メリーメリー・ストーカー03
今回のオチ、後日談、結果、なんでもいい。
今回のストーカーの一件に関して、一通りの流れがどうなっていたかというのは、語らずして解決とは言えないだろう。
この一件の犯人のメリーさん(仮)は僕の推理通り美術部員だった。
部活内にて、最初のイメージが良くなかった。浅倉さんは、美術部の自己紹介でも、ガチガチになっていたらしい。
そして、浅倉さんは優柔不断だった。何をすればいいのか、どうしようか迷うその姿は、せっかちな人からしたらオドオドしてるようにも見れただろう。
最初は、ちょっかいのつもりだったのだそうだ。オドオドしているのをイライラせず、むしろ楽しんで見ていれるのだ。
しかし、そのうちそれはストレスの発散となり、自分が何をしているかを気づいた頃には、もう遅かったという。
和解も何も、平謝りだったらしい。
反省したのか、よほど怖い目に遭ったのか。
なんにせよ、浅倉さんとメリーさんの和解は、驚くほど簡単に済んだとのことだった。
人の心は、もしかしたらこの世で1番怖いものなのかもしれない。
その、翌日。
「浅倉さん、頑張ってた。ちゃんと自分で言いたいこと言って、仲良くしようって自分から言って」
「そっか」
食堂横のフリースペース。僕ら1年の今の仕事場だ。校内で持って使う看板を製作している。
「新田くん、あんなにズバズバ言うんだね」
「まぁ言い過ぎたな。反省してる」
「言ってたこと、一応はわかった」
「え、そうなの?」
「理屈はわかるけど釈然としない感じ。やっぱり被害者に求めるには酷だよ」
「小難しいことを言うなぁ」
「だって」
「でもさ、やっぱり僕はあんなのは気にくわない」
「そう・・・」
「っていうか、あの様子だと、多分浅倉さんはメリーさんの正体に気づいてたと思う」
「そうなの?」
「僕の言った事くらい、当事者ならすぐに見当がつくだろうし、何より声がそのままだったから。そんで、部活の人間関係云々もあって、どうしようか迷っちゃったんだろうね」
相談中にかかってきた電話の声の事だ。
「なんにせよ、ダメなんだよ。助かろうとしなきゃ。何かに苦しめられているのに、助かろうとしないのは良くない。同じ部活の人だからって、その良くない関係を放置しちゃいけない。優柔不断なのは悪いことじゃないけれど、それでも最後まで決めないなんてことはいけないことだよ」
「そうなのかな」
「放置した浅倉さんにも原因がある。こういうことに関して誰かが100%悪いことなんてないし、関わった人全員に、原因があるんだから」
まぁ加害者が一番悪いのは当然だが。
「新田くんは、自分がそうなったときに、同じ事が言える?」
今回の件が他人事だと思って放置してない?
「言える。そうすべき意味を知ってるから」
左腕の袖をつかみ、言う。
「それに、浅倉さんはちゃんと自分でケリをつけたんだ。誰かが悪かったで終わらせないでちゃんと解決した」
浅倉さんたちは、和解をしてキチンと終わらせて、誰もが納得のいく内容で終わらせた。
彼女たちが主役で、そしてこれは、これからいい話になっていくのだろう。
メリーメリー・ストーカー完