メリーメリー・ストーカー01
『もしもし、私メリーさん。今』
「はぁはぁ、ねぇ今どんな色のパンツ穿いてるの?」
ガチャリ。向こうから電話が切られた。
「新田君キモッ」
「うん、なんか本物ならではの気迫を感じた」
「うるさい。手伝ってやったんだからむしろ褒めろよ。そして僕はその手の類いの人じゃない!」
「え?じゃあ別のっ!?」
「やかましいわ」
立川の狐と猫が解決した、その2週間後のこと。同じクラスの浅倉秋がストーカーの被害を受けているとのことで、僕はその相談を受けていた。電話の声は女だったので、多分嫌がらせだろう。
「しっかしメリーさんか、ベタだねー」
「そんな、他人事みたいに言われても」
正直、女同士の戦いに巻き込まれても困るだけだ。怖い怖い。
「なんか新田くん都市伝説とか、オカルトに強そうだから」
「僕のキャラがどんどんねじまがっていくな」
「私が教えてあげたんだよ?」
「僕をオカルトマニアみたく紹介するな!!」
戦犯、立川の自白により裏がとれた。貴様は入学当初の僕のイメージを悪くした罪で万死に値するぞ!
じゃなかった。
「こういうのは、設定で非通知番号を拒否するようにすればいいんだよ」
「そ、そうだね。そうするよ。でも、携帯はそれで大丈夫なんだけど、他にも家電とか下駄箱とか」
「メリーさんが下駄箱に置き手紙とか古臭いくせに新しいな」
「ううん、置き手紙じゃなくてボイスレコーダーなの」
「・・・」
随分と文明的なメリーさんだった。
「話ぶったぎってごめんよ。そのボイスレコーダー、今持ってる?」
「ううん、その時怖くて放置してたら帰りには消えてた」
ということは、朝早くから登校してセットしてたか、浅倉より遅く帰るときにセットしたかということか。
「他には?」
「えっと...」
「どしたの?」
立川が踏み込む。
「ううん、何でもない」
わけがない。浅倉さんも分かりやすいなー、あえて言わないけど。
「それで、頻度は?」
「週に4回くらい。日曜は必ず」
暇人か!貴重な日曜日になにやってんだメリーさん?!
じゃなくて。
「大変だったね」
「うん」
「もう大丈夫だよ、ここにいる新田くんは一応いい人だし、ちゃんと解決してくれるよ」
立川は慰めるついでに僕に全責任を押し付けた。
今回はそういうことじゃないんだよなぁ。
「いや、今回に関しては、ちゃんと自分でケリはつけるべきだと思うよ」
「え?」
「何言ってるの?ねぇ新田くん」
「例えば!」
わかってない立川を黙らせて、
「例えば、ストーカーに対して、僕が上から目線で説教垂れてもなんの解決にもならないよ。ねぇ立川、お前は僕にどうしてほしいんだ。今回の件は、僕に出来ることはほとんどないよ?」
「そんな、無責任な」
「お前が何を言っているんだ。1番の無責任は浅倉だ」