向けた。

伸次……お前は、人として許されないことをした。

左手の親指を天井に向かって突き立て、垂直を作るように人差し指を伸次に向けた。


「変な動きをしてみろ……躊躇なく、撃つぞ」

「……糞が」


伸次の目は、犯罪者そのものだった。


「武器を……リコーダーをゆっくりと机に置け」

「分かったよ……分かったから……」

「ゆっくりとだぞ?」


伸次は指示通り、手に持ったリコーダーをゆっくりと奏音の机に置いた。


「そのまま手を挙げろ」


両手を挙げる伸次。


「……分かったろ? 抵抗の意思はない。だから……」

「そこに座れ」


俺は顎で、こちらから見て奏音の左隣の席を指し示した。奏音の席には死んでも座らせない。

ちっ、と舌打ちをすると、伸次は両手を下ろし、指定された席に座った。

俺も右手を下ろし、伸次が座っている前の席の椅子を彼に向けて、座った。

2人の間を沈黙が流れた。

こういう時、どんな話をすればいいのか……。

刑事ドラマを必死に思い出す。

でも、まずは取り敢えず、


「なぁ、1ついいか?」

「……何だよ」


気になることから聞いてみることにした。

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