必殺技は正義のトドメ コレ、ゼッタイ
タコさんウィンナーは誰が作ったんだろう。
普通ウィンナーを見て「よし、タコの形にしよう。」とか思うだろうか。
それか作った人がタコ好きだったのだろうか。
そもそも先が分かれてるだけでタコってのも何かおかしい気がする。
「ね〜お母さん。あの人達何で剣下げたままウィンナー焼いてるの?」
「シッ、ああいう人と関わっちゃいけません。」
何でタコさんウィンナーのことなんか考えてるかって?
デパートの試食売り場でタコさんウィンナーを焼いているからさ。
話は二時間前にさかのぼる。
リコが困った顔をして俺のところに来たのが始まりだった。
「ねぇバン。昨日レッドが仕事サボってたの知ってた?」
「いや全然。終わってから喧嘩吹っ掛けたんじゃなかったのか?」
「そうじゃないみたい。さっき依頼人から苦情の電話があったんだ。昨日依頼したのに人が来なかったって。」
そういえば何であんな昼間から局にいるか聞いてなかった。
ベルトに浮かれて全部忘れたって感じか。
なんて迷惑な。
「それで人をバンに変えて欲しいって言ってきて。」
「相手俺のこと知ってるのか?」
「バン行ったでしょ?依頼で中央デパート。」
ああ、思い出した。
ロボット一体止めただけなのに涙流して喜ばれて、なぜかお土産にカニをもらったアレか。
「分かった。今から行けばいいか?」
「うん。ゴメンね急に。」
「気にするな。」
まだ依頼の報告書は終わってないがリコの頼みならばしょうがない。
「そもそもリコは何も悪くないだろ?責任は全部レッドにある。」
「呼んだか?」
いつの間にか隣りにレッドがいた。
バコッ!!
「いでっ!」
とりあえず殴っといた。
「なにすんだよ。俺悪いこと何もしてねえぞ。」
「しまくってるよ。お前昨日仕事サボっただろ。」
「あ。」
完ぺきに忘れてたな。
「行く途中にベルト見つけて買ってきてリコに改造頼んだから…」
「遊ぶなら仕事終わってからにしろ。じゃ、俺はデパート行ってくる。」
コイツに付き合ってたらまた時間潰されそうだ。
「バンいってらっ「ちょっと待てぇぇぇ!!!」
リコの声が遮られた。
何だ騒々しい。
「何でお前がデパート行くんだよ。買い物か?」
「依頼人がお前がサボるから俺に来て欲しいってさ。」
「ふざけんな!俺の仕事だ!」
「サボっただろお前。」
「昨日は昨日。今日は今日だ。とにかくそれなら俺も行くからな!!」
まあ俺が謝るよりも本人が謝った方がいいかもしれない。
「分かった。ただし邪魔だけはするなよ。」
「お前がな。」
「…」
もう一回殴っといた。
そして、俺達がデパートに着くと、店員が待っていて
「ロボット犯罪・災害対策第三支部局の方ですね。話は聞いております。」
そしてなぜか店員用の緑のエプロンを着せられ、食品売り場でタコさんウィンナーを売っている状況である。
一体どんな話を聞いたんだ?
「やってられっかあああ!!」
とうとうレッドが暴れ出した。
「ロボットぶっ壊しに来たっつーのに何でウィンナー焼かなきゃいかんのだあああ!!」
「俺に聞くな。隣りで怒鳴るな。鼓膜破れる。」
「ウィンナーなんぞどうでもいいわあああ!!」
そう言ってウィンナーの袋を地面に叩き付けようとする。
気持ちは分かるがここで暴れてまた苦情が来たらたまったものじゃない。
「おいやめろ!それ商品!」
「うらあああ!!」
ピタッ
何だ?急にレッドの動きが止まった。
袋をしげしげと見ている。
「こ、これは!」
俺はウィンナーの袋を見た。
なるほど、そういうことか。昨日はこれのせいで色々あったが、今この状況では天の助けだ。
「セイギレンジャーウィンナーがこんなところに!!何で俺は気付かなかったんだ!」
それはレッドのせいで迷惑なイメージしかないヒーロー達が袋にプリントされたウィンナーだった。
ただし中のウィンナーはこれといって特徴はない。
「うおっ、しかもシール付き!!ここのシール全部もらったああ!」
そして天の助けでもなかったらしい。
投げ捨てるのはやめたが今度は袋を開けようとしている。
「だから商品だっつってんだろ!」
「そんなの正義の前ではどうでもいいことだ。」
「それのどこが正義だ!」
「ニャー!」
ん?ニャー?
いつの間にかに俺達の前には猫がいた。
いやロボ猫か。光る目でこちらを見ている。
そしてその口には先程レッドが持っていたウィンナーの袋がくわえられていた。
「ちゃんと持ってたのにいつの間に。」
「おいレッド。持ってるのだけじゃない。後ろ見ろ。」
俺が微かな音に振り向くと、たくさんあったソーセージは消えていた。
「バッバン!前前!」
そして俺が前を振り向くとそこには、
「「「「ニャーーー!!!」」」」
大量の猫軍団。
最近俺は犬とか猫に絡まれまくっている気がする。
そんなことを思ってるうちに猫軍団は走っていってしまった。
「一体何だったんだ?」
「俺の正義のシール…」
「おい、君達何やってるんだ!」
店長が汗ダクダクで走ってきた。
「何で止めてくれないんだ!バン君が来てくれるから安心していたのに。何のために試食売り場で働いていたと思っているんだ!」
「いや、俺にも教えて欲しいです。」
「あの猫どもがしょっちゅう食品売り場で大量に何かを盗むから待ち伏せしてもらってたんだ!」
教えてもらってないんだから怒鳴られても困る。
「…なあオッサン。」
「何だね?」
今まで黙り込んでいたレッドが急に口を開いた。
「もしさあ、あの猫軍団やっつければ盗まれたウィンナーくれたりするか?」
「ああいい。くれてやるさ。だから早く何とかしてくれ!!」
何回も被害にあったんだろうな。
前にあった時は穏やかだったのにヒステリックになってる。
そしてお前はそんなにシールが欲しいのか。
「よっしゃあ!追うぞバン!」
「分かった。」
緑のエプロンを何の未練もなく脱ぎ捨て、俺達は猫軍団を追い始めた。
俺達よりも猫の方が圧倒的に速かった。
しかし、猫の姿が見えなくても俺達は行方を知ることができた。
「ハッハッハッさすが俺。このことを見透かしていたとは!」
「まあ偶然だけどな。」
レッドが開けてしまった袋から出たウィンナーが猫の通った跡に落ちていたのだ。
そんな訳でデパートを抜け出し、狭い通りを通り、色々曲がってきたりして着いた路地裏。
そこにいたのは大量のロボ猫と人間一人。
「何だお前ら!何でここにいる!?」
「お前が正義のシールを盗んだ猫どもの親玉か!セイギレンジャーの名においてお前を成敗する!!」
「?何言ってるんだお前?」
「コイツのことは無視してくれ。ロボット災害・犯罪対策第三支部局だ。条例違反によりお前を逮捕する。」
支部局の名前を出した瞬間、全ての猫の目が赤に変わった。
来るか?
「のこのこ捕まるか!このロボ猫はただのペット用じゃない。やれっ合体!!」
「「「「ニャーーー!!!」」」」
猫が何匹か合体し一つのロボットになっていく。
遂には俺達より大きい人型ロボットになった。
「変型合体…猫すげ〜。」
「感心してる場合か。」
数は六体。大きいが武器もついてないしランクはDだろう。
何も問題ない。
背中の剣を抜き、構える
「俺がこっちの三体をやる。お前はそっち頼む。」
「合点!!」
レッドもすでに双剣を抜き、電撃をまとわせていた。
「ボコボコにしろ!CATマン!!」
コイツもネーミングセンス無いな。
一体が接近して拳を降り下ろしてくる。
それを前にダッシュして余裕で避け、足元に潜り込む。
そして下から切り上げる瞬間、
「モード・アクセル!!」
俺の言葉と同時に一気に大剣が加速する。
ズバッ!!
大剣は一気にロボットを縦に二つにした。
勢いで俺は飛び上がり、アクセルがかかったまま下の他の一体に切り降ろす。
ザンッ!!
残りは前にいる一体だけ。
「雑魚が…。これで終わりだ。」
剣を上に構える。
「チャージスラッ「とうっ!!」がっ!?」
俺はレッドに頭を踏まれ地面に思いっきり倒れた。
ズガアアアン!!
後ろに飛んでった大剣がコンクリートの地面にクレーターを作った。
一方、俺を踏み台にしたレッドは空高く飛びながら双剣を高く掲げる。
「必殺!ダブルライトニングスラァァァッシュ!!!」
電撃をまとった二本の剣で上から切り下ろす。
ドッカアアアン!!
ロボットは地面に倒れて爆発した。
レッドは宙返りしながら着地し、ポーズを決めながら、
「正義は必ず勝つ!!」
そう叫んだ。
倒れた俺を片足で踏みながら。
ロボ猫を操っていた奴を逮捕し警察に引き渡し、ついでにレッドをボコボコにしてからデパートに帰り報告した。
「ありがとう!本当にありがとう!これでもう被害を出さなくて済む!」
そう言ってレッドに約束のたくさんのウィンナーを渡した。
しかし、報酬としてだ。
今回の被害総額が多すぎて報酬が支払えないのだという。
でも、元々俺の依頼でもないし、レッドはとても満足した顔をしていたので、何も文句は言わなかった。
ただ、レッドが欲しかったのはシールだけであり、大量のウィンナーはしばらく毎回の食事に出されることになった。
このせいで俺はあまりウィンナーが好きじゃなくなった。
タコさんウィンナーを初めて作った人はすごいと思うのは私だけでしょうか?
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