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晴れ!  作者: 夏みかん
第1章
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揺れる想い 4

昼休みと同時に時雄ときおが弁当を持って席にやって来た。思いの外元気そうでほっとしたが、午前中は死んだ目をしていたのは知っている。だが気持ちを切り替えたのか、天都の横の空いている席の椅子を寄せてそこに座るその顔はいつもの時雄だ。いつもこうして明斗みんとを含めた3人で昼食をとっているのだ。天都は明斗が余計なことを言わないか心配になりつつ弁当箱を開け、水筒のお茶を飲む。明斗は黙ったまま弁当を広げ、時雄は大きな2段重ねの弁当箱を机の大半を占拠する形で広げるのだった。


「相変わらず大きいな」

「育ちざかりだからな」


明斗の言葉にそう返し、ニヤリと笑った時雄が弁当を入れていたバッグから何かを取り出して天都に手渡した。それを見た天都の顔が驚きと歓喜に彩られていく。


「結果はなんであれ、ま、約束だからな」

「モンスターブレイカー4じゃないか」


珍しく食いつく明斗すら珍しいと思わないほど、天都は興奮しきっていた。まさか報酬が本物だとも、すぐにもらえるものとも思っていなかったためだ。先週発売され、すぐに売り切れたそれが手に入ったという事実に感動し、そのまま時雄の手をがっしりと握った。


「お前の気持ちが報われるよう、協力はするよ」

「おお!心の友よ!」


手を握り合い、見つめ合う2人を気持ち悪いと思いつつ、その報酬は羨ましいと思う明斗は来週再販される分を予約していることもあってどこかそわそわしてしまった。


「どうしたの?」

「え?いや・・・・」


珍しく動揺を見せる明斗に天都と時雄が顔を見合わせた。いつもはクールな明斗にはない感じに2人は小首をかしげるしかなかった。そのまま弁当を食べるものの、明斗は机の脇に置かれたソフトが気になってしょうがない。それに気づいた天都はそれを明斗に差し出す。


「見たいの?」

「あ、うん・・・気になって、な」


クールさを保とうとしているが出来ていないために苦笑する。マジマジとパッケージを見つめる明斗がそれを天都に返した。


「来週買うからさ、そしたら一緒にやらないか?」

「いいね!ネット介してやろうよ」

「俺も」


そう言って3人で笑い合う。そんな明斗を珍しがるクラスの女子だが、廊下からその様子を見ていた1人の女子は胸の前で両手を組み、ときめいた目で明斗を見つめていた。


「下村君が、笑ってる」


奇跡に近いとしか思えない。いつも無表情で感情も表に出ない明斗が笑っているのだ。それを見れただけで幸せな気持ちになる七星ななせはチラッと自分を見た天都に気付くことなく明斗を見つめ続け、それに気づきながら気づかないふりをする天都は泣きそうな気持ちを押し隠してゲーム談義に花を咲かせるのだった。



今日も部活だと張り切る天音の表情が曇ったのは前からやって来たセミロングの髪も茶色い女子生徒を見たからだ。赤い縁の眼鏡を左手の人差し指でツイと上げる仕草も気に入らないが、あえて絡む必要もないために表情も変えず歩く天音を見たその女子生徒は小さく、それでいて嫌な笑みを浮かべてみせた。


「あら部活?」

「そ」


立ち止まることのない2人がすれ違う。


「下村君と仲いいみたいね?」

「はぁっ!?」


すれ違った矢先の言葉に嫌悪感を全開にした天音が立ち止まって振り返った。その形相は鬼に近いものだ。対する女子は涼しい顔で振り返ると、鼻の頭までずり落ちた赤い眼鏡を指先で押し戻しながらニヤリと微笑んだ。中学の時からするその顔が嫌いだった。何もかも優位に立ったようなその顔、その笑みが。気に入らないのはお互い様であり、その女子生徒にしても天音とは関わり合いになりたくもないと思っている。向こうも自分を嫌っているなら接触してこなければいいと思うものの、いろいろ嫌味を言うことを趣味にしているのか、やたらと絡んできていた。


「部活中、下村君と話してる女子はあんただけらしいじゃん」

「・・・ただそれだけで仲いいって言わないけどね」

「そうかな?」

「そうだね。それに、私より天都の方が仲いいよ、あいつは」

「ああ、みたいね・・・なんであのイケメンが、あんなオタクに・・・」


ぶつくさ言う女子に呆れ果て、天音は大きなため息をついた。


「下村が好きなら勝手に告ればいいよ。私はあいつを好いていない。むしろ、なんか気に入らない」


そう吐き捨てるように言い、天音が歩き始めた時だった。


「あんたには佐々木がいる、か」

「・・・笠松、あんたいい加減にしなよ?」


殺気がこもった目をして振り返る天音だが、笠松紅葉かさまつもみじはそれを平然と受け流した。こういう目をした天音にたじろいでいたのは中学の頃、しかも顔見知りになってすぐの頃だ。あとは別段怖いとは思わない。それはどんなに殺気をこめても天音が暴力に訴えることをしないと知っているからである。


「あら、図星?」


挑発的な目と口調を無視して歩き出した天音の背中を見て、紅葉は鼻でふふんと笑うと再度ずり落ちた眼鏡を指で上げながら歩き出すのだった。



あからさまに機嫌の悪い天音を遠目から見ていた明斗だが、準備運動は怠らない。神経質だと思われようが、準備運動、柔軟といった基本的なものですら手を抜かないのが明斗だった。その容姿、成績からモテにモテたがそれら全てを拒絶している。好きなのは男、そう噂されていることも知っているが、どうにも女子に興味が湧かないでいる。いや、ただ1人の例外を除いて。それが今見ている天音である。どんな告白も断る鋼鉄の男、ホモ疑惑もある明斗が唯一興味を惹かれる女性が天音なのだった。何がそうさせるのかは分からない。純粋なる恋心、ではない。ただ興味がある、それだけだった。男女という隔たりがありながらもライバルとしているのか、それすらも疑問に思えるほど明斗は天音に魅了されていた。そう、恋ではないと思う。そういう感情も湧き上がって来ない。あるのはただ、言葉にできない感情だ。それは愛情であり、殺意である、そんなモノ。自分でも意味不明なその感情を決して表に出さず、ただ黙々と準備運動に励んでいた。そしてそんな明斗を見やる天音は仏頂面をしている。天音が恋心を抱いているのは佐々木翔ささきかけるというイケメンで優しく、そして強い、男性の理想像のような人間である。他にそんな人がいるかと言われれば、それは父親である周人しゅうとであろう。もちろん自分はファザコンではないし、そういう趣味もない。ただ、純粋に父として尊敬出来、また人として理想とする人物でもある。そんな周人に翔は近い。仕合いをすれば手を抜かず、それでいて強さをひけらかすことはしない。どんな時も物腰は柔らかであり、だからといってひ弱な感じはしていなかった。気が付けば好きになっていたのだ。そんな翔を好いている自分に、よくもまあいけしゃあしゃあとあの無愛想、無感情の明斗と仲がいいといえたものだと思う。明斗の何が気に入らないのかは自分でも分かっていない。ただあるのは本能的な嫌悪感だ。確かに陸上に関する運動能力は天音の上を行く逸材だろう。だからといって尊敬できる部分もない、ただの男でしかなかった。それに進に関してはただの幼馴染という感覚しかない。家族に近い感情もあってか、恋愛感情など想像しただけで吐き気がするほどだった。翔とは歳が少し離れていることもあってそういう感じにはならない。面倒見のいいお兄さん、だからこその恋だった。だが進は違う。幼いころから一緒にいて、共に体も鍛えてきた。翔ほどの才能もなく、『気』も練れない進であるがその強さは天音と五分に戦えるほどなのだ。道場の最高師範である三宅浩二みやけこうじが可愛がっていることもあり、進の技は父親の哲生てつおのそれに近い亜流とも呼べるものだった。かといって哲生が得意としたトリッキーな動きではなく、あくまで予想外の場面で予想以上の技を出す、ということだ。それは哲生の異名だった『魔術師マジシャン』ではなく、『手品師トリックスター』と言うべきものなのかもしれない。とにかく、進の気持ちがどうであれ自分にはそういう感情はない。明斗にしても進にしても、自分としては翔以上の存在には成り得ないのだ。それに、紅葉の嫌味というか、自分への口撃はいつものことだ。こっちも向こうが気に入らないが、向こうも同じなのだろう。ならばお互いに無視しあえばいいのにそれが出来ないのが紅葉なのだ。天音は深々とため息をつくと柔軟体操をこなしていく。今は頭の中から紅葉のことを消し、ただ走ることに集中しようとしたのだった。



タイムも上々なのは嬉しいことだ。小学生の六年間で木戸無明流の技は全て教わった。奥義も何ら問題なく使用出来、哲生や翔、進といった佐々木流の人間や、浩二とも何度か戦って実戦練習も積んできた。また、父方の田舎に住んでいる柳生家の息子二人、十夜じゅうや千輝せんきという剣士と戦うことで武器を持った相手という特殊な状況での戦闘も経験している。そんな天音は中学で空手を習った。基礎を鍛えなおす名目と、多くの者と対外試合をするためだ。ただ、天音より強い女子がそういなかったのが誤算だっただけだ。いや、分かってはいた。だから男子との試合も数度経験したが、基本的に男女間で試合はない。あくまで部活の範囲内でしかなかったのだ。だからもっぱら相手は進であり、翔であり、そして周人だった。時々は哲生や浩二と手合せするが、それでも自分の中の向上心は薄れるばかりだった。結局、中学の三年間、空手の全日本チャンピオンとして君臨したものの、天音にとってそれはただの飾りでしかない。求めた強さが得られなかったことに肩を落とすばかりだった。一番身近にいる天都とは滅多に組手をしない。それは天都が避けたためだが、天音にしては天都の気持ちを理解しているために何も言えないでいる。誰かを守るために技を使うのが木戸無明流の信念であり、それ以外はたとえ組手でもしたくはないのが天都である。かといって基礎の運動はしている。天音と同じ午前5時に起きてランニングをし、筋力トレーニングと木戸の技の動きをトレースすることはずっと続けている。夜も同じだ。だから天音は天都とは手合せせずに周人や進としているのだ。そんな天音が高校に入学して始めたのが陸上だった。瞬発力と下半身強化を目的としての入部だった。だがこれが意外に面白く、そして天音を夢中にさせた。空手にはなかった緊張感がここにはある。それが今の天音の原動力だった。インターハイで優勝することを目標に掲げているのも、好きな陸上で一番になりたいからだ。だから今日も走る。雑念はもうなかった。ただ目の前のことに全力を尽くす、それが木戸天音なのだから。



うきうき気分で駅を出た天都は前からやってきた見知った顔を見てそのしまりのない顔を引き締めた。


「あ、こんにちはぁ」

「こんにちは」


間延びした声が特徴的だが、それ以上に特徴的なのがその胸だろう。5月も半ばになればもう暑いため、どことなく薄着になっていることもあってその突き出た大きな胸に目が行くのは思春期の少年のみならず通りすがるサラリーマンなども注目するほどである。少しぽっちゃりしているようにも見えるその女性はにこやかにあいさつをすると立ち止まって微笑んだ。


「今帰りですか?」

「あ、はい」


帰宅部の天都にしては遅い時間だが、それはさっきまで本屋に寄っていたからだ。時雄がくれたゲームの攻略本を買いに行き、多く出ているその類の本を吟味していて遅くなったのだ。インターネットの攻略サイトを見れば済むのだろうが、いちいちめんどくさいと考えて本を買っていた。


「みーくん・・・・天海あまみはいい子でいますか?」


沈黙するほど緊張もない。目の前にいるのは天海の幼稚園の担任であり、3年前に桜ノ宮幼稚園の先生になったこの女性は今年から天海のクラスを受け持つ新人担任だ。


「いい子ですよぉ。優しいし、ご両親の教育が行き届いてます」


にこやかにほほ笑む笑顔が可愛いと思う。


「天海がいつも言ってます、志保美しほみ先生が好きだって」

「そぉ?嬉しいなぁ」


頬に手を添えて微笑むその顔が幼く見えるものの、物凄く可愛いと思う。父兄、とりわけ父親から人気のある先生だが、それも仕方がないと思えた。天都ですら可愛いと思うほどなのだから。


「昔、あなたのお父さんには返しても返しきれない御恩があるから、天海君は余計に可愛く見えるんだよね・・・先生としたらダメなんだろうけど」


そう言い、志保美苺しほみいちごは笑った。その話は知っているだけに、天都も微笑む。苺が天海だけを贔屓していないことは知っているが、婚約者と共に両親と仲がいいのも知っていた。周囲の目を避けて個人的に会っているのも知っている。それでもきちんと公私をわけている苺を凄いと思う。


「じゃぁ、また」

「はい、さようなら」

「さよならぁ」


苺は微笑むと丁寧に頭を下げて去って行った。ああいう先生に教わりたい、そう思う天都は微笑を浮かべて苺を見送るとやや速足で家へと向かった。しかしその軽やかな足取りも重くなったのは何故だろう。


「おりょ、遅い帰りだなぁ」

「まぁね」


たまたま道場側の出入り口から出てきた進にそう言われて立ち止まった。早く帰ってゲームをしたいのにと思う天都に対し、進は天都の肩に手を回してきた。


「なに?」


露骨に嫌そうな顔をする天都は進の思考を読み取っていた。それに気づいた進はニヤリと微笑み、それからそっと口を天都の耳に近づけた。


「また、ゲーム貸してくれ」


その言葉にやっぱりと思うが、嫌な顔をしてみせた。何故ならば、進のいうゲームが普通のゲームではないからだ。


「ヤだよ」

「んだよ、いいじゃんか」

「おばさんに見つかったの忘れたの?」

「・・・・あれはたまたまだ。今度は、大丈夫!」


何を根拠にそう自信満々になれるのか、天都は深々とため息をついた。


「僕も母さんに怒られたんだよ?」

「わかってる・・・さんざん謝っただろ?」

「でもぉ・・・」

「もう一個ぐらいあんだろ?」


天都は諦めない進に困った顔をするしかなく、少しの間考えを巡らせたあとで俯いていた顔を上げた。


「わかったよ。でも、もし見つかっても僕の名前は出さないで」

「わかってるって」


押し切ればこうなることはわかっていただけに、進は満面の笑みを浮かべていた。天都は気弱で内向的、その性格を熟知しているからこその戦略だった。ただ、組手に関してはこの戦略は通用しない。木戸の技を扱う天都は誰かを守るための技という信念があるせいか、妥協などしないのだ。進は天都に促されて一緒に家へと向かう。ものの1分ほどで天都の家があるために散歩にもならない状態だった。家の規模はこの町では平均だが、よその地域に比べれば大きい方だろう。門の前で待つ進を残してさっさと自室に戻った天都は押入れの奥にある隠された箱をあけて、そこから1枚のDVDを取り出してすぐさま玄関に向かう。そうしてそれを進に手渡した。タイトルもなにも書かれていないDVDを見た進の表情が緩み、天都はうんざりしたような顔をしてみせた。


「本当にバレないでよね?それしかもうないから」

「オッケーオッケー」


本当にオッケーなのか果てしなく疑問だったが、天都は渋い顔のまま頷いた。


「もし、もしもバレて僕の名前だしたら、本気で怒るからね?」

「わかってるって、信用しろ。それにお前を怒らせたくない」


真顔になってそう言う進から緊張が溢れだす。そんな進をじっと見つめる天都は目を細めて殺気めいた気を放出していく。


「もし怒らせたら、もう2度と漫画もゲームも貸さないから」


その言葉に冷汗を流す進は神妙な顔つきで頷いた。天都を怒らせてはならない、そう強く肝に銘じて。


「絶対にバレないようにするし、迷惑もかけない。恩に着る」


肩に手を置いて頷く進に天都も真剣な目で頷いた。


「あら?進ぅ?なにやってんのぉ?」


苺とは違った間延びした声にギクッとなった進とは違い、ポーカーフェイスを崩さない天都が声をかけてきた女性に会釈をしてみせる。そこにいたのはエコバッグを手にした女子高生、みたいな容姿をした進の母親だった。天都の父である周人の幼馴染にして同い年のこの女性、ミカは童顔すぎる顔をした近所でも評判の怪物だ。いまだに20歳そこそこにしか見えない容姿は町で何度もナンパされるほどであり、とても高校生と大学生の子供を持つ歳とは思えない状態なのだった。進の童顔は間違いなくこの母親の遺伝なのだろう。


「こんにちは、おばさん」


この顔の女性におばさんと言うことに違和感があるが、もう慣れている。


「こんにちは。進、それ何?」


めざとく手にしたDVDを見つけたミカに焦る進だが、ここは天都に習ってポーカーフェイスを貫くことにしたが、幼い顔がそれをダメにしていることに気付かない。


「これは天都に借りたんだよ。パソコンでするゲーム」


その言葉に笑みを崩さなかった天都だが、心の中で進の顔面に蹴りを入れた。速攻で自分の名前を出したことでもうどうしようもなくなったのだから。


「・・・・それって、この間みたいなやらしいヤツぅ?」

「違うよ。あれは僕も母さんに怒られたし、友達のお兄さんのヤツだったから・・・これは普通のゲーム」


顔色1つ変えずそう言う天都をじっと見たミカはすぐに進へと目をやる。進もまた動揺を表に出さずにうんうんと頷くだけだった。


「わかったわ」


そう言うミカにホッとした顔を見せた進とは違って天都は真顔のままだった。


「じゃぁ、あとで確認させてね?」

「へ?」


動揺をありありと出す進をじとっとねめつけるミカを見てため息をついた天都はポーカーフェイスを崩すことなく進の肩に手を乗せた。


「いいじゃん、問題ないゲームなんだしさ。モンスターブレイカーのネット版だろ?」

「そうなの?」

「うん。さすがにもう僕も懲りたし、もうあんなゲームは持ってないし」

「うーん・・・・」


天都は平然とし、進は混乱した顔をしている。


「今から確認してもいいよ」

「うーん、天都君がそう言うならそうなんでしょうねぇ、ならいいか」


その言葉を聞いて微笑む天都とは対照的にホッとした顔をする進を見ず、ミカはそのまま帰って行った。大きく息を吐く進を見て苦笑した天都もまたホッとした表情を浮かべていた。


「助かったぜ・・・でも、もし確かめるってなったらどうするつもりだったんだ?」

「DVDを起動するとみせかけてモンブレを起ち上げるつもりだったんだ」

「おお!さすがですなぁ」

「ってか、いきなり僕の名前出したでしょ?」


じと目で睨む天都に愛想笑いをし、肩をポンポンと叩いて見せた。


「しかし根性座ってるなぁ・・・さすがだわ」

「いいからもう帰れ」

「おう、じゃぁなぁ!」

「もう見つからないでよ?」

「オッケー!」


そう言いながら走って帰る進の背中にため息を吐き、家へと入る天都なのだった。

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