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幼なじみ  作者: 麗華
5/46

5(徹視点です)


中学の頃、突然離れて行った幼馴染。

同い年だけど、手のかかる妹のようで、小さい頃は俺の後をついて回っていた。

離れて行った理由は想像つくが、俺と由夏が一緒にいちゃいけない理由になんてならねぇ。

でも、俺が側に行けば、脅えたように周りを見る由夏に、どうしていいかわからずそのまま離れることしかできなかった。


それから一度も、俺に由夏の笑顔が向けられたことはない。

ずっと、昔みたいに家族みたいに戻れたらいいのに、なんて考えていた。

考えているうちに、お互い大人になっちまって、

もう何処で何してるのかなんて事も、わからなくなっていった。


金曜の夜、武人に呑みに行こうと誘われ、店につけば合コンで。

さすが武人、と笑い飛ばした修に正樹。

ここまで来て怒っても仕方ねぇ、酒が飲めればまぁいいか、と。

慣れない様子で目の前に座ったのは、困った顔をしている幼馴染。

俺より早くに気付いただろう彼女は、相変わらず目も合わせない。


俺の視線に気づいた武人が、由夏の友達から番号を聞き出していた。

コイツ、こういうことには気がきくんだよなぁ。

ニ次会に参加する、との条件付きで武人から由夏の番号を聞き出した俺は、

すこし強引だったが一日中、由夏を連れまわした。

少しだけ笑顔を見せてくれた由夏にホッとして、もう少しだけ一緒にいたい、なんて。



それが焼鳥屋で飯を食えば、一人でがばがばビールをのんで、カウンターでウトウトし始めた。

コイツは……。

俺の事を『苦手』なのか『嫌い』なのかはよくわからないが、少なくとも『警戒しなくちゃならない男』ではないようだ。

ホッとしたのか、がっかりしたのか、自分でも、知らないうちにため息がこぼれる。


「おい、由夏?歩けるか?」


「うん」


腕をつかめば反射的に立ち上がり、何とか店をでる。


「家まで送ってやるから、お前の家の鍵かせ」


「ん」


「だから、鍵」


「ん」


俺にもたれかかって目を閉じている。

ああ、相当眠いんだなぁ。

仕方ねぇ、よなぁ。


歩いて5分の俺の家までタクシーで帰り、そのまま俺の部屋へ。

意識が無いと重いってのは、ホントだなぁ。

とりあえずベッドに寝かしてやれば自分から布団の中にもぐりこむ。


覗きこめば聞こえてくる規則正しい寝息。

見えるのは、子供の頃と変わらない寝顔。

変わってねぇなぁ。


グシャグシャと頭を撫でてやれば、うるさい、とでもいうように布団の中にもぐって行った。

コイツ、寝てるとこ起こされるの嫌いだったよなぁ。

また笑いがこみ上げてくる。



シャワーを浴びてベッドをのぞきこんでも、相変わらず規則正しい寝息。

コイツは、俺のこと男としては見てねぇんだろうなぁ。

まぁ、いいさ。

とりあえず、俺の側で少し笑うようになった。

今は、それだけでいい。


ガキの頃から、手のかかるヤツだった。

同じ年なのに妹のようで、頼られるから、俺はどんどんしっかりしていった。

まるごと全部、支えてやるつもりでいたのに。

俺には、支えられなかった。


いかがでしたでしょうか?

視点を変えての表現、読みづらくなかったですか?

ヒロイン視点ではないせいか、短めの回になっております。

次回は、またもとに戻りますが、読みづらいところがあれば教えていただければと思います。

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