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幼なじみ  作者: 麗華
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「おはよう、もう平気なの?」


めったに休まない私が休んだため、周りは想像以上に心配してくれた。

適当に言葉を濁す。

具合悪くなることあんまりないから、ホントに適当だけど……。

昨日私の分まで仕事を片づけてくれた愛衣に、感謝!

休んだけど、仕事が増えてるなんてこともなかったし、とくに問題もなく一日終了。


「由夏、身体大丈夫なら一緒にご飯食べて帰らない?」


愛衣が人懐っこい笑顔でスマホのクーポンを見せてきた。

オムライス専門のお店。

昨日散財しちゃったけど、クーポンあるしこれぐらいなら……。

一人になるの、ちょっと嫌だし……。


「いいよ、行こう!珍しいね、愛衣が新しいお店開拓するなんて」


「たまには、ね!」


クスクスと笑いながら帰り支度をして会社をでる。

ああ、今日も一日終わったぁ。


仕事は嫌いじゃない。

職場には愛衣もいるし、社内の人もすごくいい人ばっかり。

新卒からずっと同じ会社だから、仕事も慣れている、後輩もいるからそれなりの緊張感に責任感。サボるなんて、考えたことも無かったのは、きっとこの会社だから。


でも、やっぱり終わるとホッとするのは、私が怠け者だから、かな?



「いろいろ、あるねぇ」


オムライスって家で作れば一種類なのに、なんでお店だとこんなに種類多いんだろう?

定番のケチャップか、ホワイトソースか、デミグラスか。

どれもおいしそうだし、困った。


迷っていれば愛衣が笑う。


「私ホワイトソースにする。由夏は違うの頼んでね!」


結局、定番のチキンライスをくるんだオムライス。

定番なのに、今まで食べたことないぐらいにすっごく美味しい。

感動しながら食べていれば、愛衣が笑う。


「ここね、徹さんに勧められたんだ」


「え?」


「お店知ってたのは正樹さんらしいんだけど。

 徹さんが私に教えてくれたの。由夏がオムライス好きだからって」


「そう、なんだぁ」


覚えてたんだなぁ。

小学生のとき、お互いの親が残業だとよく徹の家にご飯を食べに行った。

その頃よく作ってくれたオムライス。

懐かしいなぁ。


こんな風に、誰かに好きな食べ物を進められたことなんて、いつからないんだろう。

嫌いなものが少ない私は、いつも誰かの食べたいものに合わせている。


彼氏だって、私の好きな食べ物なんて、知らないかもしれない。


それに不満があるわけじゃないけど、やっぱり誰かが私の事を考えてお店を選んでくれることは、すごく嬉しい。


徹は、私にとって何なんだろう?




「昨日さぁ、実は、徹と買い物に行ったんだ」


昨日の寝坊の理由、遠出した買い物。

言ってしまった言葉、言えなかった気持ち。

止まらない言葉を愛衣は黙って聞いてくれた。


「もう、徹さんとは会わないの?」


「……たぶん。」


「もう会わないなら、最後にちゃんと話してみない?

 聞きたいことも、言いたいことも、全部」


「……」


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