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サンライト・キャット02

 前回のあらすじ。

 文化祭実行委員として活動を開始した僕は、同じ部署に配属された立川涼乃にとり憑いた狐を追い払うことに成功した。しかし、翌々日。彼女は人目につかない場所で猫語でにゃんにゃん鳴きながら猫に頬ずりしていた、


 ところを発見したところから話を再開しよう。うろ覚えだから最初らへん復習しながら設定変更されないよう気をつけるけれど、今はそんなことどうでもいい。

『にゃ~』

『・・・・・・』

『にゃ~』

『・・・・・・』

 やばい。すっごく可愛い。

 珍しく髪をまとめず結わずの状態にしているから、髪が地面に着いている。そして立川の満面の笑み。両手の指を曲げて猫みたいにして、四つん這いで猫を抱きしめている。

 スマホを取り出して写真でも撮ろうと思ったところで、立川の動きが止まった。

『にゃー・・・・』

 立川が僕に気付いたようだ。鳴き声が止まり、顔が真っ赤に染まる。

『にゃっほー』

 と声をかけると、

『にゃああああああああああああ!!!!!』

 笑いをこらえきれずに噴き出してしまった。

 さて、顔が青くなって倒れてしまった立川はどうしようか。頭を打たないようにしたけど。


 というわけで保健室。

『またですか』

『またですね』

 人に見られないようにおんぶスタイルで運んできた。後ろから見たらパンツ危ないからね。jkのスカートってどうしてこう短いのだろう。さらに短くしようと折ろうとするのに見られたらキレるのだから女心はわからない。

『今度は何があったの?』

『急に顔色悪くなって倒れました』

 嘘は言ってない。

『じゃあちょっと様子見るから立川さんをそこのベッドに寝かしてくれる?』

『はーい』

 その後、先生がカーテンの奥で立川の熱量ったりとかしてる間に、僕はソファーでくつろがせてもらった。

『終わったよー』

 5分で終わった。

『どうなんですか?』

『貧血、かな。この子前々から貧血で倒れたりってことあった?』

『こないだからは多分無いと思います』

『あー、こないだの・・・』

 アホ落下事件。ジャンプしてたら柵超えちゃったあれ。

『うぅ・・・』

 話が進む前に、立川がうめき声を上げ、一言呟いた。


「ジョン次郎、と」

「ぷふっ」

「だめですよ笑っちゃ」

「いや、だって、ジョン次郎って、あっははははっ!」

 長崎先輩のツボに入ってしまったようだ。

「その後立川が目を覚ましたので、そのまま5限からの授業は受けたんですが、大事をとって放課後の活動はやめさせました」

「えー。新田くんもついていけばよかったのに」

 未だ笑いながら茶化してきた。

「じゃあ仕事どうするんですか」

「う」

「2人分フォローできる人数いませんよね」

「わかってるけどさー。えー、でもそこはついていってあげなよ」

 そんなことしたらあほがうつりますよ。

 そんなこと言わないの!

 だってジョン次郎・・・

 あはははっ!

「いや実際仕事の進捗状況的に黒字だよ?」

「あ、じゃあ帰ります」

「おい」

 だめか。

 さて、なんとかして学校から出たいのだが、どうしようか。

「わかりました。でも、昨日の時点であれは終わってますよね。次の作業って」

「そうなの。それで今日からステージ企画の会議しようと思ってて」

「そうですか」

 はぁ、とため息をついて。

「立川にも伝えないとですね。内容」

「うそつけ」

 ばれた!長崎先輩にはこざかしいことは勘付かれるからなぁ。

「ばれましたかー」

「何か用事あるの?」

「実は・・・それもあんまり人には言えないような・・・」

「立川さん関係で何かあるならそう言えばいいのに」

「ばれましたか」

 頭をポリポリと掻いて、申し訳なさそうな表情をして、言った。

「そうなんです。実は立川がスクバごと忘れていってしまったみたいで」

「えぇええ!?」

「あれ」

 指をさした先には可愛らしいプラナリアのストラップと、ロケットペンダントの写真の部分に強引に紐を通したストラップが取り付けられた、スクールバッグが置かれていた。当然、立川のものだ。

「あれ涼乃ちゃんのだっけ。いいセンスしてるねー」

 長崎先輩が気づかないのは無理もない。彼女の人格に住み着いていた狐が逃げだしたので、彼女自身の人間性が少し変化しているのだ。

「あのロケット、開けようとしても開かないんですよ」

「あー鍵付きのね。だめよ無理に開けようとしちゃ」

「そこまで興味ないですよ」

「えー、気にならない?あの中に彼氏の写真とか入ってそうじゃない」

「先輩が言うと当たりそうで怖いですけど、」

「けど?」

「だめよ無理に開けようとしちゃ」

 僕は叩かれた。

「わ、後輩いじめしている」

 そこに北川先輩がやってきた。え、誰かって?文化祭実行委員勧誘の時に来てたり文化祭の時に立川に仕事押し付けられたりしていたあの人だよ。

「新田くん、それじゃあ時系列が合わないよ。まだ文化祭は始まってないよ」

「別にいいですよ。読者に気を遣うのではなく読者が気を遣ってこそ、自由な表現が生まれるんですから」

「え、そんなもの世間に受け入れられないでしょ」

「いえ、個性的という単語で全部収まります。むしろ現代受けしてるってだけで同じ題材で同じような話を同じように語るのは面白くないですよ」

「異世界転生を否定しちゃだめだよ!殺されるよ!」

「大量生産のラブ損愚(ソング)なんていらねぇ!」

 面白い話を開拓していくべきだと思いますよ。

 語るねー。

「はいはい、わけわかんない事話してないの」

 メタ話は一般人には通じない。どんなに幸運でも、化物みたいな勘を持っていても、一般人は一般人だ。

「立川の忘れ物がキツイ上にあいつの住所知らなくて、最寄りで待ってろって言って」

「なら早く行きなさいよ。またしちゃかわいそうよ」

「今日の分は、明日に回すなりなんなりしとくから心配いらないよ」

「ありがとうございます!すみません!」

 そして、僕はついに長崎先輩を出し抜いたようだった。

 ごめんなさい先輩。

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