舐めた。
リコーダーは、舐められる為にある。
小学生の俺でも分かる。
してはいけないことだって。
許されない、禁断の領域だって。
「……あぁ、糞」
……許されない、のか? いいや、違うだろ。許されないのはあいつの方だ。
小学生のくせに、小学生の分際で、あんな……あんな、
「えっちぃ身体しやがって……」
悪いのは、あいつだ。
誰もいない教室。オレンジ色の光が俺を包んだ。
俺は、奏音の、リコーダーを、舐めた。
「ふぉぉおああぁぁあああああぁぁああぁっ!」
禁断の果実は蜜の味。
気持ち悪い程に気持ちのいい興奮が、身体中を一気に駆け巡った。
あそこがムズムズする。
俺は今、クラスのマドンナ、奏音と間接キスをした。俺の唇には今、奏音の唾液が付着しているのだ!
奏音の艶やかな唇が、リコーダーの吹き口に触れる瞬間を想像する。
「んなぁぁああああぁぁぁあああぁっ!」
なんて甘美で危険で官能的なんだ!
止まらない。止められない。
俺は何度も何度も吹き口にキスをした。それだけじゃ飽き足らず、舌を絡め、吸い取り、また、舌を絡め、甘噛みをする。
「ん、くちゅ、んんん、くちゅべちょ」
奏音と間接ディープキス。
音を奏でると書いて、奏音。文字通り、リコーダーと共に、いやらしい音を教室で奏でる。
悪いのは君だ。俺をここまで狂わせたのは君だ、奏音。
許されない。許されないぞぉ。これは罰だ。男子に色気を振り撒いた罰。これぐらいされて当然だ。
吹き口から口を離し、鼻を近付けた。
「んーーーーー!!!」
嗅いではいけないような臭い。それでも、その不完全さが癖になる。俺と奏音の唾液が混ざり合った臭い。匂い。2人で作り上げた、魅惑のハーモニー!!!!!
「俺をモンスターにしたのは……奏音、あんただぜ?」
もう1度、熱い口付けを交わそうとした時、
「手を挙げろ!!!!!」




