リコーダーを舐められたい。
遂に、物語が終わります。
静かになった。
誰もいない教室は本当に静かだ。
生徒が騒いでいた教室とは思えない程に。
まるで、パラレルワールドに来たみたいだ。
空気を一気に吸い込んだ。
「なぁぁぁぁぁぁああああぁぁぁぁぁぁあああぁんっでぇっだぁよぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおぉぉぉおおおぉぉぉっ!」
作戦は失敗だ。大失敗だ。
僕が用意したリコーダーを奏音に……奏音ちゃんに舐めてもらえなかった。まさか、あの、伸次が舐めるだなんて。
「糞! 糞! 糞がぁっ!」
伸次の机や椅子を力任せに蹴飛ばした。
当初は、盗むだけだった。
小学校の中で選りすぐりの女子生徒からリコーダーを盗み、舐めるだけで性欲は満たされた。
だけど、何年も何年も、盗んでは舐め、盗んでは舐め、盗まずに舐める日もあったけれど、また、盗んでは舐め……同じことを繰り返していくうちにマンネリ化していった。もうリコーダーに付着した女子生徒の唾液を舐めるだけでは物足りなくなっていた。
そんなある日、性欲を満たす為にAVを漁っていると、あるレズ系のエロ動画にヒットした。若く可愛らしい女性2人が貪り合うようにディープキスをしている。優しさがあるが、いやらしく、激しいキスだった。これを見た時、すぐさま閃いた。
女子生徒から盗み、俺が舐めたリコーダーを別の女子生徒に舐められたい!
つまり、僕を経由して2人の可愛い女子生徒が間接キスをするのだ。
説明するとこうだ。選りすぐりの女子生徒からリコーダーを盗む。僕がそれを舐める。そのリコーダーと、今回のターゲットにする女子生徒のリコーダーを交換する。音楽室に設置した小型監視カメラで撮影する。何も知らないターゲットが、僕が舐めた別の女子生徒のリコーダーを吹く動画を見ながら性欲を満たす。次は前回のターゲットから盗んだリコーダーを舐め、次のターゲットのリコーダーと交換する。そしてまた、新たなターゲットがリコーダーを吹く映像を見て、性欲を満たし……という流れだ。
撮影した動画を見ていると、ターゲットがリコーダーを吹くシーンとあのレズ系AVが頭の中で重なっていく。ターゲット同士が優しく激しく相手を求め合う。その中に、知らず知らずのうちに僕の唾液も混ざり合う。そんな妄想をするだけで、僕のあそこがすぐに元気になっていく。
当然、いつかまた、これもマンネリ化するかもしれない。それでもいい。そうしたら、新境地を開拓すればいい。新たなものを見付けた時の快感は、何ものにも代え難い!
……それなのに。
「糞ガキが! 邪魔しやがって!」
再度、伸次の机を蹴飛ばした。
ガシャンッ、という激しい音を立てて、机が倒れた。
「お前もだよ!」
次は涼夜の机を蹴り倒したた。
彼は未遂だったが、そんなことは関係ない。舐めようとしただけでも罪は重い。
僕は奏音ちゃんにリコーダーを舐められなかったんだ。舐められたい。その一心でリコーダーを交換したのに……。
「てめぇが舐めやがって!!!!!」
怒りが収まらない。誰の机か椅子かも関係なしに蹴り倒し続けた。
奏音ちゃんは特に僕のお気に入りだった。だから、前回のターゲット選びから慎重に行った。前回のターゲットと僕の唾液を奏音ちゃんが舐めるから。
5年4組。理沙子ちゃん。生徒の間で「ポニーテールの女王」と呼ばれた女子生徒。大人びた顔立ち。女子にしては高い身長、相反するような小さな胸。奏音ちゃんに釣り合うと思った。童顔、低身長、少し大きな胸。お互いがお互いのない部分を補い合う。こんなエロティックな運命があるだろうか。
理沙子ちゃんのリコーダーを奏音ちゃんの為に用意した。僕の唾液付きで。
最高の出会いを胸にリコーダーの交換を行った時、突然教室に入ってきたのが伸次だった。隠れながら教室の外に出て、様子を伺っていたら、あんな展開になった。
「うぅっ、おぇっ……」
今日に襲ってきた吐き気。両手で口元を抑え、何とか耐える。
そうだ。ということはだ。僕は伸次と間接キスをしたことになる。僕の唾液があいつの唇に……。
「おぇっ、うぇっ!」
気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い! あぁ、気持ち悪い!
僕の唾液は可愛い女子生徒の物なのに!
「……何で、こんなことにっ……」
涙が溢れてきた。
僕はただ、奏音ちゃんにリコーダーを舐められたかっただけなのに。何も悪いことなんてしてないのに……。
「……許さない」
伸次、お前は許されないことをした。舐めようとした涼夜、お前もだ。
仏の顔は3度までだけど、僕の顔は1度までだ。
次はない。次もし、僕の邪魔をするようなことがあれば……小学生でも容赦はしない。
次。
次か。
次は……。
「……次は誰のにしよっかなぁー」
想像しただけで、すぐに怒りを忘れてニヤけてしまう。
リコーダーの予備はまだ沢山ある。1年生から6年生まで俺が盗んだ、選りすぐりのリコーダー達が。
候補は、由佳ちゃん、麻也ちゃん、正美ちゃん、芽衣ちゃん、夏美ちゃん、奈美子ちゃん……。
奏音ちゃんに適した相手は、誰だ?
「ぐふふふふふ……」
大人びた顔立ち、高身長、小さな胸……。
「ふ、ふへへへ……」
花梨ちゃんでもいいなぁー。
「いいなぁー……いいねぇー……」
決めた。花梨ちゃんにしよう。
荒れ果てた教室の中心で、僕はダラダラと涎を垂らした。
次は、花梨ちゃんのリコーダーを舐められたい。
完結しました。
ありがとうございました!
小学生の悪意に、幸あれ!!!
ちなみに、「濃紺色。」という作者名で書いてる他作品にも成長した涼夜が出てきますので、
もしよかったら、是非。




