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猫又さんの休日と決意

作者: うさたまご

猫又さん、猫又さん。

今、いい所なんだから起こさないでくれよ……。


猫又さん!そろそろ起きてください!

バサッ!!

暖かいぬくぬくが光とは逆に外へ流れてゆく。

何だよ…せっかくのぬくぬくなのに……。

抗議の声を出すが相手は意に介した様子もなく朝の身支度に忙しいようだ。

仕方がない…起きてやるか。


モソモソとぬくぬくの場所から出て声の主の所へ向う。

猫又さん今日はこれにしてみました!どうですか?

今日は休みのはずなのに、おめかしをしてどこかへ出かける様子だ。


どれどれ……秋をイメージしたのかキャメルの膝丈ふわふわスカート、上がオフホワイトのピッタリニット、胸元には小ぶりのアクセサリー、まぁいいんでないの?と合意の声を上げる。


声を正確に読み取りご満悦の様子。

じゃ猫又さん!この服で行ってきますね!夜は少し遅くなると思いますが、ちゃんと帰ってきますので。


うるさいのがやっと行ったので、私は朝のご飯を頂く事に。

パタパタと騒がしい方だけど、ご飯は美味しいので気に入っている。

さて、今日は何処へ行こうか……。


*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*


今日も良い秋晴れだ。少しずつ冬に近づくこの季節。

いつものパトロールに出かけますか。


私のパトロールはだいたい周りの警護と時々会議。後は皆と集まって雑談が主な仕事。

会議はないのでパトロールしてどこかで皆と合流するか。


あー!猫又さんだ!こっちこっち!!

あぁ…ちみっ子に捕まってしまった……。

最近私のパトロールの時間とちみっ子達の遊戯の時間が被る事が多い。

仕方がないので少しパフォーマンスをしてやる。

わー!!すごい!すごい!猫又さん、もう1回!!

その後30分程構ってからパトロールに戻る。


はぁ疲れた。アンコールされたらついつい乗ってしまうのは悪い癖だな。

そんな事をつらつら考えながら進むと広い空き地で見知らぬやつが私の定位置を陣取っているではないか。


おい!そこは私の定位置なのだが?どこからここへ来たんだ?

んー?今日は良い天気だしー眠くなって……。

えっ?!寝た?しかも会話…返答おかしいだろ……。

……仕方がない少し私も寝るか。


30分ぐらい寝ていただろうか、ふと目を開けると私の場所を陣取っているやつが目の前にいる。

あっ起きた?ごめん、ごめん。話の途中で寝ちゃって。

あまり悪びれたふうでもなくそんなことを言うやつに少しムッとするも私も寝ていたので文句は言えない。


で、どうしてここへきたんだ?あまり見かけないやつだよな?

あーそれは…ちょっとね。あんたの場所だってのはわかってるんだけど…出来れば聞かないで少し置いて欲しいな。

今まで飄々としていたやつの笑い損ねた様な顔に少しなら居ても良いぞと思わず言葉がこぼれ落ちる。

そいつは小さな声でありがとうと呟いた。


そいつと別れた私はいつものようにいくつかのパトロールを終え自宅にかえる。

風が少し出てきて周りは暗い、昼に会ったあいつは今どこで凌いでいるのだろうか……。

気がかりではあったが私に出来る事はあまりにも少ない。


*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*


ガチャ

ただいまー!猫又さん、今日はどうでした?何か変化はありましたか?

そんな言葉にあいつの事がチラつく…だが伝える事は出来ない。

何故なら私は家猫だから…人に言葉が通じればなんとかしてくれ、と頼めるかもしれないのに。


猫又さん、さっきまで外にいたんですか?とても体が冷たいですね。おこたを付けますので暖まって下さい。

私は恵まれている。騒がしい主でも暖かい寝床とご飯を用意してくれる。


…何とかしなくては。ふと心から聴こえる声がする。


窓の外は相変わらず冷たい風が吹いている。何かを抱えるあいつに少しの安寧でも与えてやりたい。

私は猫だが、そんな私にも出来る事はあるかもしれない。


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