伝説の続き
いよいよ「くもりのちはれ」の続編、始動です。
木戸周人の子供たちが活躍し、恋に戦いにと暴れまわります。
木戸の因縁を断ち切るべく、2つに分かれた流派が激突!
天都と天音の恋の行方も、戦いの行方も、ご期待ください!
その昔、『魔獣』と呼ばれた1人の男がいた。その男は恋人を『キング』と呼ばれる最強無敵の男に殺されたために復讐をしていたという。数百人のチンピラや不良、暴走族を倒し、また、特殊な能力を持つ者すら数多く倒しながら、やがて『キング』に辿り着き、仲間と共に死闘の果てに復讐を果たした。その強さは絶対無敵。その技は殺人技。その人格は修羅か獣か。そこでついたあだ名が『魔獣』だった。4人の仲間と共に亡き恋人の仇を討った伝説の男。喧嘩の数は知れず、そして不敗。今はもう伝説でしかなく、近年、深夜ドラマで放送されたものはそれをモチーフにしたという噂もある。いまやもうその名前だけが残る中、陽光の差し込む道場の中に2人の人間がいる。美しい顔立ちを崩す腫れた頬が印象的な者と、その『魔獣』を髣髴とさせる目を持った者。顔を朱に染めたその口元が笑みを浮かべているが、対峙している者には戦慄しか与えてこない。人か獣か、そういう気を持って目の前にいた。互いの中に棲む人でないモノが喚いている。早く終わらせろ、と。だから、美しい顔の人物が一歩右足を踏み出した。息も荒く朱に染まった顔から笑みを消し、対峙した者がすっと腕を上げる。見た目のダメージはどう見てもそちらの方が大きいようだが、再度口元に笑みが浮かんだ。心の中の飢えを満たす存在に、乾きを潤すその実力に、そして生きていることを実感できているその痛みに笑ったのだ。だからか、美しい顔を持つ人物もまた微笑んだ。だがそれは対峙している者の笑みとは違う。圧倒的優位に立っていながらも感じる、敗北を喫するかもしれないという恐怖、その先にある死を予感させる恐怖。そしてそれを感じて歓喜している自分を理解して笑ったのだ。そして2人が同時に動く。電光のごとき動きをし、鬼気を発し、そして吠えた。2匹の獣のそれが道場にこだまし、そして肉がぶつかる音だけが続くのだった。
さくら塾には創始者であり、初代塾長である大山康男の口から語られる『美女と魔獣』の話が有名だ。
仇を討った『魔獣』が出会った1人の美少女との恋の話。
運命的な出会いをし、そして結婚をしたその男女の物語はこの塾の伝説でもあった。
その『魔獣伝説』の終焉から18年。
今、新しい伝説が幕を上げる。
それは宿縁か因縁か・・・・それとも運命なのか・・・・
父の優しさと信念を受け継いだ1人の少年がいる。
母の美貌と父の強さを受け継いだ1人の少女がいる。
この双子が織り成す物語が『魔獣伝説』の第二章としてさくら塾の新しい伝説となるのはまだ先の話である。




