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例題.3

上流を目指し川の流れに逆らい進む。フネの上は満員と言う程では無いが、バラストを考えるとフロントヘビー状態だ。

正直、こういう荷物が在るならもう少し早く言って欲しい。

舵が安定しない。

「おい、今日はヤケに揺れるな。」

「前のバラストを排水しないと…。水平が悪いんです。」

「あ゛?水兵が何だって?」

後ろの水音が煩いので命令こえが通らない。

それでも流れの速い場所を避け何とか建物がちらほら見えてきた。

遠くに黒い煙も見える。

「もうじきプラジュー製油所です!」

舳先で38式を担いだ二等兵が叫ぶ。

「おう、ソコの岬の先に桟橋があるハズだ。接岸しろ。」

確かに木で作った桟橋は有った。

回転を落として接岸する。

二等兵が慣れた手つきで舫いを固定する。

「さあ、着きましたよ。みせす。とっついんつ、どをい。どをい。ありがとう。どをい。」

軍曹が声を掛けると笑顔でフネを降りる原住民達。パパイヤやバナナを置いてく者もいる。

手を振るお嬢さんに笑顔で手を振り返す兵隊達。

フネを降りた一団が居なくなる。

「よし!宣撫工作終了!!総員気を付け!!着衣を正せ!」

「「「了解!!」」」

萎れた略帽と汗を吸った襟を正す兵達。

「よし!離岸が終了しだい対岸の桟橋で物品の受領を行なう。序でに艇も満タンにする。」

手早く動く兵達。

歩板が上げられる。

「離岸せよ!」

回転数を上げて変速機を操作しクラッチを繋ぐ。

逆回転した外輪の水飛沫で服が濡れる。

しばらく水を叩いたが船底が擦れる感触がして離岸に成功した。

後進一杯の後に方向転換。目的地を目指す。

水底の泥の掻き具合からかなり水深は浅い。

船底から1mは無いだろう。

水温の上昇に注意しながらアクセルを操作する。

目的地(ブラシュー製油所と後から知った)に付くと桟橋には日の丸が翩翻とはためき、兵たちが働いているのが解かった。

桟橋に付けてロープを投げると陸の兵が桟橋の舫いに繋ぐ。

「暁第3752機動艇ただいま到着しました。」

背筋を伸ばした軍曹が桟橋の士官に敬礼をする。

ソレにならってフネの兵も皆、直立不動、敬礼する。

ボクも慌ててソレに倣う。

しかし、後方から声を潜めた囁きが耳に入る。

『おい、二等兵、主機から手を離すな。』

舵を操作している一等兵殿の声だ。

「え?しかし。」

『頭を動かすな、主機操作員の敬礼は騎兵式で良い。』

「はい。」

騎兵式ってどうやるんだ?

その前に返礼が降りたので、皆持ち場に戻る。

助かったのか?

小野寺軍曹が上官と桟橋で話していると陸兵たちが油缶をフネに積み始める。

受け取るフネの兵、手伝わなければ。

「芥子川二等兵。船体と主機の整備が行い終わり次第、工具を持って、ソコの指令所に出頭せよ。」

「はい!」

「よし、やろか。出発は大体二時間後だ。」

舵を操作する一等兵殿が油さしと検査ハンマーを持って来た。

発動機を止め。給油、冷却水の水の量を確認する。

入れた油の量をメモする。

港からは大まかな回転数と時間は計ってあるので航続距離を読む為に必要なコトだ。

主機の整備が終わり、一等兵殿に任せると指令所が在る小屋に向かった。

「失礼します、芥子川二等工兵、唯今出頭しました。」

中は薄暗いが板の間に事務机が並んでいる。

「おう、来たな?、では、E少尉殿、ありがとうございました。失礼します。」

軍曹が書類の束を小脇に抱えて出てきた。

「付いて来い。」

「はっ。」

前を進む軍曹は書類を読んでいる。

外れの空き地にやって来た。

「二等兵、ココの残骸は全て員数外だ。自由にサシクッて良い。許可を貰った。何か言われたら”E少尉殿”の名前を出せ。」

「はい!」

腕時計を見ながら話す軍曹。

「あと…。一時間で出発するので手早くヤレ。」

え?これから?

「はい!」

そのまま振り向かず桟橋のほうに歩いていってしまった。

さて困った。

残骸の山は穴の開いた油缶や燃え残った自動化車、銃弾を受けた自動車もある。

どっから手を付けよう…。

取り合えず発動機アクセサリーから…。



それから、バンガ島ムントクへ無事に輸送を終え。

ムントクで一泊した後、昼過ぎには拠点であるスンサンに戻った。

早く付き過ぎた。

基地の陸兵は皆驚いている。

「おい、速く付きすぎだ、本当に目的地に付いたのか少尉殿に絞られたぞ!」

軍曹殿に怒鳴られたが特に問題は無かったらしい。

”帰りは川の流れの速い所と引き潮に乗ったのが原因です。”と言ったら納得した。

ムントクには小さな造船所が在るコトが解かった。

起重機も備わっている。

ソコで、できる改造を考えなければ。

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