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ヒャッキヤギョウ・ブラック04

回想終わり!

「え、ちょっと待って。まだ何にもわからないんだけど」

「だよね」

「自覚アリ!?なんで私は長崎先輩との駄弁りを聞かされたの?」

そりゃそうか。そういえば聞かれたことに全く答えてない。2人目の日月に会ったなんて聞かされてもちんぷんかんぷんだろう。全く関係なかったし。

「えっとなんだっけ。ギンガ団ってショボい気がするって話だっけ」

「ボケモンの中で割と話題に上がりにくいダイアモンドパールの話になっちゃった!」

「初めてはプラチナでした」

「案外新しめだよ。RS世代じゃないの?」

 RSとはルビーサファイアのこと。ポケモンダイアモンドパールの前の世代で、RSのシリーズのリメイク(?改訂版というべきか)エメラルドなるものが発売された。プラチナはここにおけるエメラルドの立ち位置。

「そのときはゲーム持ってなかったんだ」

赤緑金銀の話ができないのは仕方ない。リメイク版でバグの再現されないかな。

「DSってあの頃は持ってるだけでうれしかった」

「GB版のゲームはDSライトでできたと思うけど」

 GBとはゲームボーイアドバンスのこと。DS同様任天堂のゲーム機。

「あれ?なんの話だっけ」

 と話が脱線しすぎてわけがわからなくなる。ちなみに作業スピードはなぜか上がっている。

「最初のポケモンで草を選ぶ奴は論外って話」

「うん違うよね。草ポケモンに謝れだし、そもそもそんな話はしていないよ!」

 最近ツッコミ役を立川が担うようになってきた。適当にボケ倒してもいい感じに対応してくれるから助かる。

 ボケはツッコミがいないと暴走してそのうち悲しくなる運命にあるので、受け手がカバーする必要があるのだ。

 じゃなかった!

「思い出した!どうやってあの先生を説得したかだ!」

「うん違う」

「あれ?」

「私は、なんであの先生を脅してまで居残りしようとしたのかを聞きたいの」

「5W1Hが違うくらいで何を言う」

「違いが大きすぎるの!大した違いだよ!」

「そうかそうか」

「なんで私が軽くあしらわれてるんだろう」

「えっと、『なんで』だからwhenだっけ」

「それは絶対わざとだ!」

 正解はwhyだ。whenは『いつ』である。勿論わざと。

 やばい話が進まない!というか僕のほうから逸らしてる。

「なんで話逸らすの?」

「話したくないから」

「ひどっ」

「オカルトの類のアルバイトだよ。お前は猫の件があるんだ。立川ができることは何もないし、ただじっとしていてくれればいい」

 猫、立川に憑いていたもう一体の妖怪のことだ。妖しくて怪しい、猫。

 物語の主人公さながら、一度ある事件に巻き込まれたら、その後なんども同様の事件に巻き込まれやすくなる。妖怪、いやもっと広い伝説や怪異談の事件に、今後立川は巻き込まれやすくなる。もし、また立川が被害にあえば、僕の仕事かなり支障をきたす。というかメリットがない。

 つまり今回の件において、立川は完全にお荷物である。はいりすくのーりたーん。

「もういいだろ。諦めろ」

恐らく、立川はもうそのくらいわかっているだろう。腐っても進学校の生徒だ。狐のときはともかく、通常状態なら人一倍の理解力だってあるのだ。

まぁそこまで複雑なことでもなく、単に利口だから察してるはずというだけの話。

「え、やだ」

利口じゃなかった。

「だって、日月さんがらみでしょ。だったら新田くん1人でやらせるわけにはいかないよ」

「余計なことをしないのがお前の仕事だ」

「私の負債を、これ以上負わせたくない」

「男気溢れるね。僕が女なら惚れてた」

「もう色々おかしい!女子に男気って言わないでそして私は女に惚れられても困るだけ!」

強気。女狐立川の頃には見られなかった。

 これが本来の立川なのか、猫の件で彼女の何かの区切りがついたのか。

 なんにせよ、アホの子の時よりはマシになったといえる、だろう。

 立川は仲間になりたそうな目でこちらを見ている。

「なら、夜の11時にエレベーター前な」

「む。随分物わかりがいいじゃない」

「そんなこと言える立場じゃないだろ」

「何か企んでる?」

「それに介入してる自覚を持ってほしいんだけど」


 夜11時。立川涼乃は女子仮眠室の、1年8組の教室で爆睡していた。

「作戦通り」

「結構かわいそうなことするんだね。新田君」

「僕は何もやっていないよ」

「そのうち詐欺とかやりそう」

「なに、僕ってそんな印象なの?」

「気をつけなさい」

「へこむ」

 クスッと笑う委員長。地味にこの人とまともに話すのは初めてだったりする。名前なんだったっけ。

「で、こんな夜中に何するつもりなの?」

「11時は夜中じゃないさ」

 さすが委員長。生活習慣はしっかりしているのか。でもそんな早く寝たら進学校の課題は終わらないのでは?

「課題なら朝に手をつけてるから。割となんとかなるもんよ」

 そんなものか。と、軽く言ってのけるが、あの課題の量は朝からやるのは厳しいくらいの量がある。

 地が違うのか。

 委員長さんが、話の切れたところを狙って言ってきた。

「話をそらすなー」

 バレた。どうしよう。

「1つ貸しでお願い」

「うわー、私のこと買収するんだ」

 委員長は面白いものを見る目で見ている。馴れ馴れしい、わけじゃないんだが、軽口が辛口なんだよな、コイツ。

「・・・買収する」

「アハハハ!うん、いいよ」

 旧立川を彷彿とさせる受け答えだ。まぁこっちは純粋な善意だろう。多分。

「ありがと」

「貸し1つだよー」

 鬱陶しい。

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