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フォックスフォール06

 今回のオチ、後日談、結果。何でもいい。

 あの後、僕は立川を背負って駅まで行って、そこで立川の目が覚めた。顔真っ赤にして背中叩かれたがベンチに座らせるまで離さなかった。

「すっごく恥ずかしかったんだけど!なんなの!?」

「いや、お姫様抱っこよりましでしょ」

 お姫様抱っこの体力の消費は半端ない。

「ていうかあの場で起こしてくれれば良かったじゃない!」

「あ、寝言かわいかったな」

「バカ!」

 と、思いっきり腹を殴られた。痛くない。

「ハァ、ハァ、疲れた。まったく、新田くんが変なこと言うから」

「あ、その事なんだけど」

「まだ寝言の話すんのかい!」

「いや、そうじゃなくてだな。でもそっか、そんなに寝言の話してほしいのなら」

「してほしくないしてほしくない!とっととその口を閉じろ!」

「立川の開いた口から『煮干しにゃー』とか漏れてたのは笑ったなぁ」

「なっ、とっさの嘘とは思えないようなものだけど、でも絶対にそんな寝言吐く奴いないでしょ!っていうかなぜ煮干しなの!?」

「実際に言ってたし」

「いやだぁ!私の中の深層心理はどうなってるの!」

立川の会話に知的なワードが出せるようになったのは今日のハイライトだな。

「疲れたろ」

「ホントだよ。あんな寝言...」

「いや、それもそうなんだが。それとは別になんだけど、立川はさっき気絶するほどのショックを受けたもんだからさ、結構体の中に疲労がたまってるというか、体力が奪われたというか。体がつまり弱っているんだ」

「うん」

そうなんだ、という顔をする立川。

「そんなわけでさ」

「なに?」

「この後立川の家までおんぶ続行だ」


翌々日。月曜日。

放課後。僕は食堂で長崎先輩とコーヒーを飲んでいた。学食って案外何でもあるのだ。

「新田くん、どうしたの?呼び出しだなんて珍しいね」

「一昨日の件のことで」

「えっと、確か立川さんの狐を祓って一件落着って話立ったような」

実際、狐を祓う必要はあった。立川にとり憑いた狐がいつ厄介事を引き起こすかわかったものじゃない。今回は、ガンが初期段階で見つかったようなもので、とても幸運な例だと思う。

不幸中の幸い、というやつだ。

「えぇ。狐は、それで一件落着なんですけど」

「うん」

「実は...」


さて、時間はちょろっと遡り、この日の昼休み。

「どこだー、立川」

僕は昼休みに一緒にご飯を食べる約束をしていた立川を捜していた。昼休みになったと思えば、ふらふらっとどこかへ行ってしまったのだ。

「おーい、どこだー。」

としばらく捜していること5分。図書館の裏にて、

「みゃー」

猫を見つけた。

「にゃー」

地面に手をつき、その猫に頬擦りする女子も見つけた。猫語とおぼしき何かを口走っている。

それは見紛えることなく、立川だった。


「実は、猫もとり憑いていたようで」

長崎先輩の勘の的中率は、とても高い。

フォックスフォール完

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